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【シャレン!/ファジアーノ岡山】クラブをハブに、みんなでつくる。「障がい者アート」グッズができるまで

Sport for Socialでは、2021年「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJリーグクラブの「想い」を取り上げます。今回はファジアーノ岡山のシャレン活動「障がい者アート」について、ホームタウン推進部長船さんにお話を伺いました。

障がいを持ったクリエイター、県内外のデザイナー、福祉事業所スタッフの方々などがひとつのチームとなって進めていった、今回のシャレン活動の裏側と”想い”に迫ります。

©FAGIANO OKAYAMA

今までとは異なる制作手順で作るオフィシャルグッズ

シャレン!アウォーズにもエントリーされていたシャレン活動「障がい者アート」。活動の内容や背景について教えてください。

長船さん)「障がい者アート」の取り組みは、障がい者の方がスケッチやデザインしたものをプロのデザイナーの方が仕上げ商品化へと進めていくという、障がいのある方やプロデザイナーの方など関わる方々がチームのようになって取り組んでいく試みでした。

商品化したものを販売し、より多くの方にデザインしたグッズを使ってもらうことで、障がい者の方への理解や、「低賃金問題」「ダイバーシティ」などの理解を広めていきたい、ということで主催の岡山県備前県民局様からファジアーノにお声がけをいただきました。

ファジアーノはスポーツチームとして、日頃からファン・サポーターの方々に向けてグッズを販売していますので、デザインをいただいて、オフィシャルグッズとして販売させていただくということでお話を受けました。この活動は、2018年から始まり、実際の販売は2019年・2020年と2年間行っています。

Jリーグのシャレン!は、「3者以上の協働者と、共通価値を創る活動を想定」したものという定義です。この取り組みも実際に3者以上の協働者と取り組んでいる活動ですので、シャレン!アウォーズにエントリーさせていただきました。

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ー「障がい者アート」企画についての長船さんの第一印象を教えてください。

長船)率直に言うと、まず「障がい者アート」というワードを耳にしたとき、私自身ピンとこなかったというのが正直な感想です。今までのクラブの取り組みの中で、試合の前日準備に発達障がいの方々にお手伝いに来てくださったりなど、そういう形での障がい者の方々との関わりの経験はあったのですが、「障がい者アート」というのは初めて耳にしたので、「障がい者アートって?」とはじめはイメージが沸かなかったんです。

オフィシャルクッズは通常、応援時にスタジアムで身につけていただいたり、普段の私生活でも愛着を持って使っていただけるものを作っていきたいという想いで企画・作成・販売をします。しかし、今回の取り組みの中では、クラブが意図してデザインしたり、「こういうイメージでグッズを作りましょう」と提案していくというよりは、障がい者の方が描いた絵をプロのデザイナーの方が形にする。クラブ外の方々が作ったものをクラブが採用し、形にするという、今までにチャレンジしたことのない形での取り組みでした。

正直なところ、不安はあったのですが、プロ野球チームの東北楽天ゴールデンイーグルス様が仙台市と同じような取り組みをやっていたという事例もあると聞き、同じスポーツチームが取り組んでいることを知り、我々もチャレンジしたいなと思いました。

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試合観戦を通じて、アートのイメージ作り。初観戦のきっかけに

ー実際にチャレンジしてみた結果、スタッフの方々の間で、取り組みに対する印象の変化はありましたか?

長船)シャレン!が「Jリーグをつかおう!」というメッセージを発信しており、我々も社会課題に対して「ファジアーノをつかおう」というメッセージを発信していこうという方針があった中で、こういうお話をいただけました。

今回で言うと、障がい者への理解、ダイバーシティというところで、我々も広報・発信の面で協力できるのではないかと思い、「障がい者アート」の取り組みにチャレンジしました。

実際にチャレンジしてみて、障がい者の方が描いた絵を、プロのデザイナーの方に入っていただき商品化するというこの取り組みは、良い素材をより良いものにデザインにしていくという相乗効果を感じました。

今回のように、ファジアーノが障がい者の方々と一緒に取り組めたこと、世の中に向けて福祉に関する理解を深められる発信ができたことで、社内にもファジアーノがこんなふうに貢献できるんだ、という実感が広がったと思います。

©FAGIANO OKAYAMA

ー「障がい者アート」の活動をしていく中で、実際に関わられた障がい者の方々やサポーターの方々の反応について、印象に残ったエピソードはありますか?

長船さん)参加していただいた障がい者の方々には、いきなりデッサンしてもらうのではなく、まずは一度試合観戦に来ていただきました。実際に見てイメージをしてくださったり、当日スケッチをしながら観戦していただけたので、とても良かったと思います。

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長船さん)今回関わってくださった障がい者の方の中には、今までファジアーノの試合を観に行ったことがない方も多かったと思います。ですが、お客様がたくさん観戦してる中で試合を見ていただき、「楽しかった、またやりたい」などの声をいただけました。実際にファジアーノの試合を見て感じられたことを形にしていただいたので、その中での達成感のようなものを感じてくださったのかなという印象を受けました。

1年目に販売したトートバッグが完売し、その反響を見て、やってよかったなと改めて感じました。

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ファジアーノを「ハブ」に、地域の課題を解決していく

ー今後取り組んでいきたいことやシャレンとして取り組んでいきたいこと、クラブの方針や、長船様ご自身がが取り組んでいきたいことを教えてください。

長船)シャレン活動を通じて、地域の課題をファジアーノがハブになって解決できるようなことには、ぜひ取り組んでいきたいなと感じています。障がい者アートは、主催者側の想いとしては、デザインの価値や認知度が低いということが課題に感じられていました。

それをファジアーノが連携させていただくことで、より多くの方に知っていただきけるようご協力できたのかなと感じています。やりがいも感じましたし、形にできて良かったと感じています。

今回は障がい者アートという取り組みでしたが、地域の課題に対してファジアーノに相談していただいたり、活用してもらえる存在であり続けたいという想いがあります。地域の方々の声を聞きながら、あるいは、新聞などの情報をキャッチしながら、自分たちに何が出来るのかを考えて、岡山の方々と一緒に岡山をより盛り上げていったり、課題を解決していきたいです。

障がい者アートはとても良いきっかけでした。今後も社会課題に取り組んでいきたいと思います。

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