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【イギリス・ポーツマス大学】募金や寄付を企画する“RAG”という役職とは!?大学女子サッカー部による4つのチャリティ活動

ポーツマス大学

今回は、Sports for Social初となるイギリスの活動を取材しました!

イギリス南部にあるポーツマス大学には140を超える運動部が存在します。サッカー部やバレー部から、日本では聞き馴染みのないクリケット部やネットボール部などもあります。スポーツに関連した学部だけでも、スポーツマネジメント学部、スポーツ心理学学部、さらにEスポーツコーチング学部など幅広く学ぶことができます。

取材を行ったのは、女子サッカー部に所属し、ポーツマス大学3年運動スポーツ科学学科のFreya Bartlettさん(以下、Freya)。実際にサッカー部が1年を通して行ったチャリティ活動を、4つ厳選してお話を伺いました。

アール川洪水
【ドイツより】洪水被害にあったワインを救出!?~FCバサラマインツ・地域貢献の取り組み~ドイツの都市マインツをホームタウンとし、サッカーでドイツ6部リーグに所属するFC BASARA MAINZでは、ドイツ全国で続いた大雨が原因で2021年7月に起きたアール川洪水の被害にあったワイン醸造所(ワイナリー)の支援活動を行いました。どのようなきっかけで災害支援に取り組んだのか、取り組んでみて感じたことなどをフロントスタッフの山極智季さん(以下:山極)と、小柳孝輔選手(以下:小柳)、鈴木楓也選手(以下:鈴木)の3名の日本人の方にお話を伺いました。...

Raising and Givingという募金活動のための役職

ーーまず初めに簡単な自己紹介をお願いします。

Freya)ポーツマス大学3年生のFreya Bartlettです。大学では運動スポーツ科学(Sports and Exercise Science)を学んでいます。サッカー部では、『Raising and Giving (RAG)』という役職で募金活動や寄付活動を企画する役職を務めていました。

ーー実際RAGになってみてどうでしたか?

Freya)勉学とアルバイトと活動の企画、運営を両立するのは想像以上に大変でした。初めてこの役職についた時は、何をしたらいいのかまったくわからない上、何をしているのかもわからない状態でした。本当に想像以上に大変だったんです。しかし、誰かが部を代表してこのような活動をすることに意味があると思いました。以前州のサッカー協会でも似たような活動を経験していたため、RAGという役職に役立てると感じました。

ーー州のサッカー協会で活動されていたお話がありましたが、実際どんなことをされていたのですか?

Freya)州のサッカー協会での活動はサッカーを通しての地域事業でした。サッカーの大会を企画、運営したり、運営を手伝ってくださったボランティアの皆さんにお礼としてプレゼントを渡したりしました。地域一丸となって行う活動であるため、子どもたちも、その親御さんたちもみんな協力をしてくれます。RAGで行なっている募金活動やチャリティ活動とは異なる経験でしたが私自身も楽しんで行うことができました。

サッカー部が行う4つの募金活動

ーーそれでは今回の取材の本題に移らせていただきます。サッカー部が行った主な活動は、Pink Week、MOVEMBER、Mental Health Awareness Week、そしてLGBTQ+ History Monthだと思うのですが、具体的に何の活動か、そしてどんなことをしたのか教えていただけますか?

Pink Week

Pink Weekとは毎年10月のBreast Cancer Awareness Month(乳がん早期発見月間)の中で数日間を通して行われる乳がんについての講演会や募金活動を表し、日本でいうピンクリボン運動のことです。ピンクリボン運動では実際に名前の通りピンクのリボンを身につけて募金活動や活動に賛同していることを表します。Pink Weekではリボンでなくてもピンク色のものであればなんでも良いのです。乳がんについての知識を広めて少しでも多くの人が乳がんについて知ってくれる、「Awareness(意識)」を持ってもらうための活動です。

 

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Freya)Pink Weekでは部員全員でピンク色を身につけてサッカーのトレーニングをし、トレーニング後に全員で募金を行いました。毎週水曜日の夜に行われるPurple Wednesdayというイベントで毎週テーマを決めてみんなで衣装を統一するのですが、この時はテーマを「ピンク」にしてみんなでピンク色の服を着てチャリティーバケツを持ち、パブやクラブを回ってたくさんの方から寄付をしてもらいました。2022年10月18日〜26日の6日間で合計£222(約34,000円)集めることができました。

Movember

Movemberとは男性のメンタルヘルス、男性特有のがん、自殺などの問題についての意識を高めようとはじまった毎年11月に行われる活動です。MovemberのMoはオーストラリアで「口髭」を意味し、それにNovember(11月)を組み合わせた造語です。主な活動としては、1ヶ月間口髭を伸ばしたり、口髭をつけた写真をとってSNSなどで募金活動を行います。他にも平均一時間ごとに60人もの男性が自殺してしまうということからMove for Movemberと題して、一ヶ月を通して60km歩くことによってお金を募り、これらは1250以上の団体に寄付をされます。

 

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Freya)MOVEMBERでは1ヶ月間部員全員の歩数を毎日送ってもらい、集計しました。MOVEMBERの企画の一つに「Move for Movember(MOVEMBERのために行動しよう)」というものがあるため、全員が歩くことでたくさんの方からお金を寄付をしてもらいました。これらは全て、いつも大学を支援してくれている、Solent Mindというメンタルヘルスケアチャリティの団体に贈られました。

私の家族も家族で一ヶ月歩いた分の£50を寄付してくれました!みんなそれぞれいろんな形で募金活動を行いました。

Mental Health Awareness Week

Mental Health Awareness Week別名Green Weekとはその名の通り、メンタルヘルスのついて知ってもらうため、そしてどのような症状、事例があるのか理解してもらうためのイベントです。ポーツマス大学ではそれぞれの部活動がテーマである緑色を身につけ募金活動を行いました。集められたお金は地元のメンタルヘルスチャリティー団体Solent Mindに寄付されます。毎年10月または11月に行われるのですが、地域や国によって開催時期は異なるようです。

 

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Freya)Mental Health Awareness WeekもPink Weekと同様に全員で緑色を身につけてトレーニングを行い、Purple Wednesdayでチャリティバケツをもって募金活動を行いました。私は残念ながら試合で足を挫いたため参加できなかったのですが、パブやクラブでお酒を飲んで酔いながらも、そこに居合わせた方達からたくさんお金を集めることができたみたいです(笑)。

LGBTQ+ History Month

LGBTQ+ History Monthとは日本で毎年6月に行われるプライド月間のこととは少し異なり、10月に行われるLGBTQ+History MonthではLGBTQ+の歴史や今までの歩みを振り返り、より多くの人に知ってもらうための1ヶ月です。一方でプライド月間とはLGBTQ+の権利について啓発するための活動が行われます。ポーツマス大学ではその歴史にまつわる映画上映を行ったり、ドラグクイーンによるパフォーマンス、さらに虹色の靴紐を販売し、それを各運動部が身につけ活動への賛同の意を示します。

 

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Freya)LGBTQ+ History Monthではみんなで虹色の靴紐をつけて練習や試合を行いました。募金活動ではなかったのですが、部が虹色の靴紐を買うことによって、その売上が様々なLGBTQ+チャリティの団体に寄付されます。また違った形のイベントでしたが、とても楽しかったです。

大勢を巻き込むから成り立つ募金活動

ーーこれらの活動の中で一番楽しかった企画はありますか?

Freya)この4つの中では、Pink Weekが一番印象に残ってます。ピンクのものを何かしらを身につけて、お金を入れるバケツを持って、パブやクラブを歩き回るなど本来想像するチャリティや募金活動のやり方ではなかったのですが、大勢を巻き込んでの取り組みでたくさんの人に支えられたため、全員が意欲的な姿勢で取り組むことができました。個人的にはほとんどのチームメイトが参加してくれたことがとても嬉しかったです。

ーーこれらの活動はサッカー部にどのような影響を与えたと思いますか?このような活動へのチームとしての意識が高まったと思いますか?

Freya)とてもいい質問ですね。意識は高まったと思います。このような活動をすることによってポーツマス大学女子サッカー部の印象も良くなりました。部員それぞれが共感したり、支援したいと思ったチャリティに参加しました。女子がサッカーをやっていると聞くだけで「ゲイ」なんじゃないかなどという偏見を持つ方も多いと思います。そこで私たちがLGBTQ+ Awareness Weekに参加することによってそのような偏見が否定的なものではないということを表すことができます。そしてその「ゲイだと捉えられることは否定的である」というのも事実ではありません。「ゲイ」であってもなくても私たちは積極的にサポートします。Pink Weekも女性である私たちが乳がんについての意識を高めるのはとても大事なことです。Mental Health Awareness Weekに関しても世界的にMental Health自体が注目を浴び問題になっている今、活動を支援をすることに意味があると思っています。MOVEMBERもPink Weekが女性のためのチャリティであるのと同じく、大学には多くの男子の部活が存在します。そのため、私たち女子サッカー部が男子のチャリティを支援することも大事であると考えています。そうですね、改めて振り返ってみるととても積極的に活動ができたと同時に私たちの部の印象もとても良くなったと思います。

ーー似たような質問になってしまうかもしれないのですが、このような活動をすることの意義を教えてください。

Freya)そうですね、部活動としてこのような活動は絶対に参加した方が良いと考えています。お金を募ることだけがチャリティなのではなく、活動の内容への意識も高めることができ、そこからより多くの人たちに影響を与えることができます。例えば、私たちが参加することによって、家族もこのことを知ります。すると家族から仕事仲間や友人にこの活動のことが伝わり、どんどん輪を広げ、知ってもらうことができます。知ってもらうことによって、共感者が増え、募金活動が成立します。少しの募金だけでも多くの人の協力があればたくさん集めることができるんです。それだけで活動に対しての意識が変化し、高めることができると考えています。

ーー今後この経験をどのように活かしていきたいですか?

Freya)私は卒業後、教師を目指す上で、このようにイベントや活動の企画や運営をする力を身につけることはとても重要な要素であると考えています。多くの人とコミュニケーションをとり、一つのことを成し遂げるということはそう簡単なことではありません。思い通りに行くことなんてほとんどないし、とてもいい勉強になりました。

一致団結して協力ができる関係性が大事

ーー今は増えてきましたが、日本の大学でもこのような活動をここまで積極的にやっているところをあまり見ません。日本人としてはとても新鮮で新しいことに挑戦している気分でした。イギリスではこのような活動に普段から参加されているのですか?

Freya)小さい頃からずっとやってきましたね。プライマリースクール(5歳から11歳)ではRed Nose DayとChildren Needという活動に参加しました。聞いたことありますか?

ーーはい!名前だけなのですが聞いたことがあります。どのような活動なのですか?

Freya)まず、£1ずつ学校に寄付しそれがチャリティへといきます。さらに普段は制服なのですが、その日はRed Nose Dayのシンボルでもある赤い鼻をつけて1日を過ごします。

Red Nose Dayとは毎年5月に子供の貧困問題に終止符を打ち、全ての子供が健康で教育を受けられるように支援をしようとはじまった、イギリス発祥のチャリティイベントです。活動の名前の通り、Red Nose(赤い鼻)をつけて募金活動を行います。

中学校でも同じように参加しました。私は転校することが多かったのですが、どの学校でも必ずやりました。

ーーそうなんですね!イギリスでは、小さい頃からこのような取り組みが積極的に行われていて、生活の一部であるという印象です。生徒たちも自ら行動を起こすことが多いと感じます。ですので、日本でもこのような活動に参加する人が増えたらなと考えています。

Freya)とてもいいですね!

ーーありがとうございます!日本の学生もこのような活動に参加する上でのアドバイスなどありましたらぜひ伝授してください!

Freya)そうですね、私たちの場合、大学にそのような活動を行ったり、企画をしているスタッフがいます。基本的に金銭的な面はスタッフの方々がサポートをしてくれます。さらに何かこちら側が必要なものがあれば提供してくれる場合があります。なので、私からの一番のアドバイスは、このような活動はお互いに助け合い一致団結して協力ができる関係性が必要で、たくさんの人の協力を得られない限り成り立ちません。活動自体は特に大きくて壮大なものでなくても良いのです。小さなことの積み重ねが大事です。例えば募金箱を持ち歩いて歩き回ったり、パンやお菓子を作って販売するだけでも十分効果的です。なので常に支援してくれたり、サポートしてくれるネットワークを築くことが大切で、関係を築き、保つためには全員に「この活動を支援したい!」「楽しい!」とも思ってもらうことも大事です。

ーー本当にその通りですね。一人一人が何かしらの思いを抱えてはいると思うのですが、なかなか体現する機会がないように感じます。些細なこと、簡単な取り組みから始めて協力を得る。とてもわかりやすいアドバイスです。ありがとうございました!

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