ネットワンシステムズ株式会社(以下:ネットワン)は、Jリーグ・大分トリニータのユニフォームスポンサーおよびソーシャルアクションパートナーとして、社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。
第1回では、竹下隆史・代表取締役社長執行役員(以下:竹下)に『社会貢献』についてお話をいただきました。そんなネットワンシステムズは、大分トリニータアカデミーのユニフォームスポンサーや子どもたち向けサッカー大会の開催なども行っています。
なぜ子どもたちの取り組みをサポートするのか、「社会貢献型スポンサー」を続けるのか——。竹下氏に加え、山形昌子・管理本部総務部シニアエキスパート(以下:山形)にも、考えを伺いました。
“可能性に触れてもらう”場の提供は「公器」の使命
ーー大分トリニータさんとの取り組みのでは、ダイバーシティ(多様性)の観点の他にも、子どもたちの育成という面にも重点を置かれていらっしゃいます。どういった考え方のもとで取り組まれているのですか?
竹下)基本的な部分ですが、子どもたちの笑顔や頑張る姿は、家族や親族、ひいては地域や社会までをも元気にしてくれますよね。我々は、そんな未来を明るくする子どもたちにいろいろな経験をしてもらいたいと思っています。
弊社では「ファミリーデー(※)」という、社員の子どもが会社に来て大人と名刺交換をしたり、お父さんとお母さんがどういう仕事をしているのか知ってもらったりするイベントを毎年実施しています。それも、さまざまな社会の場面を見たり経験したりしてもらいたいという思いが根底にあります。
※「ファミリーデー」は2020年度よりオンラインで実施
ーー子どもたちに「社会」というものを経験させてあげたいと考えたのには、なにか理由はあるのですか?
竹下)「これ楽しい!」というものは、ある程度大人になると自分で見つけることもできますが、子どもの頃はまだ見えている世界が狭いので見つけにくいと思います。
僕らは「こういう楽しみがあるんだよ」と視界を広げてあげて、楽しさを見つけるのをサポートすることが重要だと考えています。多くの可能性がある子どもに“可能性に触れてもらう”場所を提供し、きっかけを与えるのが「公器」の使命の一つだと思っています。
例えば、子どもが、電話がなぜ繋がるか興味を持ったときに「裏側って実はこうなっているんだよ」と、技術的な話をアニメーションで説明してあげたりすると、すごく興味を持つかもしれない。可能性を広げるきっかけや、興味を持ってもらう要素をどれだけたくさん浴びせてあげられるかが大切だと思います。
「大分トリニータとの共創でやりたいことが実現できている」
ーーネットワンシステムズさんでは、大分トリニータさんと連携し子どもたち向けのサッカー大会を実施していますが、一緒にやることについてどのような面で良さを感じていますか?
竹下)このようなイベントや活動は企画、集客、運営を含めて我々だけでは絶対にできないですし、「共にチャレンジし、共に成長しましょう」という意味でもトリニータさんと一緒にやることに大きな意義があると感じています。
ーー実際にこれまで活動を積み重ねていて、竹下さん、山形さんはそれぞれどう感じていらっしゃいますか?
竹下)一言で言うと、『最高』ですよね。試合を見ていると本当に「やって良かったな」と思いますね。
子どもたちの喜怒哀楽もそうですが、年代によってレベルや体力差によるサッカーの違いが見られたり、一人ひとり個性があったり。ある種の多様性なわけですから、見ていてとても面白いです。
山形)「ネットワンわくわくチャレンジカップ」は、参加できる大会が少ないU-8(8歳以下)やU-10(10歳以下)世代を対象にしているのが特徴です。
継続するということを意識していて、大会は今年で8年目になりました。毎年12チームという枠を超えるエントリーがあり、福岡や宮崎という大分県外のチームからもエントリーがあるほどです。定着しているのを感じます。
お兄ちゃんに付いてきてサッカーを始めた8歳の子どもたちや、小学生年代のトップチームにはまだ出ることができない10歳の子どもたちが必死にボールを追いかけている姿があるのは特色かなと思いますね。
Jリーグの「リスペクト宣言~大切に思うこと~」のプロジェクトにも賛同して、先日開催した大会でも、フェアプレーには審判からグリーンカードがたくさんもらえるルールにしました。みんな、相手の選手が転んだら手を差し伸べたり、自ら走ってピッチから出たボールを拾いに行ってました。スポーツを通じて教わる素晴らしい精神だと思います。
「スポーツは社会貢献型」「ビジネス型はエンタメで」
ーーネットワンシステムズとしての事業内容と、子どもたちへの社会貢献活動。なかなか直接的にイメージできるものでもないように思えるのですが、ネットワンさんが子どもたちの支援に力を入れているのはなぜなのでしょうか?
竹下)私自身、事業内容とこの社会貢献活動の支援内容は繋がらないと思っていますし、繋げなくても良いと思っています。
行っている活動も、「我々の社員の考えとして根付いてくれればいいな」というものがメインなので、事業と結びつくからという点はあまり意識していません。
「そういうことやっているのって良いよね」という風土が会社の中で醸成されてくれば、もっと積極的に、いろいろ活動ができるのではないかなと思いますね。
ーー「ビジネス貢献型スポンサー」ということも考えの一つとしてあるかと思いますが、「社会貢献型スポンサー」を続けることをどう考えていらっしゃいますか?
竹下)スポーツは「社会貢献型」で、「ビジネス貢献型」のスポンサーシップはエンターテイメントのほうが合っていると思っています。例えば、たくさんアトラクションのある遊園地というのはエンターテイメントの一つなので、「ビジネス貢献型」のスポンサーが向いていると思うんです。
もちろん「ビジネス貢献型のスポンサーシップをするべきだ」という考え方もあります。ですが私は、それをするならスポーツでなく、別の手法ではないかと考えています。スポーツチームであるトリニータさんとは社会貢献型でスポンサーしていきます。もし私たちがビジネス貢献型のスポンサーをする必要があるのなら、スポーツ以外で考えるべきだと思っています。
ーーすごくわかりやすく、腑に落ちました!
「トリニータの地域密着を活用しながら、できることを」
ーーこれまで大分トリニータとともに多くの活動をされてきたと思いますが、これからの方向としては、どのようなことを考えていますか?
竹下)これからの支援のかたちとしては、今やっていることの延長線上にあることなのかなと思っています。例えば、弊社では昨年度より日本で唯一のデフフットサル女子チーム“アレグリーナ”のスポンサーに参画いたしました。それも、スポーツを通じた社会貢献活動の幅を広げていくなかのひとつで、障がいを持つアスリートの方の支援や障がい者スポーツの普及活動などを行っています。
山形)地域の活性化という視点では、トリニータさんと一緒にeスポーツなど使って、子どもからお年寄りまでさまざまな方が参加できるバリアフリーイベントを開くことを考えて検討もしています。
新型コロナの感染の状況が不透明のなか、実際にできることが限られてしまっているものの、広い面での「地域の活性化」に関することを一緒に支援できたらと良いな思っています。
ーー地域社会に生きる1人として、多くのことに取り組まれようとしているのですね。
山形)過去にも、例えばトリニータのスタジアムにネットワンのグループ会社が提供しているサイネージのシステムや、観戦に来たお子様の位置情報を親御さんが確認できる迷子バンドの実証実験を行うといった、ICTを使ってスタジアム観戦を楽しむ仕掛けの提案など、できることを数多く試してきました。
トリニータさんは、すごく地域に密着しているクラブでもあるので、「地域への根」を活用しながら、今後もお互いの知恵を合わせ、できることを探していきたいと思います。
また、「SDGs」という観点においてもトリニータさんと「一緒に貢献できるコト・メッセージを作っていこうよ」というお話をするなど、地域のプロスポーツクラブならではのできることはないか見つけ出そうと考えています。
ーーありがとうございました!
編集より
ネットワンシステムズ株式会社、竹下社長インタビューの2回目。「社会貢献活動が事業と結びついていなくてもよい」という考え方が印象的でした。社会貢献活動を企業として行うことが、社員の想いを醸成し、さらに社会のためになることができる。まさに、第1回の取材でおっしゃっていた『法人』『公器』という考え方がここでも見て取れます。
大会に参加する子どもたちやファミリーデーに参加する子どもたちなど、関わる子どもたちが本当によい経験ができる、素晴らしい活動が展開されていると感じます。山形さんのおっしゃる「継続することが大事」ということも共感します。これからの活動にも期待しております!