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「“差別や偏見を無視して進むほうがラクだ”と思わないで」Flora × Sports for Social〈中編〉【連載 #女性のコトを考える vol.3】

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Flora株式会社の代表取締役・クレシェンコ アンナさん(以下:アンナ)はウクライナご出身で、現在京都大学に留学しながら日本で産前・産後うつのメンタルヘルスケアに関する事業を展開しています。

海外から見た日本、日本に来たからこそ感じること。
中編では、少しテーマを広げてジェンダー問題について、Sports for Socialを運営する株式会社HAMONZ代表取締役・山﨑蓮(以下:山﨑)との対談形式で語り合いました。

ウクライナと日本で異なる“ジェンダー観”

ーー前編で、「日本は育児は女性がする」など男女の分担がはっきりしすぎていると仰っていました。その点、ご出身のウクライナと比べるといかがでしょうか?

アンナ)日本の場合、小学生の頃から「女性は女性らしく、男性は男性らしく」と、育てられてきたと聞いています。ウクライナもゼロではありませんが、そこまで男女で分けられることはありませんでした。

クレシェンコアンナーー日本はジェンダーや女性の社会進出に関する問題を多く抱えています。アンナさんは、日本の現状をどのように捉えていますか?また、どのようなアプローチで問題に取り組むべきだと思いますか?

アンナ)まず考え方から変えないといけないと思っています。

これはジェンダーに限った話ではありませんが、差別や偏見が頻繁に起こっている状況で“差別や偏見を無視して進むほうがラク”だと思わないで欲しいです。差別や偏見が起こったときに「それはダメだ」と言わないといけないのです。

差別や偏見は社会的な問題で、男性女性に関わらず、差別されている人だけの問題ではありません。“みんなの問題”であるとに気づくことが大切です。

山﨑)ちなみに日本では小学生の時に、「道徳」という心を育成する授業があります。私は、子どもの頃の道徳の教育はすごく重要だと思うのですが、ウクライナでも小さい頃にそのような教育はありましたか?

アンナ)「エシカル」という名前の授業がありました。詳しい内容はあまり覚えていないものの、社会で生きる上でどのように行動すれば良いか?といったことを教えてもらった記憶があります。

ですが、学校の科目だけで道徳観を形成するのは難しいと思っています。

山﨑)「いじめがダメだ」「差別や偏見をなくしましょう」というのは、生きていく中で特段教育されることではないため、どうしても親のリテラシーや思想に偏ってしまう部分があると思っています。

あわせて、こういった道徳の部分は子どもの頃に養っていく必要があり、大人になったときにそれをいちから養うのはすごく難しいはずです。そこが日本の教育の課題だと思っています。

アンナ)そうですね。あとは、ロールモデル(模範)が必要だと思っています。そういう面では、日本の漫画はとても効果が大きいと思います。

山﨑)なるほど、その発想は面白いですね。私は小さい頃サッカーをやっていたのですが、『キャプテン翼』というアニメにすごく影響を受けました。「ボールは友達だよ」という言葉から物を大切に扱うこと、チームで協力することを学びました。漫画はとても良い文化で、いろいろな教養が身につく面があるので、もう少し上手く活用していけたら良いなと感じます。

日常的に差別や偏見があることに気付いて欲しい

ーー日本では、男性への生理に関する深い教育がなされていないため、男性が生理の話題に触れづらいという問題があります。ウクライナではどうでしょうか?

アンナ)正直なところ、ウクライナもヨーロッパ全体で見ると遅れています。

ヨーロッパの他国では、大学で生理の講座があったり、女性だけではなくて男性も参加する性教育のサークルのような活動があったりします。

日本では啓蒙活動は公的機関がやろうとしていることが多く、自ら動き始めようとしてる大学生が少ないと感じます。ウクライナではInstagramなどのSNSや大学のサークルでそういった活動をしている大学生がとても多く、活動はトレンドにもなりました。

山﨑)性に対して自分の意見をオープンにすることは、ヨーロッパやウクライナではスタンダードなのでしょうか?

アンナ)世代で分かれている印象です。私と同じ20代や10代だと、性についての意見を言うと、プログレッシブ(=進歩的)やリベラル(=自由、自由主義的)だと思われます。

ですが、親や祖父母世代になるとそういう文化はなく、まだ差別的な発言をする方もいたり、世代によるギャップがあります。

山﨑)私たちは海外がとても進んでいると思いがちですが、実はそういう側面もあるんですね。課題としてはどういったことがあるんでしょうか?

アンナ)「都市と田舎の差」があると思います。そして最近では、コンサバティブ(=保守的)運動も現れてきて、世界の流れになってきています。ヨーロッパにも多くの問題があって、進んでいるところは素敵ですが、それに対しての反発があることは忘れてはいけません。

山﨑)一部の人が推進している状態で、他の人たちは日本とそこまでの差はないという印象ですか?

アンナ)ヨーロッパだと教育のレベルによって分かれている印象があります。

ですが日本では、教育のレベルが高くてもそんなにプログレッシブ(=進歩的)な感じがせず、保守的な考えが一般だと感じます。私が所属している京都大学でも、フランスやドイツの大学に比べ、学生運動があまりないと感じています。

山﨑)京都大学は日本トップクラスの大学ですが、日本のトップでもそういったことに関してまだ遅れているということに課題を感じますね。

アンナ)学生に能動的になって欲しい

まず、日常的に差別や偏見があるという問題に気付いて欲しいと思ってます。小さなことからすべてが始まると思っています。

Flora×Sports for Social

編集部より

中編では、
●日本とウクライナのジェンダーへの考え方の違い
●身の回りにある「差別や偏見」を無視しない
といったお話を伺いました。

意識すると、思っていた以上にあなたの身の回りに差別や偏見があることもまだ多いかもしれません。「“差別や偏見を無視して進むほうがラクだ”と思わないで欲しい」というアンナさんの言葉にはハッとさせられた方もいらっしゃるかと思います。

まずは、身近なところにどんな問題があるのか知ること、そして声を上げること。変わっていくために、小さなことから始めてみませんか?

後編では、事業や社会へのアンナさんの想い・メッセージをお伝えします。お楽しみに!

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