特集

【関西大学×法政大学】学生起点でSDGsへの一歩を踏み出す

関西大学×法政大学

今回は、2021年発足の法政大学×関西大学の合同団体「KLASH(クラッシュ)」について取り上げます。
法政大学と関西大学では、SDGsの達成に向けて、それぞれの教育研究の特徴を活かしたさまざまな活動を展開しています。
取り組みだけでなく、学生目線でのSDGsに対する考えを法政大学2年・森響子さん(以下、森)、関西大学3年・高倉花鈴さん(以下、高倉)に伺いました。

KLASHは、両校のSDGs活動を行う団体(関西大学:関西大学SDGsキャンパスサポーター、法政大学:SASH)が結束し、共同でプロジェクトを進めていくことでSDGsの更なる普及・達成を狙うことを目的に、発足された合同団体です。

SDGsは自分たちだけが頑張っても達成できない

ーーSDGsの文脈で、距離のある大学同士が協力してアクションを起こすことはすごくユニークな発想だと思います。KLASHの立ち上げの背景について教えてください。

森)2020年の夏に、職員の方が両団体の交流会を企画してくださり、そこで当時関西大学4年生の先輩と出会ったのがきっかけです。
元々、団体を作る予定はありませんでしたが、その出会いがきっかけで学生主体の交流会を開き、その場で皆が意気投合し、団体として発足しました。
関西にいようが関東にいようが取り組み自体はオンラインでできるようになったので、コロナ禍だからこそ生まれた団体だと思っています。

ーー元々SDGsや社会貢献の分野に興味があったのですか?

森)高校生の時はボランティアなどに興味がある生徒ではありませんでしたが、大学生になり、何か社会のためにできることはないかなと漠然と考え始めました。
一人ではなく、仲間と一緒に取り組みたいと思い、大学1年の時にSASHに入りました。

高倉)私は、高校時代に地元の大企業を訪問する機会があって、製品そのものではなく、工場の粉塵や異臭といった、環境問題に興味を持ち、そういった問題に配慮された工場を作れないかと思ったのがきっかけです。SDGsキャンパスサポーターの先輩とお話した際に、自分の環境に対する考えや目指しているものが同じだなと感じました。
SDGsを他人事にするのではなく、SDGs達成のために私も何かアクションを起こしていきたいという想いを活動に活かしたいと考えました。

ーーKLASHは具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

森)KLASHは、プロジェクト単位で動いており、現在は『フードロスチーム』と『ジェンダーチーム』に分かれて活動しています。

『フードロスチーム』は、実際にフードロスを減らすためにどんなことができるかを掲載したポスターを作成して両大学の食堂に設置しました。

『ジェンダーチーム』は、企画自体はまだ未完成ですが、ジェンダーや性教育に興味関心がある若い世代が増えていると実感しているので、それらに関する知識をパンフレットにまとめて両校含め両校の付属校や併設校にも配布したいと思っています。

klash

ーーカテゴリーに分かれて活動をするのは参加しやすいですね。

森)SDGsは17のゴールがあるので、人それぞれ興味のある分野の活動をしています。
バラバラで活動するというわけではなく、チーム同士で意見交換を積極的に行っています。その中で、ジェンダー問題に興味がなかったけど、ジェンダー問題に関心を持つメンバーが増えたり、互いに視野の広がりを感じています。

ーー団体のビジョンや今後活動していきたいことなどがあれば教えてください。

森)言語化したビジョンや目標は定めていません。現在は、大学が違うメンバーとは対面での交流がないので、コロナの状況が落ち着いたら実際に対面でのイベントを開きたいと思っています。

また、SDGs達成を目指す高校生団体「50cm.」と両校の付属校や併設校の高校生とともに、SDGs達成のためにできるアクションを考えるイベントを開催した際、高校生のSDGsに対する関心度が更に高まっているのを感じました。私たちはまだまだ未熟ではありますが、大学生になってからより多くの人と交流する機会が増え、さまざまな課題に対してどうアプローチするかを高校生よりも知っていることが多いと感じています。
いま持っている繋がりを大事にしながら、高校生のやりたいことをサポートする役割をできたらと思っています。

高倉)SDGsは自分たちだけが頑張っても達成できないことだと思っていて、みんなが意識することで達成に近づくと考えています。せっかく法政大学とのつながりができたので、さらに活動の幅を広げていきたいです。

日本に根付いている「意識高い系」という言葉

ーーSDGsや社会貢献活動が重要であると認知されている一方で、ハードルが高いと感じる人も多いと思います。そのような人達を巻き込んでいくために必要なことはどういうことだと思いますか。

森)それは私自身も課題に感じています。高校生の時はボランティア活動をしている人達のことを「意識高い」とか「自分とは違う」と感じていました。

一方で、私も大学生になってSDGsの活動について話すと、「意識高い系」と思われた経験もあるので、両方の気持ちがすごく分かります。

日本には「意識高い系」という言葉が根付いていると思っています。私も「意識高い系」と友人から思われるのが嫌でSNS等では発信を控えていましたが、実際にInstagramで発信をしてみたら、思わぬ人から共感や応援のメッセージがあって「意識高い系」の人たちが作っている壁は大きいと感じました。
特別なことをやっているわけではないので、よりオープンに話をしていけたら、当たり前に心地の良い社会を目指していけると思います。

ーー「社会貢献は身近なもの」だと感じてもらいハードルを低く設定してあげることは大事ですよね。高倉さんはどう考えていますか?

高倉)SDGsの勉強や深い知識は全然必要なくて、水筒を持ち歩くとか、何気ないことでもSDGsに取り組んでいる一員になれると感じています。普段の生活にちょっとプラスすることで取り組めるということを知ってもらえたら、ハードルが高いと感じている人たちを巻き込みやすいのかなと思います。

次世代へ向けて自分ごと化して行動する

ーーこの活動の経験を活かして、大学を卒業してからどんなキャリアを送っていきたいと思っていますか。

高倉)私は環境都市工学部という学部で、環境のことを考えながらエンジニアとしていかに省エネで工場やプラントを建設できるかというのを学んでいます。インフラが発展する上で、利益のことだけでなく、その先の未来の環境のことを考えたエンジニアになりたいと思っています。

森)私は、ジェンダーの問題や変わらない制度で苦しんでいる人たちが心地よく生きられるようにまずは自分自身が自分らしく生きて、周りの人に良い影響を与えたいと考えています。
活動を通じて築いたコミュニティや人と人との繋がりを大切にして、キャリアを歩んでいきたいと思っています。

ーー最後に、学生の皆さんにいつも質問していることなのですが。疫病や戦争といった暗いニュースが多い昨今。皆さんの感じることを教えてください。

森)私たちのひとつひとつの選択・行動によってどういう未来になるかが大きく変わってくるだろうと思っています。特に、今の大学生の世代は思い描いた大学生活がコロナで送れなかったり、幼少期から地球温暖化や少子高齢化などのネガティブなニュースばかり聞かされてきた世代だと思っていて、それを受け入れて諦めるのではなく、自分ごと化して行動できたら日本は少しずつ変わっていくのかなと。
そのきっかけになれるように活動していきたいと考えています。

高倉)これからの時代は明るいか暗いかというと、グレーかと。自分たちの行動次第でどちらにもなりうる重要な分かれ目にあると考えています。今から社会に出ていく世代なので、次の世代に引きついでいけるように、問題に目を背けずにできることをすぐ実行するっていうことが大切なのかなって思います。

編集部より

佐々木健汰(Sports for Socialインターン生/法政大学3年)

今回、Z世代視点でSDGsの取り組みをお届けしました。
社会貢献やSDGsという言葉によって、難しく捉えたり、感じたりする方も多いと思います。
その根底にあるのは、「社会にとって良いこと」だと考えていて、社会貢献やSDGsは決して意識が高いことではありません。
Sports for Social も、「社会にとって良い取り組み」を我々自身が読者目線で、噛み砕いてお届けしています。
「社会にとって良いこと」と捉えると、皆がハードル低く取り組むことができるのではないでしょうか。
そのきっかけの記事になっていただけたら幸いです。

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