アビスパ福岡の社会貢献プロジェクト『FUKUOKA TAKE ACTION』。数多くの企業が参加し、さまざまな活動が行われているこのプロジェクトの中で、今回は『スポーツツーリズム』に関わる『福岡よか街プロジェクト』について取り上げます。
福岡の人が、“福岡のいいところ”を紹介する。
地元のホームゲームだけでなく、アウェイまで応援に行く際、旅行と同様に地元の人たちからいいところを教えてもらえたら嬉しいですよね。そんなプロジェクトが、クラブ・企業、そして“DAO”と呼ばれるトークンホルダーのコミュニティとともに進んでいます。
『福岡よか街プロジェクト』として、2024年5、6月に実施した第1弾『福岡よか街発信隊』発足の背景と効果、そして9月から11月末まで行われている第2弾『福岡よか街探検隊』の注目ポイントについてお伺いしました。
インタビュー対象
- アビスパ福岡 佐川諒さん
- ユニタビ 山﨑英輝さん(株式会社ナビタイムジャパン)
- my route 日比亜矢子(ひびあやこ)さん(株式会社トヨタツーリストインターナショル)、伊藤大貴(いとうひろたか)さん(トヨタファイナンシャルサービス株式会社)
- アビスパDAO モデレーター 重信浩樹(しげのぶひろき)さん
福岡よか街プロジェクトとは?
ーーこのプロジェクトのスタートのきっかけを教えてください。
アビスパ 佐川)私は県外出身の人間で、福岡に来たとき観光や食事、交通網の便利さなどの街のいいところに感動し、“サッカー観戦+α”がこの街で形にできるのではないかと考えました。
私自身、「サッカークラブはそもそも何のために存在しているのか?」と考えるとき、街や人を元気にするためだと思っています。サッカーの試合があったからこそ街が活気づいて、経済も動いて、人も動いて盛り上がっていく。
この街のポテンシャルをどのように活かせるのか考えていたとき、以前からの知り合いだったナビタイムの山﨑さんの顔が浮かび連絡したことからこのプロジェクトがスタートしました。
ユニタビ 山﨑)株式会社ナビタイムジャパンでは、2023年4月にスポーツビジネス事業部を立ち上げ、『ユニタビ』というサッカー観戦におけるスポーツツーリズムの活性化を目指したアプリをぴあ株式会社とともにスタートさせました。
スポーツツーリズムやスポーツによる地域活性化に取り組むためには、クラブ担当者の地域に対する熱量がどれだけ大きいかが重要だと考えています。アビスパ福岡さんには、佐川さんの熱い想いと、それを実行する『FUKUOKA TAKE ACTION』という座組があり、「私たちもご一緒させていただきたい」と話が進み、アビスパ福岡さんと当社が主体となり、本プロジェクトが発足しました。
ーーこの取り組みには、トヨタファイナンシャルサービスの提供するアプリ『my route』も大きな役割を果たしています。
my route 日比)my route のビジョンも移動の自由を通して街を活性化する事です。佐川さんがおっしゃるようにスポーツイベントは我々の目指す事とビッタリなので、アビスパ福岡さんのホームゲームでのブース出展などを活用させていただいていました。そのなかで、『ユニタビ』を活用したプロジェクトを考えていると伺い、3社で相乗効果が出せるのではないかと感じていました。
おでかけアプリ『my route』にて、西鉄の一般路線バスをお得かつ便利に利用可能なデジタルチケットを提供しており、この企画にピッタリなのではないかと思いご一緒させていただきました。
先進的コミュニティ『アビスパ DAO』が活動を進める大きな原動力に
ーー『FUKUOKA TAKE ACTION』が推進力をもってさまざまな活動を進めている背景には、『アビスパ DAO』の存在があると伺いました。そのDAOの一員として活動する重信さんは、どのようなきっかけで始められたのでしょうか?
アビスパDAO 重信)コロナ禍をきっかけに地元である福岡に戻ってきたのですが、アビスパ福岡のことはずっと応援していました。クラブの社会貢献活動にもサポーターとして参加していて、佐川さんともお話したこともあり、「福岡に帰ってきて個人的になにかお手伝いできないか」と思っていたときに、ちょうど『アビスパ DAO』が始まったので参加することにしました。
ーー『アビスパ DAO』では、このプロジェクトにどのような関わり方をしているのでしょうか?
重信)この『福岡よか街発信隊』というプロジェクト名をDAOメンバーで決めさせていただきました。
また、実際に走り出す際のおすすめの場所のクチコミ登録も、DAOのメンバーが率先して行いました。SNSにも長けているメンバーが多く、開始1週間で140ものスポットを登録することができました。
山﨑)すごいスピードで多くのクチコミ情報を登録していただきましたし、地元のサポーターしか知り得ないディープな情報も多く、ありがたさと同時にDAOメンバーのアビスパと福岡の街に対する想いの強さを感じました。
ーーDAOメンバーがこうしたプロジェクトに関わる上で、どんなメリットが出せていると感じますか?
重信)「おすすめのお店を教えて」というのは、SNSで集めてもいいと思うんです。しかし、DAOというある程度自分の存在もお互いに認めあったコミュニティでまずは集めることで、“クラブのために”何かしたいと思う方々によるポジティブな情報が集まりますよね。
ーーコアな熱量も持った人たちからの情報というのは、他のサービスとの差別化という意味でも素晴らしいものですよね。
重信)私もアビスパ福岡サポーターとしてアウェイの試合観戦にも行きます。サッカーも好きですが旅行も好きなので、アウェイ遠征時には「おいしいものがどこにあるかな?」「地元のチームの人たちが集まる店ってどこにあるんんだっけ?」といつも探していたんです。『ユニタビ』はそうした想いを完璧に捉えていて、「サッカー好きが紹介するお店は間違いない!」と思わせてくれます。
ーー5月から6月にかけて、アビスパ福岡のホームゲーム4試合で、『福岡よか街発信隊』の活動が行われました。
佐川)実際に活動がスタートして、DAOメンバーも含め福岡の人たちの“おもてなしの精神”を改めて感じました。自ら進んでおすすめの情報を投稿してくれる方がすごく多くて。
昨年、ガンバ大阪線が天候により急遽中止になった際も、SNSでハッシュタグをつけてガンバサポーターに福岡の街を楽しんでもらうためのグルメ・スポットの発信をしていたことを思い出しました。
ーー課題に感じたことはありますか?
佐川)4試合で約1,000人の方が参加していただき、『my route』のチケットは100枚強ご利用いただきました。
参加してくれた方自体が、DAOメンバーだけでなく一般の方にも広がったことは嬉しいのですが、もっとこのプロジェクト自体の認知を広げていきたいと思っています。
このプロジェクト自体をアビスパの一つの文化として育てていきたいと思っていますし、そのためには、すべてのサポーター、スポンサー企業、自治体など、より多くの方に使っていただきたいと思っています。
my route 伊藤)今回は、これまで『my route』独自の取り組みだったところを、ナビタイムさんやDAOメンバーとともに促進していく枠組みになったことが非常によかったと感じています。こうした枠組みとしてスタートできた一方、私たちも企画のわかりやすさ、どんなチケットだったら多くのお客様にわかりやすく届くのか、などをもっと考えて突き詰めていかなければと改めて感じました。
ーーナビタイムさんから見てどう思いますか?
山﨑)これまでのJクラブによるイベント・施策は、アビスパ福岡さんに限らず企業や自治体のブース出展やサービス促進など、単発の取り組みになってしまっていることが多く、ファン・サポーターの体験やカスタマージャーニーまで考え切れていないと感じていました。
今回の『福岡よか街発信隊』では、家を出てからスタジアムに着くまでの移動を『my route』アプリが、その前後で立ち寄る飲食店や楽しみ方などの情報提供を私たちの『ユニタビ』アプリが担い、DAOのメンバーが有益な情報をそこに入れていくことで、“サッカー観戦の1日を楽しむ”というストーリーに繋がった取り組みになりました。しかも、このストーリーを1社だけではなく、複数の企業・人たちが関わって作り上げたことが非常に大きなポイントであると思っています。
認知を広げることは課題ではありますが、Jリーグが誕生して30年間、「試合を観に行く」ことをツーリズムの一環として捉えている人が多くいなかった背景もあるので、今回こうして気づきが生まれたことは1つの大きな成果だと感じています。
次は“探検”!?
ーー今後の発展への展望をお聞かせください。
日比)このプロジェクトの第2弾が、9月から11月までのホームゲームで行われる『福岡よか街探検隊』です。知るだけでなく、“探検”として行動も変えてもらおうという形です。
さまざまな場所を探検していくと、指定したスポットに準備されているステッカーを集めることができます。そのステッカーをボトルに貼ることで、自分色に染めたマイボトルができあがるというわくわくが詰まった企画になっています。さまざまなスポットを訪れる際に、my routeのデジタルチケットを使って、バスを乗り倒していただきたいです。
ーー“行動を促す”というのは、さまざな仕組みが整ってきた中で素晴らしいアクションになりますね。
重信)アウェイサポーターに対しても、せっかく福岡に来たので、やはり迎える私たちとしてはいい場所を紹介してあげたいですよね。
ご当地の食べ物のおいしい店、特産品の店や、サポーター同士談義ができるアビスパのコアな場所など、是非アウェイサポーターの方々にも楽しんでいただけるような情報提供ができればと思います。自分で検索するよりも、『ユニタビ』で調べ、サッカーファンの口コミを確認することで、お店に対する敷居も低くなり、迷っていたところにも行きやすくなるのではないでしょうか。
ーークラブとしても、こうした参加メンバーがそれぞれ発展的なことを考えていくことは嬉しいことですよね。
佐川)そうですね。加えて、マイボトルのお話は、『FUKUOKA TAKE ACTION』の中の『ステハジプロジェクト』という別プロジェクトともリンクしています。
スポーツツーリズムで地域を活性化させるだけでなく、プラスチックゴミ問題や環境に対するアクションの要素も加わり、点と点が繋がることになります。福岡市が出しているマイボトルの給水スポットの情報とも合わせると、街で楽しみながら地球環境にも貢献できる魅力的なプロジェクトになっていきますよね。
そして、第2弾では、企業さんなど関係人口もより増えていきます。そうしたことも楽しみの一つですね。
ーー皆さまからよかまち探検隊のおすすめポイントを教えてください!
佐川)サッカー観戦を何倍も楽しくするために、『ユニタビ』や『my route』のチケットは絶対に使った方がいいと思っています。私はクラブ側の人間ですが、使わない理由が本当にないなと思っていますし、心からおすすめしたいですね。
伊藤)昨年ホームゲームでブースを出させていただいた際に、アウェイのサポーターはまだまだ福岡の観光に関心を持っていただけないなと思っていました。福岡出身者としては、そういう人たちにこそチケットを使って福岡のいろいろなことを知ってほしいという想いがあります。お得な情報をより多くの人にしっかりと届けていきたいです。
日比)アウェイサポーターだけでなく、アビスパ福岡サポーターも知らないことってたくさんあると思います。今回のプロジェクトをきっかけに、『ユニタビ』で情報収集をしていただく。その日に行かないとしても、福岡をさらに楽しんでもらうきっかけに繋がっていくことができればと思っています。
山﨑)多くの方に“サッカー観戦の1日”をより一層楽しんでいただきたいと思っています。
楽しみ方は皆さんそれぞれあると思います。例えば私は、観戦が終わったらその街で食事やお酒を楽しみたいですし、お子さん連れの方は試合の前に子どもが遊べる場に立ち寄ってから試合を観ることも良いと思います。何が正解ということもないので、数多くの楽しみ方をこのプロジェクトを通じて皆さんに見つけていただき、アビスパ福岡も街もより好きになってもらたら嬉しいです。
ーーありがとうございます!