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地域を活性化するための“人をつくる機会を”|湘南ベルマーレフットサルクラブが小田原に仕掛ける『B-Zebras SPORTS BRIDGE』とは?

湘南ベルマーレフットサルクラブ

フットサルの日本最高峰のリーグ『Fリーグ』での活躍だけでなく、湘南ベルマーレフットサルクラブはその社会貢献活動でも注目を集めているスポーツクラブです。

湘南ベルマーレフットサルクラブ
湘南ベルマーレフットサルクラブにしかできない地域との関わり方〜歴史から紐解く愛されるクラブへの道筋〜「まわりの人を巻き込み、地域に必要な存在になる。」 Fリーグに所属する湘南ベルマーレフットサルクラブは、故・久光重貴氏の活動の魂を受け継いだ『久光モデル』や、新しいブロックチェーン技術の『FiNANCiE』などにより、福祉・防災・教育などスポーツ領域を超えて、広く社会につながり、地域にとって必要なクラブを目指しています。 自分たちだからこそできる地域との関わり方をするクラブの想いはどのようなものなのでしょうか? 株式会社湘南ベルマーレフットサルクラブの代表取締役社長の佐藤伸也さん(以下、佐藤)の想いや考えを、Sports for Social代表の山﨑蓮(以下、山﨑)が紐解きます。...

自クラブが主体となって実行する地域への貢献だけでなく、“人を育てる”活動にも力を入れており、今回募集をかける『B-Zebras SPORTS BRIDGE』は、「人材育成のための仕掛け」だと湘南ベルマーレフットサルクラブの佐藤伸也社長(以下、佐藤)は言います。

地域貢献人材をいかに育てるのか?そのヒントを得るために、湘南ベルマーレフットサルクラブの佐藤社長と、『B-Zebras SPORTS BRIDGE』の仕掛け人である3Trees 株式会社 代表取締役COO 荒川大寛さん(以下、荒川)にお話を伺いました。

湘南ベルマーレフットサルクラブ

“ローカルゼブラ”の人材を育てる

ーー今回、湘南ベルマーレフットサルクラブで募集をかけている『B-Zebras Sports Bridge』について教えてください。

3Trees 荒川)B-Zebras SPORTS BRIDGE』は、スポーツビジネスを学ぶプログラムの中でも、とくに“ローカルゼブラ型の社会実装人材育成プログラム”です。
昨今のスポーツクラブは地域にどれだけ根差していけるかが大きなテーマとなっている中、湘南ベルマーレフットサルクラブは全国的に注目を浴びています。

そのクラブが推進している“ローカルゼブラ”を進める人材を育てていく機会としての実践型プログラムが今回7月から開講する『B-Zebras SPORTS BRIDGE』です。

ーー改めて、湘南ベルマーレフットサルクラブとして考える“ローカルゼブラ”について教えてください。

湘南ベルマーレフットサルクラブ 佐藤)もともとスポーツクラブ運営は、地域づくりに寄与したいと言い続けているものの、具体的には試合会場でのアクションが中心となってしまうことも多くあります。試合に来ない人にとっては「このクラブは具体的に地域のためになにをしているの?」というのがわかりにくくなっていると感じています。

湘南ベルマーレフットサルクラブでは、“地域のためのアクション”をしっかりとやっていきたいと思い、社会課題解決に重点を置いて取り組むようになりました。こうした動きを通じて、スポーツの持つ人を巻き込む力や影響を与え波及させていく力の強さを改めて感じます。今までは私たちも含めてその活動を試合への集客や、スポンサー獲得に活用するなど、自分たちへのリターンを中心に考えていたのですが、そうではなく、誰かと何かを組んで、「“地域創生”につながることで結果的に自分たちに返ってくるようなことがないか」と考えているときに、経済産業省が提唱する“ローカルゼブラ”の概念と出会いました。

湘南ベルマーレフットサルクラブ

ーースポーツクラブでローカルゼブラを推し進めるクラブは珍しく、湘南ベルマーレフットサルクラブは注目を浴びていますね。

佐藤)当初は“僕ら自身がローカルゼブラ”だと思って進めていました。ですが、さまざまな仕組みを学んでいく中で、自分たちがローカルゼブラである部分もありつつ、それ以上に“ローカルゼブラを推進する中間支援や伴走役”に当てはまるということがわかってきました。

そう考えると、自分たちだけでなくさまざまなローカルゼブラと組んでいったり、ローカルゼブラになりうる人たちを育てることの重要性を感じるようになりました。こうした活動を推進していくためには、“地域創生に携わる人を育てる”もしくは、そうした人を地域の外から引っ張ってくることの大事さも感じるようになっています。今回のプロジェクトでは、人を育てながら人を連れてくることが同時にできると思いますし、ベルマーレが携わる意義にもなると思っています。

“主体者”となる人を育てるためのカリキュラムに

ーー湘南ベルマーレフットサルクラブが旗を振る地域貢献活動に対して、参加者として関わってくれる方も多くいらっしゃる印象があります。そうした方を増やすだけではなく、“育てる”ことにはどのような意義があるのでしょうか?

佐藤)こうした活動の“主体者”となる人を増やしたいと思っています。
社会課題解決の活動には、多くの人が集まって協力してくれますが、よくあるのは毎回同じ人たちだけが集まってしまうことです。そうすると、その人たちの予定が合わなければ、活動は実施されないことも可能性として生じてきてしまいます。

ーーたしかに、活動をスタートさせるだけでなく、広げていくことはまた違った難しさがありますよね。

佐藤)主体となれる方がいれば活動自体にフォロワーが増えて、広がりが生まれるのですが、そうした方が自然発生的に出てくるのを待つのではなく、リーダーシップを取れる人になるように仕掛ける必要があります。いま小田原の地域で活躍している人もいますが、その方たちは老舗企業の二代目や外部からリーダーシップをすでに持っている人が来たパターンが多く、“育つ機会”のあった人たちです。

都会だったらそうした機会は多くあるかもしれませんが、地方では多くない。私たちのようなローカルゼブラを目指す存在が、仕掛けを作って人を集め、しっかり育てることで“意識”が変わる人が出てくるのではないかと思います。

湘南ベルマーレフットサルクラブ3Trees 荒川大寛さん(写真左)、湘南ベルマーレフットサルクラブ 佐藤伸也さん(写真右)

ーーどうやったらそのような“主体的な”人材が育つのでしょうか?

荒川)湘南ベルマーレフットサルクラブでは、佐藤さんがまさにローカルゼブラを体現してきました。その実践の中でクラブが地域と築いてきた信頼関係、課題との向き合い方、解決策の設計と実行、そして振り返りまでのプロセスを丁寧に棚卸しし、体系的に整理。この実践知をもとに、インプットと実践を繰り返しながら定着させていくカリキュラムを組んでいます。

受講生は半年間かけて、湘南ベルマーレフットサルクラブを題材にさまざまなことを学び、そのホームゲームの場での実践を繰り返します。さらに、その学びから自身の企画を考え、次のシーズンには湘南ベルマーレフットサルクラブの企画として採用されることを目指していきます。

湘南ベルマーレフットサルクラブ

リーダーシップを取れる人材とともに小田原を変えていく

ーーリーダーシップをとれるような主体者に変わっていくためには、佐藤さんはどのようなことが必要だと思われますか?

佐藤)“自分で決断できる”ようになることだと思っています。決断をするには根拠が必要ですし、その決断を後押ししてもらうために人としての魅力や仲間との信頼関係も必要です。
自分の力でなにかを変えたい!と思うようなモチベーションを持つことができれば、自ら決断して進める“主体者”になれるのではないかなと思っています。

ーーインプットの機会や実践の機会が多くあることで、主体者に変わっていくチャンスも多くなるのですね。

佐藤)こうして取り組んでいて思うのは、1人だけでも“コミット”する人が増えると本当に組織は変わるということです。そして私たちのようなスポーツクラブが変わることで、街へのインパクトも大きく変わります。

大きな企業と比べて、私たちのような小さなクラブは地域を素手で触っているような、そんな感覚があります。変化が手に取るようにわかるのは私たちの働きのやりがいでもありますね。

ーー地域が変わることを実感できたら、それは本当に自分に前向きなスイッチが入りますよね。

佐藤)ローカルゼブラに取り組む中で、地方創生で最先端を行っている地域にも話を聞きましたが、「熱量をもった人が10人いることが大切だ」と実感しました。リーダーシップをもった存在が複数人いることで、街全体が変わっていっていました。

そうした状況をつくるためには、仕掛けを作り、「おもしろそう」と思った人材を集め、育てていくことが大切ですよね。

ーー小田原の地域が目指していくことはなんでしょうか?

佐藤)ここ15年ほどで街も変わってきていて、昔は閉鎖的なイメージがあったものがなくなり、非常にいい街になっていると感じています。ただ、歴史がある企業やそれぞれにブランド価値を持った存在が多くある中で、そこに“横串”を刺して地域一体で成長していくための存在がいない。そこにベルマーレフットサルクラブの価値があると思っています。老舗ブランドの人たちと地域を創り、移住してきた新しい人たちと気軽にコミュニケーションを取れる存在、ベルマーレが新しいことをやるならいいだろう、と思っていただける存在としてこの地域で存在感を出していきたいと思っています。

荒川)スポーツクラブの持つ、地域に対して自然に入り込める力は大きいですし、とくに湘南ベルマーレフットサルクラブはそれが実践できているクラブだと感じています。

湘南ベルマーレフットサルクラブ

『B-Zebras SPORTS BRIDGE』で多様な人材との化学反応を

ーー今回の『B-Zebras SPORTS BRIDGE』を通して、どのような人が集まり、どのようなな未来が描けると考えていますか?

荒川)この『B-Zebras SPORTS BRIDGE』には、副業・起業・地域貢献に関心があり学習意欲の高い若手人材や、この小田原という地域を盛り上げたいと思っている人たち、プロスポーツクラブで働いていた方々や元選手を含めたスポーツ関係者の方たち、ゼブラに興味がある人たちなど、多様な人に集まっていただけたらと思っています。

佐藤)スポーツに関心のある人は多くいますが、その中でも“地域貢献”にしっかりと関心を持っている、スポーツにも熱狂できる人は是非ご一緒したいですね。ただ、これからの地方創生のためには収益性を求めるビジネス感覚も必要です。そうした気持ちを持つ人たちと、この『B-Zebras SPORTS BRIDGE』をご一緒できれば嬉しいですね。

ーーさまざまな方が来ていただいた中で、どんな化学反応が起きるのか楽しみですね。本日はありがとうございました!

〈B-Zebras SPORTS BRIDGEへの申し込み〉
申込方法:下記フォームよりお申し込みください。https://forms.gle/Rz6xL7f7Ra7MFewZ6
募集期間:5月20日 〜6月25日
選考:実施なし、エントリー者は募集受付〆切後に詳細連絡

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