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【シャレン!/栃木SC】「温泉街を生かしコロナ禍の家庭に温泉を」

栃木SC_サムネイル

Sports for Socialでは、「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJリーグクラブの「想い」を取り上げます。

栃木SCは、「温泉デリバリー」の活動を通じ、新型コロナウイルスの感染拡大によって休業状態になってしまった地元の温泉業界を応援。県内の他のプロスポーツチームと連携し、温泉地の源泉を、無料で家庭に届ける取り組みを行いました。

栃木SC運営部ホームタウン担当・赤井秀行様(以下:赤井)へのインタビューでは、コロナ禍で苦しむ県民や温泉街への“想い”が伺えました。

“コロナ収束後は温泉街へ”という想いも

ーー「温泉デリバリー」とは、どのような活動なのでしょうか?

赤井)「温泉デリバリー」では、普段自宅では楽しむことができない温泉地の源泉を、県民のみなさんのご家庭に届ける、という活動に取り組みました。新型コロナウイルスの感染が拡大し、不要不急の外出の自粛が呼びかけられていた昨年2020年5月に、県内5つのプロスポーツチームと連携して実施しました。

ーー「温泉デリバリー」を始めたのは、どういったきっかけがあったのでしょうか?

赤井)温泉業界の方から、「外出自粛の影響で、温泉街に来る人が少ない」という相談を受けたことがきっかけでした。

話を頂いた、若手経営者らでつくる栃木県旅館ホテル若旦那の会からは、「温泉街が困っている」という話とともに、廃業にまで追い込まれてしまった旅館もあるという実情も伺いました。そうしたことから、栃木県には温泉街がたくさんあることを生かして、温泉街にある温泉を家庭に運ぶ取り組みをしてみようということになりました。

外部との接触がないのがこの取り組みの特徴で、感染拡大当初、人ごみへの大きな不安があった中、安心して温泉を楽しんでもらうことができたと思います。

栃木SC_温泉

ーー温泉街の方々からはどういった反応がありましたか?

赤井)温泉地の方からは、「プロスポーツチームとのコラボはなかなかできるものではないので、今回協力していただけて感謝している」という言葉を頂きました。

温泉そのものでリラックスしてもらいたい、という想いと同時に、“コロナが収束した際にはぜひ温泉地に行ってもらいたい”という想いも持って取り組みました。

「笑顔が見れて良かった」

ーー実際にスタッフの方は、どういった想いで取り組んだのでしょうか?

赤井)私も他のスタッフとともに、クラブの事務所がある宇都宮から鬼怒川温泉までの片道1時間ほどの道のりを、温泉を入れた20Lポリタンク5つ(1家庭分)を載せて運転しました。

栃木SC_温泉デリバリーその時は、とても暑かったことを覚えています。車の冷房をかけたい気持ちもありましたが、60~70℃あった温泉が冷めてしまうことを恐れて冷房をかけなかったため、まさに「サウナ状態」でしたが、運んでいるときから、温泉を使ってくれる人の笑顔が浮かび、「早く運ばないと」という気持ちでいっぱいでした。

ーー利用者の方からの反応はどういったものがありましたか?

赤井)多くの方へ源泉を届けることは出来ませんでしたが、約40組の応募の中から抽選で4家族に配布することができました。

家で温泉を体験できる機会はめったにないので、喜んでもらえましたね。チームのオフィシャルカーで運んだため、お子さんがいる家庭では、そのことも同時に喜んでもらうことができました。

届けた瞬間、笑顔で迎えてくれて、差し入れをもらったりすることもありました。利用者の方々の笑顔を見ることができた時、活動をしていて良かったなと思いました。

栃木SC_温泉デリバリー

ーーこの活動は、コロナによってリーグの活動が止まっていた時期と重なりますね。

赤井)Jリーグの活動が止まったことで、会社も1、2か月ほど休業。その間、ホームタウン活動もほとんどできなくなってしまいました。

コロナ禍で人と会うのもはばかられる中、やれることは多くはありませんでした。ですが、私たちを快く迎え入れてくれるサポーターの皆さんからは、「栃木SCは、いろんなことで頑張っている」という反応をもらうことができました。

「普段の支えの“恩返し”をしていきたい」

ーー県民とスポーツチームが連携するのは特徴的ですね。

赤井)この活動は、栃木SCだけではなく、県内のスポーツチーム(サッカー関東1部・栃木シティFC、自転車ロードレース・宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼン、バスケB1・宇都宮ブレックスなど)と連携して行いました。

5チームが連携した支援活動は、2011年の東日本大震災の「募金活動支援」以来2回目です。

ーー県内のスポーツチームとの連携のこれからについて、どのように考えていますか?

赤井)この「温泉デリバリー」活動を通じて、スポーツチームが連携することによって、県民の皆様に元気や勇気を与えることができるということがよく分かりました。今後もこのような活動を続けていきたいと考えています。

「スポーツクラブは人に元気や勇気を与えることができる」とよく言われますが、反対に、私たちの方が県民の皆さんから元気をもらっています。普段は“支えてもらっている側”の私たちが、これからの社会貢献活動で、県民の皆さまに「恩返し」をしていきたいと思っています。

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ーー今後の社会貢献活動の展望を教えてください。

赤井)今後取り組もうと思っているのが、「貧困」へのアプローチです。“格差をなくそう”という活動をしていきたいと考えています。具体的には、各家庭で余っている食材をホームスタジアムで回収し、困っている方に届ける「フードバンク」の取り組みを、徐々に始めていきたいと思っています。

そして、「SDGs」の取り組みにも、より力を入れていきたいと思っています。栃木県はSDGsに力を入れている県だと言われているので、行政とも手を組んでいきたいと思っています。

ーーありがとうございました!今後のご活躍にも期待しています!

(写真提供:栃木SC)

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