特集

スポーツが地域を盛り上げ、そして世界へ〜ダンロップがゴルフトーナメントを主催・協賛する理由〜<前編>

「ダンロップ」ブランドのタイヤで知られる住友ゴム工業株式会社は、タイヤ事業のみならずゴルフトーナメントの主催・協賛を行っています。

日本のゴルフ振興を牽引する存在となった同社は、なぜスポーツの振興に注力するのか?スポーツを通じて創りたい世界とは?代表取締役社長である山本悟氏(以下:山本)にお話を伺いました。

山本悟社長_住友ゴム工業写真提供:住友ゴム工業

日本に世界基準のゴルフトーナメントを

住友ゴム工業は、3つのゴルフトーナメントを主催・特別協賛しています。日本のゴルフ振興のパイオニアである同社は、ゴルフトーナメントを通じてどういった取り組みをしているのでしょうか?

ーー始めに、国内最大級のゴルフトーナメントであるダンロップフェニックストーナメントについて、概要と取り組み内容を教えてください。

山本)11月に宮崎県で開催している男子ツアーです。「宮崎から世界へ」という理念を掲げ、1974年にスタートしました。日本で世界基準のゴルフトーナメントを開催し、日本でのゴルフ振興を図ることを大きな目的としています。

著名な海外選手も多数出場し国内屈指のレベルの高いトーナメントとして、定評があります。

ダンロップフェニックストーナメント写真提供:住友ゴム工業

ーー続いて、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンではどのような取り組みをされているのでしょうか?

山本)9月に宮城県で開催している、東北で唯一の女子トーナメントです。1973年にスタートし、非常に歴史のある大会です。主催者であるミヤギテレビさんの趣旨に心から賛同し、当社は1998年から特別協賛をしています。

この大会は、地域に根ざしたトーナメントであることが大きな特徴です。社会貢献活動にも注力し、一例として宮城県立こども病院への支援を続けています。大会を通じ集められた寄付金から車椅子や医療機器を寄贈したり、出場選手の皆さんに病院を訪問いただいたりしています。患者さんとプロ選手が親睦を深めることで、患者さんを激励できればと考えています。

また、東日本大震災後は様々な復興活動支援も行っています。

住友ゴム_病院慰問写真提供:住友ゴム工業

ーースポーツを通じた社会貢献を強く意識されているのですね。

福島オープンに込められた想い・目的とは?

ーーではダンロップ・スリクソン福島オープンについて教えていただけますか?

山本)2014年にスタートした、6月に福島県で開催している東北唯一の男子トーナメントです。この大会には、4つの特徴があります。

1つ目は、男子ツアーが開催されていないエリアでトーナメントを開催していることです。プロの卓越したプレーを目の当たりにすることでゴルフの魅力や感動を感じていただきたい。
それが、ゴルフの活性化と地域のスポーツ振興にもつながると考えています。

2つ目の特徴としては、総事業費をスリム化した低コストでのトーナメント運営です。スタート当時は男子トーナメントの試合数が減少傾向にあり、本大会がモデルケースとなり、試合数増加の呼び水となればと考えました。

3つ目はジュニア育成です。他のスポーツと比べ、幼い頃からゴルフに触れる機会は少ないと思われますが、その機会を少しでも増やしゴルフに興味を持ってもらうことが重要であると考えています。様々なスポーツに触れることで子供たちの視野を広げ、健全な成長につながればと思います。

4つ目は、地元企業の協力により地域に根差した大会であることです。地域に寄り添い、震災からの復興を支援することを目指しています。福島県の白河市に当社のタイヤ工場があり、福島県には日頃より大変お世話になっています。白河工場の従業員の多くが、ボランティアとしてこの大会運営に参加し一緒に地元を盛り上げています。

ダンロップ・スリクソン福島オープン‗プレー写真写真提供:住友ゴム工業

ゴルフを通じて福島県の役に立ちたい

ーーこの大会の特徴を踏まえ、具体的にどんな活動をしているのかをお伺いします。まず、震災からの東北・福島の復興についての取り組みを教えてください。

山本)東北の復興は地元の人たちの手で進めていただき、我々は地元の皆さんのお手伝いをすることが復興の支援につながるのではないかと考えています。

本大会には、100社以上の地元企業の皆さんにご協賛やご協力をいただいており、まさに地域密着の運営ができていると思っています。地産地消で、出場選手や関係者、観客の皆さんの大会中の宿泊や飲食はもちろん、大会看板やパンフレットなどの制作も地元の企業にお世話になっています。また、福島県には本当においしいものがたくさんあります。福島産の食材の安全安心をPRする「ふくしま交流の夕べ※」というイベントや、地元で獲れた野菜を観客の皆さんに配る取り組みを、地元の皆さんと一緒に進めています。
※地元・福島産の食材を用いた料理が、出場選手たちに振舞われるイベント

ダンロップ・スリクソン福島オープン‗食材の写真1写真提供:住友ゴム工業

ーー福島県の食材はおいしいものが多くありますよね。ところで『ゴルフを通じた地域活性化』ということについて具体的な取り組みはどのようなものがありますか?

山本)地元のアマチュアゴルファーに門戸を広げ、プロの大会に出場できる機会を創出すべく、アマチュア選手の予選会を開催しています。福島県南部にはゴルフ場も多く、ゴルフが盛んなエリアです。予選会を勝ち上がりプロと一緒にプレーすることを目指し、大勢のアマチュアゴルファーが日々精進されています。

ーーそうしたゴルフの盛んな地域において『ジュニア育成』にも力を入れられているとのことですが、具体例を教えてください。

山本)一例として「スナッグゴルフの普及に取り組んでいます。スナッグゴルフはプラスチック製のゴルフクラブと柔らかいボールを使用し、小学校低学年の子どもたちでも安全に楽しくゴルフの基本が学べます。

本大会の共催者でもある日本ゴルフツアー機構の協力により、地元の西郷村、白河市全ての小学校にスナッグゴルフのキットを配布したり体験会を実施するなど、ゴルフに親しんでもらう活動をしています。そうした取り組みもあり、西郷村ではスナッグゴルフの全国大会が開催されるまでになっています。

ダンロップ・スリクソン福島オープン_スナッグゴルフ写真提供:住友ゴム工業

編集部より

前編では、住友ゴム工業が主催・協賛しているゴルフトーナメントの概要や取り組み、大会を通じて成し遂げたいことやその想いを伺いました。

後編では、同社のスポーツ事業の歴史、スポーツ事業を行うことへの想いについてお届けします。

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