箱根駅伝は、正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」で、年に一度1月2日と3日に開催されます。
今年もその夢舞台に進むチームが決まる季節。その大舞台に進むことができる10校は、2024年10月19日に予選会で決定します。
この記事では、その歴史だけでなく、予選会の楽しみ方を紐解いていきます。
(編集部追記:記事下部には、第100回予選会の結果を掲載しています。)
箱根駅伝予選会 いつから?
箱根駅伝では第23回(1947年)から予選会が実施されています。
その時は、第1回関東大学高専10マイルチームレースとして、箱根駅伝出場希望校が 1チーム8名編成で出場。本大会には希望校の全校が出場することができました。その後、予選会のコース・距離及び選考方法は、次第に変遷を重ね、第81回からは陸上自衛隊立川駐屯地⇒立川市街地⇒国営昭和記念公園のコースで開催されています。
どうしたら予選会に出場できるの?
予選会の参加資格は下記のようになっています。
- 2024年度日本学生陸上競技連合男子登録者で、本予選会並びに箱根駅伝本大会出場回数が通算4回未満であること。
- 1校1チームまで
- エントリーは10名以上14名以下
- 出場できる人数は10名以上12名以下
- エントリー者全員が10000mを34分以内のトラック公認記録を持っていること
- 公認記録とは、公認記録会で正式に認められた記録
第100回の記念大会となる今年度(2023年度)は、参加資格を関東の大学に制限せず「日本学生陸上競技連合男子登録者」として全国の大学に門戸が開くことが決定していますので、例年とは違ったレースが見られるでしょう。第101回と新たなスタートを切る箱根駅伝。
昨年の第100回記念大会では、参加資格を関東の大学に制限せず全国の大学に門戸が開かれました。今回は、再び参加資格を関東の大学に限ることなりましたが、激戦の様相は変わらないでしょう。
今回の参加は、43チーム。全国対象となった昨年は過去最多の57チームが参加していましたが、14チーム減少し、第99回大会予選会と同じエントリー数になりました。
参加校の中で、総合優勝を経験したことがあるのは、11チーム。また、全日本大学駅伝の切符を手にしている大学も5校(中央大学、東海大学、日本体育大学、立教大学、神奈川大学)います。どのチームも本大会に向けて完成度が高くなっており、激戦必至です。昨年1位通過した大東文化大学は、勢いそのままに本大会でシード権を獲得しました。レースを制すのは果たしてどのチームでしょうか。
コースの見どころ
ハーフマラソン(21.0975km)の距離で行われる予選会のコースは、陸上自衛隊立川駐屯地をスタートし、立川市街地をめぐり、国営昭和記念公園でゴールします。
めったに見られないスタートの光景
どの駅伝でも見られないのは、光景がまさにスタート整列。
駐屯地のスタート地点には、エントリーチームが一列にならぶ緊張と壮観さが入り混じる光景が広がります。
スタート直後に、駐屯地を周回?!
スタートしても、すぐに立川市街地にはでず、駐屯地を2周します。
大きく開けた駐屯地を約700人のランナーが駆け抜けるのは圧巻です。
5km地点の各校の総合タイムと順位は注目!
大声援で迎えられる立川駅前
各チームの大声援が響き渡ります。
箱根駅伝本戦とも変わらないほどの数の応援者がメイン通りの立川駅前を埋め尽くすこの場所から、本格的にレースが動き出します。
勝負所は、国営昭和記念公園終盤のアップダウン
ここが差のつくポイント!
公園内は、細かいアップダウンが多数。特に17km過ぎの上り坂が勝負所。
この勝負所で1人でも粘れるか、遅れてしまうかが分岐点となります。
ピックアップポイント!
予選会の距離がハーフマラソン(21.0975km)になってからの歴代最速タイム
- チーム総合: 順天堂大学10時間23分34秒(2020年)
- 個人総合: ラジニ・レメティキ 1時間00分13秒(2020年)
- 塩尻 和也 1時間01分22秒(2018年)※日本人最高
日本人最高記録を保有しているのは、リオ五輪3,000mSC日本代表でもある塩尻和也選手(現・富士通陸上競技部)
予選通過との最小タイム差
2006年では、タイム順で7位だった拓殖大は当時、採用されていた関東インカレポイントで、城西大、大東大、国士舘大に逆転され、次点の10位に急落。9位の国士舘大との差は1秒。1人平均わずか0.1秒の激戦でした。
<注目チーム>
中央大学
今年の本戦では大エースである箱根駅伝1区区間記録保持者の吉居大和選手(現・トヨタ自動車陸上長距離部)を擁しながらも、体調不良等のトラブルが続き、総合成績13位と無念のシード落ち。
ただ、10,000m平均タイムはエントリーチームトップ(28分54秒20)であり、昨年の本戦優勝候補チームの選手層の厚さは健在。
懸念材料は、チームのWエースである吉居駿恭選手と溜池一太選手らがエントリーから外れた点か。
立教大学
4年連続の本戦出場を目指す復活した古豪。
昨年は、予選会直前で部内でのトラブルも重なったが、チーム一丸となり、6位で本戦出場を掴んだ。今年3月には駒澤大学で出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の『学生三大駅伝』で7度の区間賞を獲得した実績のある髙林祐介監督が就任。
関東インカレ2部ハーフマラソンで5位入賞した稲塚大祐選手を筆頭に今年箱根駅伝本戦に出走した選手も7名おり、経験値もあるメンバーが揃っている。
東京国際大学
昨年は、予選通過の13位から3秒差の14位で本戦出場を逃すまさかの結果。
個人トップを狙っていたリチャード・エティーリ選手が転倒により、記録を伸ばせなかったことも要因としては大きかったです。
えてぃーり選手はそれを糧に、今年、5000m、10000m、20km、ハーフマラソンの4種目で日本学生記録保持者となり、満を持して予選会に臨みます。
日本人エースの佐藤榛紀選手も駅伝・ロードに強く、チームを牽引する存在になると予想される。
展開はどうなる!
この日の立川市周辺の天気予報は、曇りのち雨。最高気温27℃と、昨年と比較しても気温が高く、湿度も高いことが予想され、より過酷な条件でのレースになると考えられます。
特に暑さに弱い留学生などが序盤は消極的になる可能性も高く、集団走をミッションとして与えられている選手がいかにまとまってレースを進められるかがこのタフなレースを制するためのカギになります。
各校の戦略が試される予選会。スタート前から、戦いは始まっています。
本戦に出場するためには…
各チーム上位10人の合計タイムがチーム記録となり、合計タイムが速い1~10位のチームが、来年1月の箱根駅伝本戦に出場することになります。前回の本大会上位10チームは、シード校としてすでに本大会出場が決まっています。
今年度は、昨年の第100回の記念大会の13枠から10枠に予選通過こうふぁ減枠しています。
このレベルの高いレースを制し、狭き門を通過できるのは、どのチームか。
101回大会から、関東学生連合チームの編成が復活。個人でも本戦の出走権を得られるチャンスもあるので、各チームのエースの成績にも要注目です。
すべてのスタートラインに立つ学生へ
今年も始まる箱根路につながる物語。これは終わりではなく、始まり。
すべての学生ランナーが紡ぐ物語の始まりです。
学校のために、チームのために、一番は自分のための最高の1時間と少しにしてほしいと思う。
10月19日 午前9時35分に運命の号砲が立川の空に響きます。
(前回記録)第100回箱根駅伝予選会 結果(※第101回記録は当日更新予定)
2023年10月14日に行われた第100回箱根駅伝予選会の結果は以下の通りです。(予選通過大学のみ記載)
- 第1位 大東文化大学(関東)10時間33分39秒
- 第2位 明治大学(関東) 10時間34分38秒
- 第3位 帝京大学(関東) 10時間35分08秒
- 第4位 日本体育大学(関東)10時間36分42秒
- 第5位 日本大学(関東) 10時間36分54秒
- 第6位 立教大学(関東) 10時間37分06秒
- 第7位 神奈川大学(関東) 10時間37分20秒
- 第8位 国士舘大学(関東) 10時間37分21秒
- 第9位 中央学院大学(関東)10時間37分27秒
- 第10位 東海大学(関東) 10時間37分58秒
- 第11位 東京農業大学(関東)10時間39分05秒
- 第12位 駿河台大学(関東) 10時間39分40秒
- 第13位 山梨学院大学(関東)10時間39分47秒
以上の大学が、2024年1月2日から行われる第100回箱根駅伝の切符を手にしました。
晴天に恵まれ、多くの沿道からの声援を受けて走ったランナーたち。57校すべてのランナーたちが、1秒でも速いタイムを目指して駆け抜けていく姿は、各大学を応援する人たちだけでなく、多くの人たちに勇気を与えるものでした。
詳しい結果は、箱根駅伝公式サイトに掲載されています。