『ゼブラ企業(Zebras)』とは、2017年に4人の女性起業家によって提唱された「共存性」を重視し、「社会貢献、持続可能性」と「企業利益」という対極の目的を両立する考え方を持つ企業を意味します。ポストコロナで「サステナビリティ」という言葉が日常的に使われるようになった今、『ゼブラ企業』というコンセプトが注目されています。
そこで今回は『ゼブラ企業』についてわかりやすく解説します。
ゼブラ企業とは
ゼブラ企業とは主にこれらの条件を満たしている企業のことを言います。
- 社会的インパクトの創出
- 多様なステークホルダーへの貢献
- 革新的
- 開示性
さらにシマウマ模様の黒と白が、企業として利益を求めながらも、地域や他社との共存を目指すという対極の要素を合わせ持つことに似ているという点から『ゼブラ企業』と言われるようになりました。
ゼブラ企業とユニコーン企業
ゼブラ企業とは反対の位置にある企業のことを「ユニコーン企業(Unicorn)」と言います。
ユニコーン企業とは、企業の評価額が10億ドル以上、さらに創立10年以内の非上場スタートアップ企業のことを言います。ランキングでは圧倒的にアメリカが多く、それに続き中国、そしてイギリスが入ります。「ユニコーン」は、2013年に提唱された言葉で2022年3月時点では1053社が登録されており、アメリカのMeta Platforms社、中国のBytedance社、日本ではスマートニュース株式会社、株式会社Preffered Networks、株式会社TRIPLE-1などを含む10社が登録されています。
ユニコーン企業の条件に該当する企業の数がまだ少ないことと、一つの企業が多大な利益を生み出すことが、幻という言われ希少価値の高い動物、ユニコーンに重なるところからその名前がつけられました。
ゼブラ企業の例
株式会社ボーダーレス・ジャパン
事業内容は主に社会起業家を支え、情報をお互いに共有し発信するプラットフォームの形成、そこから貧困、差別・偏見、環境問題などの社会問題を解決し、「ソーシャルビジネスで世界を変える」をテーマに展開しています。さらに、事業によって生まれた利益は会社内の福利厚生、そして新しいソーシャルビジネスへの投資、その他にも経営者の報酬は給与が一番低い社員の7倍以内などの考え方も掲げています。
株式会社陽と人
事業内容としては地域活性化、地域貢献を目指し、農産物の生産、流通、卸売、物販、地域資源の再活用、そしてコンサルティングプロデュース業を行なっています。地方の資源の魅力発信や都会のニーズに合わせた農産物の商品化することによって都会と地方の繋がりを深め、移住者や旅行者を生み出しています。
株式会社AS MAMA
「人も企業も地域もつなぐ」をテーマに、子育てシェアアプリの開発や交流イベントの開催を行い、生活や子育てに役立つ情報をコミュニティで学び、さまざまな発信方法でマーケティングを行なっています。家族や地域、企業、そして自治体の3者を取り込み、ネットコミュニティを通して地方創生、少子化対策も目指す会社です。
ゼブラ企業とポストコロナ
ポストコロナで経済状況が不安定なこの世の中に、ユニコーン企業のように多額な資金を抱え、市場を独占できる企業の創出も期待されますが、今ではそんなユニコーン企業がゼブラを目指すという例も見られるようになりました。社会づくり、社会貢献に目を向け、長期視点でこの先も50年、100年、200年と続き成長する、持続可能な企業のあり方に注目が集まっています。日本ではそのように長く経営が続いている老舗企業が多く存在します。
最近よく耳にするSDGs(Sustainable Development Goals)が重要視される今、そんなSDGsの要素を合わせ持つゼブラ企業の成長もさらに注目を集めると考えられます。企業のあり方そのものもたくさん形や方法はありますが、その中にゼブラ企業も取り入れてみてはどうでしょうか?