『ヘルプマーク』とは「外見からは分かりにくい障がいをもつ人が、援助や声かけを必要としていることを示すマーク」のことです。東京都で始められたこの取り組みは、現在は全国へと普及しています。今回は『ヘルプマーク』の対象者や悪用例、もらうにはどうしたら良いのかなどを分かりやすく解説していきます。
ヘルプマークとは
『ヘルプマーク』とは「外見からは分かりにくい障がいをもつ人が、援助や声かけを必要としていることを示すマーク」のことです。例えば、妊娠初期や精神障がいの方、義足の場合などは外見で判断することが難しいため、周りの人に気付かれなかったり、自分から援助を求めることを躊躇したりする場合があります。
上記画像は、東京都福祉保健局が作成した『ヘルプマーク』です。2012年に東京都で配布が始まり、現在では47都道府県に広がっています。『ヘルプマーク』を身に付けることで、周囲の人が「外見からはわからない何らかの不自由を抱えている」ことに気付きやすくなり、バスで席を譲るなどの配慮がしやすくなります。
ヘルプマークの対象者・貰い方
『ヘルプマーク』の対象者は、義足や人工関節を使用している方、妊娠初期の方、内部障がいや精神障がいの方など、援助や声かけを必要としている人です。しかし、具体的にどういった障がいや病気の人が貰えるという厳密な規定はなく、手助けや配慮が必要な人が対象者と言えるでしょう。そのため『ヘルプマーク』を貰うために、障がい者手帳や診断書等の提示を求められることはほとんどありません。交通機関の駅務室や病院、各市町村の窓口などで配布されており、郵送での配布を行っている自治体もあります。配布場所や規則については、東京都福祉保健局のHPをご確認ください。
原則として、『ヘルプマーク』は1人につき1つまでしかもらえない決まりがあります。そのため、どのカバンにつけようか迷ったり、いちいち付け替えるのが面倒だと感じる人もいるでしょう。また、自治体によっては『ヘルプマーク』を導入していない場合や、配布条件を厳しくしている場合があるため、「ヘルプマークがもらえない」と声をあげる人も少なくないようです。そんな方のために、東京都福祉保健局は当事者本人が着用する場合に限り『ヘルプマーク』の自作を許可しています。詳しくは、「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」をご確認ください。
ヘルプマークの悪用
先述の通り、『ヘルプマーク』は援助や声かけを対象者としており、具体的な基準が存在しないことが多いです。ところが、入手が簡単で無料である点を利用し、転売などの悪用が問題となっています。
以前、『ヘルプマーク』は配布している自治体が限られていたため入手困難なものとして扱われていました。そのため、健常者が『ヘルプマーク』を入手し、高額で転売するという事案が相次ぎました。しかし、現在は全国に普及し、どこでも比較的簡単に入手できるようになったため、そういった転売行為は少なくなりました。
また、バスの席を譲ってもらうなどの恩恵を受けるために、健常者が『ヘルプマーク』を悪用するといった懸念もあるそうです。しかしながら、健康面に問題がないことを証明することは難しいですし、健康の尺度は人それぞれで違います。『ヘルプマーク』を利用する際にモラルを守ることはもちろんですが、周囲の人は「悪用しているのではないか」と考えるのではなく、思いやりのある行動をとるよう心がけたいですね。
ヘルプマークを見かけたら
このマークを見かけた際、具体的にどういった行動をとることができるでしょうか。一緒に考えてみましょう。
まずは、電車・バスの中で席を譲ること。外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの姿勢を保つことが困難だったりする場合があります。 『ヘルプマーク』を身に付けている人がいたら、率先して席を譲ることを心がけましょう。
つぎに、駅や商業施設等などで声をかけること。『ヘルプマーク』を身に付けている人の中には、交通機関の遅延などの出来事に対応することが困難な場合があります。また、立ち上がる、歩く、階段などの動作が困難な場合もあります。「何かお困りですか」「何か手伝えることはありますか」など、勇気をもって声をかけてみましょう。
災害時は避難の支援・指示をすることも、周囲の人ができる手助けの一つです。視覚障がいや聴覚障がいの方は、状況把握が困難な場合があります。また、精神障がいの方は状況を整理することが難しく、パニックに陥る場合もあります。災害時に『ヘルプマーク』を身に付けた人を見かけた場合、安全に避難するための支援・指示をお願いします。
編集部より
この記事では『ヘルプマーク』の貰い方や対象者について解説してきました。しかし、『ヘルプマーク』以外にも「手助けや声かけを必要としている」ことを示すマークはたくさん存在します。聴覚障がい者マーク、ほじょ犬マーク、手話マーク、マタニティマークなど、その種類はとても多いのです。そういったマークを身に付けている人を見かけたら、思いやりのある行動と声掛けを心がけたいですね。