『食料廃棄』とは、可食部以外の部分や、腐敗や食べ残し、売れ残りなどが原因で捨てられてしまう食品のことを言います。
食料廃棄には、野菜の芯や魚の骨、貝殻など食べることができない部分を含む「食品廃棄物」と、まだ食べられるのに捨てられた、可食部分の廃棄を指す「食品ロス」があります。
食料廃棄とは
『食料廃棄』とは、可食部以外の部分や、腐敗や食べ残し、売れ残りなどが原因で捨てられてしまう食品のことを言います。
食品ロスは大きく分けると、事業活動に伴い発生する「事業系食品ロス」と、各家庭から発生する「家庭系食品ロス」に分けることが出来ます。さらに、「事業系食品ロス」は、食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業の4つの業種に分類されます。
日本の食料廃棄量について、農林水産省および環境省「令和元年度推計」によると、570万トンに上ると推定されています。570万トンを日本人1人当たりに換算すると、毎日お茶碗1杯分に相当する約124グラム、年間約45キログラムの食品ロスをひとり一人が生み出していることになります。
食料廃棄が起こる原因
食品廃棄の原因には様々ですが、下記のようなものを挙げることが出来ます。
「直接廃棄」
食品を買い過ぎて使い切れず傷んでしまった
後日使おうと冷蔵庫で保存していたが気付いたら傷んでいた
「過剰除去」
野菜の皮やヘタを取るときに、可食部分も一緒に取り除いてしまっている
鶏肉の皮やブロッコリーの茎などを、食感が料理に合わないといった理由で捨ててしまう
「店頭での売れ残り」
このように、 「食べ残し」や「売れ残り」から、供給される量に対して消費量が少なく、食品が余ってしまっている現状があります。
食料廃棄がもたらす影響
食料廃棄が問題視されている主な理由として以下の3つがあります。
食の不均衡
世界の人口の約9人に1人は飢餓に苦しんでいるという現状があります。先進国では多くが処分されているのに対し、その影では多くの人が十分な栄養を得られず飢餓や栄養不足に陥っている現状があります。
環境に対する影響
大量の食品を廃棄するために、日本では主に焼却処分をしますが、世界では、埋め立てが主流です。食品を埋め立てる時に発生するメタンガスは、IPCC第4次評価報告書によると、二酸化炭素の約25倍の温室効果があるとされています。温室効果ガスの排出量は1位が中国で、2位がアメリカです。この数字と全世界の食品廃棄物から発生する温室効果ガス量を合算し比較すると、3位に相当する量になります。食品ロスが増えることで、結果的に地球温暖化を進行させてしまうため、食品ロスは世界全体で取り組まなければいけない問題なのです。
経済に対する影響
食料が廃棄されるということは、食料を育てるのにかかった人件費や土地代、肥料代などのコストを無駄にしていることになります。また、生産された商品を卸売業者や各スーパーに運ぶ流通のコストも無駄になります。このように、食品を廃棄することは、石油などから生まれるエネルギーだけでなく、生産者や労働者が費やした手間や時間を捨てることとお同じです。食品ロスを減らせば、労働者不足に悩んでいる日本が取り組んでいる働き方改革にも貢献するはずです
食料廃棄削減に向けた対策
日常生活でできること
食品廃棄を減らすために、私たちひとり一人が日常生活でできることは何があるのでしょうか?
- 買いすぎ:買い物に出かける前に、冷蔵庫や棚の在庫を確認する。
- 保存方法:食べきれなかった食材は廃棄するのではなく、冷凍などをして保存する。
- 放置していて忘れる:食品を冷蔵庫に詰めすぎると、中が見えづらくなり、食品が腐敗するなど、冷蔵効率も悪いため、冷蔵庫に詰め込みすぎない。
- すぐに食べる商品は、賞味期限や消費期限の長い商品ではなく、陳列順に購入する。
- 外食をする時は食べきれる量を注文する
事業系食品ロスの対策
⾷品⼩売業では、販売機会の損失を恐れた多量の発注から食品ロスが生まれていた現状がありました。そのため、需要に⾒合った販売の推進やフードバンクとの連携により食品廃棄を減らすという対策が取られています。また、消費者の賞味期限への理解不⾜により、食料廃棄が行われている現状もあるため、消費者への正しい知識の普及と啓発が不可欠です。
外⾷産業では、主に消費者の⾷べ残しにより大量の食品ロスが生まれています。「⾷べきり」や「持ち帰り」の促進をすることで食品ロス削減を強化しています。
海外の事例
オーストラリアのメルボルンでは、野菜以外の食品ロス削減に寄与「無料スーパー」が話題になっています。この無料スーパーは、生活困窮者のために野菜などを提供するのが目的でしたが、近隣のパン屋などから食品を譲り受けるなど支持が広がりました。その結果、野菜以外の食品ロス削減にも貢献しています。
このように、私たちにも食品廃棄を削減するために出来ることは数多くあります。ひとり一人の行動が少し変わることで、家庭から発生する食品ロスを削減することができるのではないでしょうか?