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1日1つでも実践を!タンブラーとウォーターサーバーを使い学生が考える環境へのActionとは?

麻生大学

あなたが何気なく買っているペットボトル。それをマイボトルに変えたら、環境にどの程度影響があるのでしょうか?

麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科のメンバーが中心となる『一杯からはじめよう!脱・使い捨てAction』では、複数の企業と連携し、学内の使い捨てプラスチックの削減に対し、ウォーターサーバー設置からマイボトル使用を啓発しています。

活動の中心となるリーダーの山本美愛さん(以下、山本)、1年生の大里興生さん(以下、大里)、そしてこのプロジェクトを見守る坂西梓里先生(以下、坂西)に、お話を伺いました。

産学連携でSDGsに取り組む!麻布大学と森のタンブラーによる、SC相模原でのマイタンブラー制導入の背景 vol.3第1回では森のタンブラーの概要、第2回では開発者であるアサヒビール株式会社の古原さんの想いについて紹介しました。 第3回では森のタ...

3か月で13,000本分の削減!

ーー『一杯からはじめよう!脱・使い捨てAction』の概要について教えてください。

山本)麻布大学の学生メンバー20名ほどで活動しており、マイタンブラー・マイボトルをきっかけとして学内での使い捨て容器の使用を削減をしようという取り組みをしています。

ーー具体的にどのような活動をされているのですか?

山本)昨年(2021年)にアサヒユウアス株式会社と協働し、アンケートに答えていただいた方々に500個の『森のタンブラー』をプレゼントし、マイボトル・マイタンブラーの使用を呼びかけるキャンペーンを行いました。

麻布大学

山本)あわせて、ウォータースタンド株式会社と協働で学内にいくつかウォーターサーバーを設置しました。学生がペットボトルをよく使用しているという前提で、ウォーターサーバーの給水量を500mlペットボトルに換算することで、どのくらいのペットボトルが学内で削減されるかという測定を行うためです。結果として、3か月で約1万3000本分の削減を達成することができました。

ーータンブラーやマイボトルを使ってウォーターサーバーから飲み水を入れることによって、ペットボトルの使用量が削減されたということですね。

山本)そうですね!もちろん、密閉性や持ち運びなどの点ではペットボトルの方が優れています。なので、「ペットボトルを使わずに森のタンブラーでウォーターサーバーから水を入れて飲もう!」というアプローチをするわけではなく、あくまでペットボトル使用量削減への“きっかけ”として考えています。

その背景やメッセージを知ることで、“マイボトルを持参すること”や、“2本目のペットボトルは買わずに、1本目にウォーターサーバーから水を入れること”など、少しずつ環境に優しい行動に繋がるのではないかと考えています。

ーー学生たちに“きっかけ”にしてもらうために、具体的にどのような活動をしているのですか?

山本)学生たちには、メールで案内をしたり、ウォーターサーバーの清掃活動をあえて“見せる”ことによって「きれいに使ってね」というだけでなく、「こんな活動をしているよ!」というアピールをしています。
もちろん、プロジェクトのメンバーがそれぞれまわりに声掛けをする、という地道な活動も行っています。

アサヒタンブラー

ーー現在1年生である大里さんは、どうしてこのプロジェクトに入ろうと思ったのですか?

大里)昨年のオープンキャンパスの際に、先ほど山本さんが言っていたように森のタンブラーが配られ、それをいただいたことがきっかけです。そこから活動のことを知り、入学後にポスターを見て改めて関心が湧き、メンバーに応募しました。

私自身、高校の生物の授業で環境のことを学び、地元である栃木県の環境を意識し始めてから環境に興味を持ちました。人間活動によって生態系が破壊されていくという問題に興味があり、そうした環境問題を考える上で、“使い捨て”というあり方自体を考えなければいけないと思っています。このような活動から、そうしたメッセージも広めていけたらなと思って参加しています。

坂西)オープンキャンパスでは、森のタンブラーを配るだけでなく、このプロジェクト自体の説明の時間をいただいています。学生が企業の人たち(アサヒユウアス株式会社、ウォータースタンド株式会社など)とお話をしながら活動を進められることは貴重であり、そうした意味では他大学と比べても珍しく、興味を持っていただけていると思います。

ーー「環境に興味はあるけどなにをしたらいいかわからない」という高校生にとって、こうした具体的なアクションはすごく魅力的に映りますね。

「海からごみをなくしたい」

ーー山本さんはどんなきっかけでこのプロジェクトに参加したのですか?

山本)もともと、地元の名古屋港の海のゴミを見て、「海からごみをなくしたい」と思っていました。大学では、「社会と連携しながら環境問題を解決するための活動がしたい」と思っていたところ、この『一杯からはじめよう!脱・使い捨てAction』のプロジェクトが発足したという案内があり、すぐに応募しました。
やっていくうちに、だんだんと想いが強くなり活動が熱心になっています。(笑)

ーープロジェクトリーダーとしても頑張られていますね。

山本)やりがいがあって楽しいです。最近は役割分担をしながら、みんなが自主的に活動できるようにしたいと動いています。

ーーこうした活動を広げていくために、どんな工夫をしていますか?

山本)ウォーターサーバーは、設置以後学生の利用の頻度はすごく高まっていて、毎月のように使用量は増えています。学生にとって、お金を払わずにウォーターサーバーを利用できるというのは、日々の経費の削減という意味でも大きいです。
ですがやはり、そこから環境問題に目を向けてもらうという点は難しさを感じています。最近ではポスター掲示や、活動している様子を見せることで「なにしてるんですか?」と声をかけてくれることも増えました。そこから興味が広がり、プラスチックごみの削減を気にしてくれている人は少しずつ増えてきていると感じています。

課題としては、そこをもっと広げていく、増やしていくという点です。まだまだ普段の学校生活を送る中で、友人の行動で「もっと環境に気をつかえるのに!」と気になることはたくさんあります。(笑)

ーー少しずつでも気にしてくれる人が増えているのは、素晴らしい状況ですね!

麻生大学

「自分たちの足元の小さな社会を変えていく」経験を

ーーこの活動が今後目指すのはどのようなところですか?

山本)まずは、学内でマイボトルの普及率を増やしていこうと取り組んでいきます。対面授業が今年(2022年度)から再開し、学内での削減量をこれからもっと増やしていこうと思っています。

ーー今後、目標を実現していくために必要なことはどのようなことでしょう?

山本)まだまだ私たちの活動を知らない人も多いのが現状なので、まずは活動内容を認知してもらえるようにしたいと思っています。

ーー活動内容を知っていただければ、少しずつアクションをしてくれる人は多そうですね。

山本)認知を増やすだけでなく、自動販売機の中身をペットボトルから変えることなど、いろいろなアイデアを出していけたらと思っています。学生だからこそ、大学への提案が通りやすかったり、まわりに注目していただける点はとても有利だと思います。ただ、それに甘えず、現実に落とし込めるような形で提案していきたいと思っています。

坂西)学生たちには「自分たちの足元の小さな社会を変えていく」経験をしてほしいと思っています。これから大きな社会に出ていく学生たちにとって、それは本当によい経験になります。アサヒユウアス株式会社さんをはじめ、多くの企業さんと一緒にできていることも貴重な経験です。

大里)学生の利点としては、自由であり時間があるところだと思います。先日、アサヒユウアスさんのサステナブルなビールの販売応援に参加しました。環境のことに取り組む企業の最先端の活動を自分の目で見ることができるだけではなく、お客さんの反応も見ることができました。

ーー学生ならではの貴重な経験もしつつ、実際に消費者の反応を見ることができるのは素晴らしい経験ですね!そうした経験を重ね、ここからの活動の発展にも注目していきたいです。

坂西)最初は「便利だね」「節約になるね」から、そこからどうつなげるかは大きな課題です。環境問題への関心が高くない人に対しては、しっかりとその効果を見える化していかなければいけません。一歩目を踏み出したところから、次の一歩につなげることが課題ですね。

山本)やはり一気に変えるということは難しいです。「今日はマイボトルを持っていく」など、1日1つでも実践していくことが大事なことだと思っています。ふとしたときに「いいことが継続できてる!」という達成感も味わえるような状態をまわりの皆にも感じてほしいなと思っています。

ーー少しずつ活動が広がり、地球のためにもみんなのためにもなっていくといいですね!本日はありがとうございました!

麻布大学

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