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38社が参画!?福岡を変える『FUKUOKA TAKE ACTION!』とは?|アビスパ福岡

アビスパ福岡 FUKUOKA TAKE ACTION

Jリーグ・アビスパ福岡は2023シーズンより地域貢献への想いを持ったパートナー企業との共創型パートナーシップ『アビスパ福岡 オフィシャル・シャレン(社会連携)パートナー』を新設し、地域貢献プロジェクト『FUKUOKA TAKE ACTION!』を立ち上げました。

アビスパ福岡だけでなく、スポーツ界としても新たな取り組みとなる本プロジェクト。今回はそんなプロジェクトの発起人でもあるアビスパ福岡の佐川諒さん(以下、佐川)にお話を伺いました。

アビスパ福岡

「誰かのためを思って踏み出す一歩に」

ーー佐川さんは、他のJリーグクラブからアビスパ福岡に中途入社されましたが、福岡の印象はいかがですか?

佐川)福岡の街は都会と地方の要素が両方あり、働きやすい街だなと思っています。福岡市も含めてかなりチャレンジ精神のある街でもあるので、私たちのようなまだまだ小さなサッカークラブも新しいことに取り組みやすく、街の方針にも合わせやすいと感じています。

ーーそんな佐川さんが中心となって立ち上げた『FUKUOKA TAKE ACTION!』。その活動概要について教えてください。

佐川)Jリーグが推進している『シャレン(社会連携活動)』という枠組みを使って、みんなで福岡の街を良くしていこうというプロジェクトです。社会課題を自分ごとに捉え、誰かのことを想って一歩踏み出せる人が、いろいろなきっかけで生み出せていければと思っています。

アビスパの理念である「子どもたちに夢と感動を」「地域に誇りと活力を」を体現するために、「共育」「社会づくり」「街づくり」の方針に沿ったアクションに毎月取り組んでいます。“日本で1番社会課題が集まってくるサッカークラブ”という立ち位置を目指し、多くの課題や街の声がアビスパに集まり、その課題をコミュニティで共創して解決するエコシステムを作っていこうという活動です。

アビスパ福岡ブラインドサッカー体験の様子

ーーアビスパ福岡だけでなく、どのような人たちと一緒にプロジェクトを進めているのでしょうか?

佐川)この企画に共感し、協賛していただいている企業数は、1年目が19社、2年目の現在は38社(2024年4月現在)まで拡大しています。企業だけでなく、自治体や学校法人からお話をいただくこともあり、産学官民の連携ができていると感じています。
私たちと一緒に取り組む企業の中には、SDGsやESGの取り組みをしているものの、もっと社内を巻き込みたいと感じている企業や、なにかに取り組むきっかけがほしいと感じている企業が多くいらっしゃいます。

ーーまさに『FUKUOKA TAKE ACTION!』の「誰かのことを想って一歩踏み出そう」という姿勢が企業さんの課題に合致していますね。

佐川)そうなんです。社会貢献がしたくてもその場がないこと自体が社会課題だと言ってくださる方もいます。
また、この『FUKUOKA TAKE ACTION』のおもしろい点は、プロジェクトの中にはアビスパ福岡が主導していないものもあることです。このコミュニティに関わるいろいろな方が、ときにはリーダーや支援者になり、プロジェクトが湧き上がるのが大きな特徴だと思います。

ーーそのような形があるのですね!代表的なプロジェクトを一つご紹介いただけますか?

佐川)『福岡よか街発信隊プロジェクト』という、スポーツツーリズムのプロジェクトがあります。試合の前後の時間を使って、観光地や福岡のお店などさまざまな場所にホーム、アウェイのお客さんの移動のキッカケをつくり、アビスパの試合をきっかけに街を盛り上げていく企画です。アビスパが主導になるのではなく、4社の企業さんとサポーターの方が中心となり自走しているプロジェクトになります。
プロジェクトに関連するグッズなども企業が主体的にアイデアを出して形にして、素晴らしい物が出来上がっていたりします。

アビスパ福岡

地元意識が最も高い福岡市だからこそできる取り組み

ーー佐川さん自身、この『FUKUOKA TAKE ACTION!』に関して強い想いをもって取り組まれていると思います。このような活動をしたいと思った背景を教えてください。

佐川)この活動を立ち上げた背景が僕の中で3つあります。
1つ目が、前職の東京ヴェルディでの経験が影響しています。東京の企業の傾向として、“ビジネスとしての価値があるか”という点に納得していただくことがスポンサー営業として重要であり、そこでの経験や成功体験を活かして、福岡でも価値を創れると意気込んでいたのですが、最初はなかなか聞いてもらえませんでした。政令指定都市の中で、“シビックプライド”、いわゆる地元意識の一番高い福岡市という街では、より「街がよくなる」ということに関して価値を感じる人や企業が多く、こうした地域にはシャレン!をテーマにしたパートナーシップモデルが合うのではないかと考えるようになりました。

アビスパ福岡

佐川)2つ目は、J1に3シーズン連続で所属(※2023年当時)し、定着してきたタイミングで、この街にも“定着”できればと考えたことです。チームが勝ち続けるだけでなく、日常的に市民の方々とのタッチポイントがあり、「この街にアビスパがあってよかった」と思っていただけることが本当の意味での定着です。チームがJ1に定着し始めたタイミングだからこそ、この活動を始めるべきだと思いました。

3つ目は、クラブとして社会のためになりたいと感じていたことです。「アビスパは苦しい時に協賛してくれと顔を出してくるけど、スポンサー企業のためであったり、街のために活動している姿勢が一切見えなかった」と厳しい意見をいただいた経験があります。これには私も危機感を感じ、本気で街のために取り組む姿勢を見せ続けないと愛されるクラブにはならないと思い知らされました。

ーー福岡という地域に、そしてアビスパ福岡としてのフェーズにも合ったタイミングで『FUKUOKA TAKE ACTION!』は始まったのですね。

佐川)そうですね。僕は関西出身で、前職は東京。福岡という街をフラットな目で見れることを強みにしてやっていきたいと思っています。

アビスパ主導ではなく“自走”するプロジェクトへ

ーー『FUKUOKA TAKE ACTION!』を1年実施してきた中で、社会や地域に起きた変化を教えてください。

佐川)企業や団体が、アビスパの活動についてくる形ではなく、“自走して”社会のためにスポーツを使ったアクションが起きていることがとても大きな価値だと感じています。
一つ一つが大きな活動ではないかもしれませんが、その輪が広がっていくということが重要ですし、既に40社近い企業さんとともに、10数個のプロジェクトが走っていることを嬉しく感じています。

ーーこうした変化をつくるための秘訣を教えてください。

佐川)とにかく自分の想いを本気でいろいろな人に喋り続けることです。
ビジネスとして価値を出すスポンサーシップや、今取り込んでいる街のためになる地域貢献のスポンサーシップなどもそうですが、今回は僕個人のビジョンを多くの方にお話し、その旗のもとに集っていただくような形で企業さんにアプローチしていきました。そうして「社会のため、地域のため」という共通言語で入ってきた方々が、そのコミュニティ内でプロジェクトを作り新しい価値を創出しています。

ーークラブとしても、関わってくれている人たちがどんどん物事を進めてくれていることは歓迎すべき状況ですね。

佐川)『FUKUOKA TAKE ACTION!』では、毎月実施する清掃活動やブラインドサッカー、企業さんが主導するプロジェクトだけでなく、「社会活動を知る」ためのワークショップである『TAKE ACTION COLLEGE』も開催するようになりました。1回目に15社20名の方々がオンラインで参加し、ものすごい熱量で社会課題を語り合ってくださりとても嬉しかったです。年末まで続けたらすごいことになると思っています。

経済や社会活動を通して市民とのタッチポイントを形成

ーー2年目にしてすごくよい活動に発展している『FUKUOKA TAKE ACTION!』。現時点での課題はありますか?

佐川)多くの人に知られていない、ということが課題だと感じています。インパクトのある活動もできていると思いますが、未だに認知度が低いと感じています。福岡県内のスポーツニュースは、やはりまだまだソフトバンクホークスさんが一番です。ですが、社会面や経済面、地域面ではアビスパ福岡や関わる人たちの情報がどんどん出るようにしていきたいです。

ーーこれから先の展望について教えてください。

佐川)まずこの1年は、仲間を集めて意識を変えることに取り組んでいきます。このプロジェクトの身内である企業さんや自治体、各種団体さんの意識が上がることによって、その人たちが行うプロジェクトの影響を受ける人が増え、結果的に人々の行動が変わり、社会の仕組みが変わっていくことに繋がると思っています。
その先にさまざまなプロジェクトの深掘りや、さらなる発展が待っていると思いますので、将来を見据えて行動し続けていきたいです。

また、“集客”という観点では、長い目で見たファン作りにこの『FUKUOKA TAKE ACTION』が繋がると思っています。「アビスパっていつも地域のために頑張ってるよね」「社会のために活動している瞬間見ました」など、アビスパに興味がない人に社会面や経済面でタッチポイントを作り、クラブに興味を持ってもらってスタジアムに来てもらう。すぐに結果には繋がらないものですが、長い目で市民から応援してもらう環境づくりにもチャレンジし続けていきたいです。

ーーありがとうございました。

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