Sports for Socialでは、「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJリーグクラブの「想い」を取り上げます。今回取り上げるのは、北海道コンサドーレ札幌の「クルマをおくろうプロジェクト」。
「赤い羽根サポーター」として、福祉車両を福祉施設に贈ることを目標に、赤い羽根共同募金に協力しているこの活動。北海道コンサドーレ札幌でシャレン!やホームタウン活動を担当している久保田さん(以下:久保田)にお話を伺いました。
募金に協力してもらうため、目に見えるカタチに!
「クルマをおくろうプロジェクト」を2012年に始め、これまでに11台の福祉車両を贈呈した北海道コンサドーレ札幌。実はその3年前の2009年、赤い羽根共同募金会にクラブとして協力していくことを宣言をする「赤い羽根サポーター宣言」を行いました。
ーー「サポーター宣言」をした理由を教えてください。
久保田)以前から街頭募金などの協力はさせていただいていましたが、道民やサポーターの皆さんと一緒に北海道の福祉のためにもっと積極的に関わっていきたいと考えたからです。
この宣言をしたことによって、勝点募金やスタジアム内での募金活動が始まり、サポーターの皆さんにとって赤い羽根共同募金さんをより身近に感じてもらえるきっかけになったのではないかと思っています。
ーー「プロジェクト」を始めたきっかけは何でしょうか?
久保田)募金で集まったお金が北海道の福祉に使われているのは間違いありませんでしたが、“どこに”“どのように”使われているかまでは分かりにくかったと思います。募金の目的が明確に分かった方が協力していただきやすくなるのではないかと思い、このプロジェクトを始めました。
サポーターの方々も、自分の募金が実際に福祉車両として目に見えるカタチとなって、走っている姿を見ることができるのは、嬉しいのではないかと思います。
贈呈先である福祉施設の方々からも、普通の福祉車両ではなくコンサドーレのロゴなどがラッピングされている福祉車両は特別感があり、とても喜んでいただけている実感があります。
「やること自体に意味がある」子どもからの募金
北海道コンサドーレ札幌では、リーグ戦での「勝点1」「1ゴール」につきそれぞれ3000円の募金を行う「勝点募金」「ゴール募金」を実施しています。昨シーズンは勝点39,47ゴールで募金総額は25万8000円にもなりました。
ーー「勝点募金」「ゴール募金」は選手が深く関わる活動ですね。選手の反応はどうでしたか?
久保田)選手たちからは“北海道のために何かしたい”という気持ちを持ってはいるものの、“具体的にどういったことをすれば良いのかわからない”という声をよく聞きました。この活動は自分たちがゴールや勝利することが直接北海道への貢献につながるので、選手と北海道をつなぐきっかけになったのではないでしょうか。
勝てば勝つだけ、点を取れば取るだけ寄付できるというシステムは、選手のモチベーションのひとつになっていると思います。
ーー新型コロナの感染拡大の影響で、これまで対面だった募金活動がオンライン上でのクラウドファンディングに変わったと伺いました。どういった違いや良さがありましたか?
久保田)今まではスタジアム内に募金ブースを設置し、募金のお礼として赤い羽根×コンサドーレのオリジナルグッズをお渡ししたり、チャリティーオークションで選手着用スパイクなどを出品していました。でも、それはスタジアムに来なければ参加出来ないことだったんです。
それが今回クラウドファンディングによって、北海道に在住していてもスタジアムにはなかなか足を運ぶことができない方や、道外に住んでいるサポーターの方たちにも参加していただけるようになったことは良かったと思います。
ーー「チャリティーサッカー教室」とはどういったものですか?
久保田)ホームゲーム開催日の試合前に、スタジアムのサブグラウンドなどを使って、小学生などを対象にスクールコーチや選手OBが指導するサッカー教室を行い、それに参加する方法として募金をしていただくものです。
ドーレくんが募金箱を持って待っていて、そこに募金をしていただければ参加できます。
この活動は、募金額より、子供たちに赤い羽根がどういったものなのか分かってもらえることが大切だと感じていて、やること自体に意味があると思っているので募金額の設定はありません。
「この取り組みを北海道だけではなく全国に」
ーーこれから取り組んでいきたいことはありますか?
久保田)昨年はコロナの影響で実施できなかった、他のJクラブさんとのコラボを積極的にやっていきたいです。具体的には、お互いのホームゲームの際にマスコットをそれぞれ派遣して、サポーターの方々にコラボグッズを募金のお礼にお渡ししたり、マスコット交流を通してもっと赤い羽根の活動を知ってもらうという取り組みです。
北海道の福祉のためにやっている活動が全国に広がり、 Jクラブとその地域の共同募金会さんが繋がることで活動の輪が広がっていけばよいと思っています。コロナが落ち着いてきて、マスコットの派遣などが頻繁に出来るようになれば、率先してやっていきたいです。
ーー最後に「これからの想い」をお聞かせください。
久保田)赤い羽根サポーター宣言は今年で13年目ですが、これまで取り組んできた様々な活動を数十年単位で今後も継続していくことが大切だと考えています。
「赤い羽根サポーター宣言」や「クルマをおくろうプロジェクト」以外でも、これからはSDGsに関わる環境や健康、教育等の分野に力を入れていきたいと思っています。
前回取材していただいた「環境」の活動(※「ドーレくんと考えよう!絶滅危惧種「シマフクロウ」のこと」)についてもさまざまな取り組みをしていく予定です。
北海道に育てていただいたクラブとして、これからも北海道のために何ができるのかを考え、道民の皆さんが笑顔になっていただけるように積極的にホームタウン活動や社会連携活動に取り組んでいきたいと思っています。