私たちの想い

適合通知、そして骨髄提供 ~骨髄バンクに向けた想い vol.6 松井一矢~

Sports for Socialでは、骨髄バンクに関わる人々の想いを連載として取り上げていきます。

第1回でも骨髄バンクへの想いを綴ってくださった松井一矢さん。
松井一矢さんは、通算で献血100回を超えながらトライアスロン日本代表として世界選手権にも出場した、骨髄バンクランナーズの1人です。

今回は、今年実際にドナーとして骨髄を提供された際の体験、そして想いをお聞きしました。

松井一矢さん
骨髄バンクに向けた想いvol.1~骨髄バンクランナーズ 松井一矢~骨髄バンクランナーズの連載の第1弾。献血を100回以上しながら、トライアスロンの日本代表になった松井一矢さん。献血から骨髄バンクの登録が簡単であることを知り、登録した直後の適合通知。トライアスリートとして啓蒙活動を続ける想いを伺いました。...

2回目の適合通知

ーー前回のお話の中で、1回適合通知が届いたけれど、提供が叶わなかったとお伺いしました。そして、今年2回目の適合通知が届き、実際にご提供されたと伺っています。今回はそのときのご様子についてお伺いしていきます!

松井)ありがとうございます!今年の3月頃、適合通知の封筒が届きました。
そのオレンジ色の封筒をみた瞬間、「ついに来たか!」と思いました。2回目の通知で、「提供する」という必然を感じましたね。

ーー本当にそうですね。適合通知が来てからはどのような流れにになるのでしょうか?

松井)まず適合通知が届いたら、提供しますか、しませんか、という意思表示と問診があり、その結果を骨髄バンク側に提出して、一旦回答を待ちます。
連絡がきてから血液検査をし、次の段階に進んでいきます。

ちなみに、このように段階を踏むことを『コーディネート』といい、それを繋げてくださる方を骨髄バンクの『コーディネーター』といいます。コーディネートはお話した通り、まず最初に適合通知がきて、サインをしてその次に血液検査という流れで次に進んでいきます。

ーー丁寧に進んでいくのですね。

松井)はい。その後1回目の健康診断があり、HLA型がしっかり適合してるのかと、現在の健康状態を確認します。その後また一旦待機になります。

なぜ待機があるのかというと、一人の患者さんに対して最大10人同時にコーディネートが行われるからです。自分が断ったとしても、他に9人いますという形でお伝えいただくのです。しかし、それは本当の部分かはわかりません。本当は自分しか適合してないかもしれないですし、他にもいるかもしれません。

ーーなるほど。10人いると思えると、提供する側の精神的負担も軽くなるかもしれませんね。

松井)そうですね、提供側への配慮で行われていると思います。
10人全員の健康診断が終了すると、患者さんの担当医が、その10人の中で一番提供に適した人を選びます。それでコーディネーターさんから我々の方に提供をお願いしますと連絡がきます。

ーー思っていた以上に、丁寧に進んでいく印象ですね。封筒が届いてから、その段階までは実際どれぐらいの期間がかかったのでしょうか?

松井)それぞれ差はあるみたいなんですけど、一般的にはだいたい1週間から2ヶ月ぐらいと言われています。実際私の場合は1ヶ月ぐらいでしたね。

その次が最終同意の段階となり、これは提供者の家族もしくは親戚が一緒に立ち会って、お医者さんのお話を聞いて、自分だけでなく家族もサインを書いて同意する形になります。

ーー松井さんプラスもう1名ってことですね。提供する場合のリスクに同意するということですか?

松井)そうですね。痛みが残る可能性があることや、全身麻酔をするリスクなどについての説明を必ず受けます。

ーーご家族の方は、どのような反応でしたか?

松井)普段から私は骨髄バンクの活動しているので、すぐOKは出してくれました。かなり心配はしてくれていたようですが。

実は、この最終同意日がとても大切な1日になります。
最終同意日よりも前であれば、適合したとしても断ることは可能です。ですが、最終同意にサインをした後に断ることは不可能になります。
同意日を迎えてサインをすると、患者さん側にも「ドナーが決まった」と伝わります。
患者さんも提供を受ける準備をするので、後戻りができなくなります。

ーードナー提供側も、しっかりと段階を踏み、決意を持って合意されるということですね。

松井さん2

骨髄提供へ

松井)骨髄提供には2種類の方法があります。
1つは「骨髄採取」です。これは、手術室に入って腸骨という背中の骨の中にある血液細胞を取るやり方です。
もう1つは、「末梢血幹細胞摂取」といいます。献血と同じように起きた状態で遠心分離機をかけて造血幹細胞を取るっていう方法です。どちらにもメリット・デメリットがあるので最終同意日にお医者さんからしっかりと説明があります。

ーー松井さんはどちらの方法を選択しましたか?

松井)私は骨髄採取の方を選びました。

ーーなぜ骨髄採取を選択されたのですか?

松井)骨髄採取は全身麻酔を行うので、提供する際に、寝て起きたら終わってるんですね。
末梢血幹細胞摂取の方は、骨の中にある造血幹細胞(血液を生み出す元)を薬を飲んで増やし、骨から溢れ出てきたものを遠心分離機にかけて採血します。なので、採血にはかなり時間がかかってしまいます。その理由で骨髄採取を選択しました。

ーーなるほど。末梢血幹細胞摂取の方も1日で終わりますか?

松井)中には2日かかる人もいます。規定量まで採血できないと、翌日も行います。結構骨から無理やり出すので、お医者さん曰く成長痛のような痛みが出るそうです。

ただ、末梢血幹細胞摂取の方が後遺症が少ないと言われています。

ーー松井さんは骨髄採取をした直後の健康状態はいかがでしたか?

松井)手術終わった瞬間は麻酔効いてるので痛みはないですが、翌日起きたときに、背中が激痛で起き上がれず、歩けずでした。
何もしてなければ痛みは少ないですが、お辞儀ができないですね。(笑)

ーーそれは大変ですね。手術で取った場所が痛いという感じですか?

松井)そうです。3日くらい足を引きずって歩いていました。痛み止めを飲んで社会復帰していましたね。1週間ずつ痛みが半分になっていく感じで、私の場合は4週間でやっと痛みが無くなりました。その間はトライアスロンの練習もせずに、安静に過ごしました。

ーー最終同意からご提供されるまでは結構時間空きましたか?

松井)空きましたね。患者さんと病院側と僕らの予定を合わせて日程を決めていくのですが、コロナの影響で先送りになってしまい、1,2ヶ月かかってしまいました。

ーーコロナの影響も出ているんですね。実際、提供する側の人はお仕事をされている方も多いと思うのですが、松井さんは休暇をどれぐらい取られましたか?

松井)事前検査から事後検査まで含めて、合計して11日休暇を取りました。
平均的に皆さん4日~5日は入院されるそうで、私の場合は5日間入院でした。

アスリートの骨髄移植

ーー松井さんのように普段からスポーツをされている方もいると思うのですが、退院後はすぐにトレーニングを再開しても大丈夫ですか?

松井)基本的には提供した3、4週間後に行われる事後健康診断が終わるまでは運動しない方がいいと言われています。

事前にそう言われたときには、社会復帰がすぐできるんだったら提供してから3日ぐらいで走れるだろうと思ったんですけど、結果的にはきっちり1ヶ月休みました。

ーーそうなんですね。アスリートという立場からすると、今回の骨髄提供はいかがでしたか?

松井)そうですね。やはりアスリートで1ヶ月休むとなると、相当な努力の差になるので、そのあたりについては考えましたね。末梢血管細胞摂取の場合も休みの期間は若干の差しかないといわれています。

ーー末梢血幹細胞摂取でも、運動は控えてくださいねという期間が同じくらいなんですね。そうなると、プロアスリートは提供を行うのはちょっと難しそうですね。

松井)そうですね。僕はアマチュアスポーツだからできたのですが、プロアスリートとなると難しいかもしれないですね。ただ、プロのアスリートの方々が骨髄バンク興味を持って「応援します!」と声明を出してくださることは、僕らにとっても勇気になりますね。
例えば、ラグビーだと「命のパスを繋ぎます」とポスターを作ってくれていたりします。プロアスリートの方は、このような関わり方はできるのではないかと思いますね。

ーーアスリートの『発信力』という点が求められているのかもしれませんね。

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「僕の命は僕だけの命ではない」

ーー封筒が届いてからの5ヶ月間、普段の5ヶ月と比べて変わりはありましたか?

松井)リスクの話をよく聞くことになるので、「もう走れなくなるかもしれない」というリスクについても考えました。
提供後痛みが残るかもしれないと考えると、本当に1日1日、普通の1日かもしれないですけど本当にこの時間を大切にしようと思っていましたし、1人1人の出会いというのも、本当に次会えないかもしれないと思って、毎日を大切にしていこうと考えていました。

ーーそうですよね。提供後の生活というところもかなり考えてしまいますよね。

松井)リスクはもうほとんど0に近いですけど、0ではないんですね。0じゃないと考えると、本当に毎日を大切にしていこうと思いますし、会える人がいるんだったら会えるときに会おうと思いましたね。

ーー通知が来てから、当日までで、途中の心境の変化はありましたか?

松井)やはり不安ももちろんありました。しかし、これは自分の役割だなと思って、健康でいられていることへの感謝と、その恩恵っていうのは、この骨髄バンクを通じて返すことができるんじゃないかと思っていました。
なので、提供できることに関してはすごくありがたいと思っていましたし、誰かの為に貢献ができるという点で、本当に嬉しい気持ちで全ての同意書を書かせていただきました。逆に、お医者さんやコーディネーターさんが「アスリートだけど大丈夫?」というご意見もいただいたりしましたね。

あとは新型コロナウイルスの影響もありました。感染してしまうと恐らく提供できないことになります。だから、陽性にはなれないといった提供できないことに対する不安はすごくありましたね。
交通事故にしてもそうですし、『僕の命は僕だけの命だじゃなくなる』のでそこは極力外出を控えて本当に気をつけましたね。

ーー実際に提供されたあと、どのような心境でしたか?

松井)まずはちゃんと提供できてよかったと安堵感でいっぱいでしたね。
私の年齢だと今後また通知が来る可能性もあるので、今後も健康な状態でいようと思いました。

ーーここまで実際にご提供されたお話を通じて、いろいろなリスクのこともお伺いしてきました。骨髄バンクに登録するに当たって、不安な点を感じる方もいると思います。そうした方に松井さんからメッセージはございますか?

松井)休暇がとれるのか、健康状態や後遺症など不安な要素もたくさんあると思います。
ただ、患者さんやそのご家族の声というのはとても切実です。皆さん1人1人の行動とその勇気が患者さんの明日へ、未来へつながります。
そのような想いも皆さんの勇気に変えて欲しいです。

そして、骨髄バンクへの社会的理解が進めば、まわりに理解してもらって仕事を休むことも容易になると思います。なので、まずは骨髄バンクについて多くの方に知ってもらうこと。そしてよりポジティブに捉えていただくことが大切だと思います。

ーー素晴らしいメッセージをありがとうございました。

松井さん3

編集より

「骨髄バンクへの登録」と、実際に骨髄提供をすることにはもちろん差があります。松井さんが実際にされたと伺い、実際のところをお伺いしてみました。

いろいろな配慮がなされながら丁寧に進んでいくコーディネート、ご家族の想い、松井さんご自身の覚悟、気持ちなど、1回の骨髄提供がもたらすものが、相手の命を救うだけではないことがよくわかります。

本人に提供の意思があっても、骨髄提供をみなが理解し、まわりも協力できなければ成立しないものだということを今回改めて認識しました。

そんな松井さんはもうバリバリ競技に復帰!
代表を務めるランニングクラブ、「神戸AC」では陸上競技会を初開催します。新たなことにもチャレンジしている松井さん、是非応援したいと思います!

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