LFCコンポストを始めて2年目になります。大きな変化は自分の意識が変わってきたことです。以前より環境問題を考えるようになり、サスティナビリティを意識するようになりました。
オーガニックや有機野菜の値段は少し高いですが、安心安全なものを体に取り入れる価値を感じるようになりました。
多くの人にコンポスト作りのことを知って欲しいと思っていると、雑誌AERAの記事が目に入ったり、モデルの森泉さんのような芸能人がコンポスト作りをやり始めた話を聞いたり、NHKの朝の情報番組の「朝イチ」で紹介されている場面を見たりと、とにかくコンポストに関する情報がどんどん入ってくるのようになりました。
また、20代の男子がLFCコンポストバックを持って、スポーツ合宿に合流して、そこでも生ごみを投入しているという話を聞いて、幅広い層で確実にコンポスト作りの渦が起こっていると感じます。
私は、現在「LFCコンポストアドバイザー養成講座」を受講しています。
今日はそこで学んだ「土」のこと、「環境教育」のこと、私が家の庭でやっているコンポストの状況などをお伝えしたいと思います。
先日の講座で講師の方から「土ってなんですか?」と言う質問がありました。
「土は大切なもの、私たちが生きていく上で必要なもの、植物を育てるもの」と言う感覚で、私たちの身近に当然のように存在するものと思っています。
ところが、実際の生活を見渡してみると、都会の道路はアスファルトで覆われ、生活は人工物に囲まれていて、日々私たちが、「土」に触れることはほとんどないといっても過言ではありません。
自然界では土は1年に1センチしかできないものだそうです。そう考えると私たちが考える以上に貴重な物かもしれません。私たちはもっと「土」のことを知る必要があると思いました。
土を考えるときに「山・川・海の関係性のメカニズム」を理解しているとちょっとイケてるのでは思います。
森林では落ち葉やさまざまな動物の死骸が微生物により分解され、豊富なミネラルなどの栄養分になり土に蓄積されます。その栄養分は雨水により山から川へと運ばれ海へと流れます。森の土の養分は、海の生態系の基になる植物プランクトンの栄養になり、それを貝や動物性プランクトンが食べて、その貝や動物プランクトンを小型魚や大型魚が食べて食物連鎖が進みます。「海を豊かにしているのは山の森」だと言われ理由はここにあります。現在放映中のNHK連続テレビ小説の「おかえりモネ」の中でも話されていました。
栄養分のある「土」は植物を育て、それを動物が食べて育つだけでなく、海の生きものにも重要な役割を果たしています。食物連鎖の後ろの方にいる私たちは「土」なしでは絶滅してしまうということです。皆がもっと「土」を身近に触れて感じながら生活できたらよいと思います。
コンポストづくりの魅力の一つは、資源のない都会で資源を作ることです。生ごみが都会での最大の資源であることに気づかせてくれます。森の中で起こっている微生物の分解活動を自分の庭で起こして土に戻すことが出来るのです。コンポスト作りをすることによって、自然や土をより身近に感じるようになります。
コンポストづくりは環境教育としても実践されているようです。コンポスト作りは体験型なので学習指導要領にも沿った内容になります。環境教育の「気付き・学び・わかる・行動する」の流れの中で、私が良いなと思った点は、行動による生活スタイルの変化を、「我慢」ではなく「ちょっと得をする!」ことへつなげることを大切にされていることでした。
生ごみに触ることも出来なかった子ども達が、コンポストを使った環境教育に参加することにより、抵抗無く触れることができるようになったりします。
そして「生ごみは役に立つもの」であると認識が変わったり、生ごみをもっと研究したいと言う声も上がったようです。コンポスト作りから野菜作りにも展開していくと、自然の循環を体感して「生きる力」にも繋がります。
また、微生物の分解の観察をして、その様子を文章にまとめたり、人前で発表したりすることで国語教育的な意味も生まれてきます。こうしてどんどん学びの輪が広がっていきます。こうしてみると、コンポストを使った環境教育は決して子供に対してだけでなく、大学や地域、企業内でも大きな効果を発揮するのではないでしょうか。
私のコンポストづくりは、微生物の分解活動も活発で、LFCコンポストバックの中の温度が40度になることがあります。バックの中に掻き混ぜ専用のスコップと100均で求めた温度計をさしたままにしているのですが、バックを開けるたびに温度を確認するのが楽しみになっています。バックの外からもじんわりと暖かさが伝わってきます。今年は虫の発生は今のところまだありません。微生物の一生はなんと20〜30分から長くて2時間らしいです。その短い時間で必死に活動をしてくれているのです。微生物がいなければ地球上は生き物の死骸だらけになるという、あまり笑えない話もあります。微生物はとても大切な生き物と言うことですね。以前に熟成したコンポストをプレゼントした知り合いの庭ではカボチャの花が咲き、トマトも大きく育ってきているようです。無農薬のバジルもみずみずしそうで料理に使うのが楽しみとのことです。コンポストづくりの輪がいろいろな形で広がっていけばと思います。
毎日、地球全体でみると膨大なゴミの量が出ています。コンポストは、環境に優しい誰でも出来る小さな循環生活です。私がこのようにコンポスト作りについて伝えることで、誰かの小さなソーシャル活動の一歩につながればと思います。
京都在住/50歳代女性