「痛みを取って終わり」ではなく、予防医学的に「運動できる身体づくり」を当たり前にしたい。
そんな想いから、茨城県古河市で24歳の若さで起業した福田琢実さん(以下、福田)が立ち上げたのが、接骨院・ジム・デイサービスを一体化したヘルスケア複合型施設・MIRIZE(ミライズ)です。
身体の治療、動かし方の改善、治療、リハビリ、そしてトレーニングまで一貫して取り組むことで、ジュニアアスリートから高齢者まで、幅広い世代の“身体づくり”を支えてきました。
介護予防や地域の健康課題にも向き合いながら、「複合的なアプローチこそが当たり前になる社会」を目指すMIRIZEの挑戦と、福田さんの背景にある想いを取材しました。
ケガを予防し、自ら動かせる身体づくりをめざすMIRIZEの想い
ーー茨城県古河市で創業したきっかけとMIRIZEの名前の由来を教えてください。
福田)私が古河市出身であることもそうですが、独立する前にフリーランスとして活動していた頃のお客様から、「ぜひ古河市でやってほしい」という声を多くいただいたこともきっかけです。
MIRIZEという名前には「未来(MIRAI)」と「上昇する(RISE)」そして「Z(最強/最高)」という意味が込められています。“痛みがなくなる”ことをゴールにするのではなく、その先にある「未来の健康」を一緒につくりたいという思いから、この名前を付けました。
ーー従来の接骨院での治療を変えたいと感じていたそうですね。
福田)以前から、“痛みを取るだけの治療”にずっと疑問を持っていました。例えば、野球に取り組むアスリートが肘を痛めているとき、その痛みを取り除いたとしてもそもそものボールの投げ方が悪ければ、またすぐ痛めてしまうことになります。痛みの原因は肘という1つの部位だけではなく、“体の使い方自体がよくないこと”にあるため、根本的に痛みをなくすためには運動動作を変える必要があります。
“患者が痛くなくなること”をゴールとしてしまう治療院が多いのも現実としてありますが、それでは根本の解決にはなりません。保険利用や治療院としての経営など、さまざまな課題もあるからこその状況ではあるのですが、私はトレーニングを通した「予防」と「治療」を掛け合わせることで経営的には成り立つモデルになると思っていましたし、こうした事業が成り立つことが世の中の方々の身体へのアプローチが変わるきっかけにもなるのではないかと考え、MIRIZEを創業しました。
ーー創業時、福田さんは24歳だったと伺いました。経営に対する不安などありませんでしたか。
福田)事業が失敗するかもという不安はありませんでした。支えてくださる方の存在も大きく、同級生や後輩の父親や野球でのつながり、店舗を貸していただいた大家さんも一緒になって応援してくれたのも大きいですし、自分自身がこれまで活動してきた中で、「こうあるべきだ」という信念を強く持てていたことで、不安なく挑戦できたなと感じています。
世代をつなぐ健康サポートと専門性と熱意で支えるメンバー
ーー「痛みの根本原因にアプローチしたい」という想いで生まれたMIRIZEですが、どのような取り組みをされているのでしょうか。
福田)接骨院、ジム、デイサービスという3つの事業を展開しています。それぞれ違うことをしているように見えるかもしれませんが、痛みに対して治療、リハビリ、トレーニングという複合的なアプローチをしていると捉えています。
「腰痛にならないように、まず体を整えてからトレーニングをしましょう」「痛みをちゃんと治療してから痛みの原因を治しましょう」など、状態に応じてMIRIZEのなかでさまざまな解決ができるようにしています。接骨院で痛みをなくす治療をしつつ、ジムで根本的な原因をなくし、再発を防ぐ体づくりにつなげています。デイサービスで通われている方にも同様に、動かし方や痛みの原因をなくしていくようなアプローチを行っています。
ーー幅広い世代にサービスを提供しているのですね。
福田)「スポーツでのパフォーマンスを上げたい!」という子どもたちもMIRIZEには多く来ています。
私自身、学生時代は野球にずっと打ち込んできたのですが、まだギリギリ“気合いと根性”の世界が残っていました。中学校のクラブチームには、片道25kmを足腰のトレーニングとして自転車で通うこともあったほどです(笑)。ただ、その後自身でいろいろと学んでいくと、「もっと上達する近道があるな」というのはもちろん感じています。気合いと根性の部分は必要ではあるものの、学生たちが何かを信じて、精一杯の努力をするときに、“意味のある努力”ができるようにサポートできたらと思っています。
ーー従業員も若い世代のメンバーが多いですね。
福田)私が大学でお世話になった教授の恩返しとして、アスレチックトレーナーの実技試験の対策を教えた際に出会った学生が多く在籍しています。ほとんどのメンバーが、卒業後は一度は医療関係やトレーナーとして現場で働いたのち、その後「治療とトレーニングの両方が大切だ」というMIRIZEの考えに共感し、同じ想いを持って活動してくれています。
治療院で1日20人を淡々と施術するよりも、1人に1時間かけてじっくり向き合い、「もっとできることがあるはずだ」と考えながら、知識や能力を自主的に磨いていくメンバーが集まっています。
健康で活力あふれる街へ、日本の健康習慣を変える挑戦
ーー福田さんがご出身の茨城県・古河市。どんな街だと思われていますか?
福田)もともと、20年前に古河市が合併する前の旧三和町が私の出身地です。この地域は、“あと一歩”の地域だという印象もあります。JR宇都宮線、国道4号線が通り、アクセスのよい場所でありながら、なかなか立ち止まる理由・魅力が作れていないということも感じています。ただ、住んでいる人たちにとってはとても住みやすい街です。
ーー古河市で活動する中で見えてきた地域課題はありますか。
福田)古河市は介護や医療の需要が全国平均よりも約1.3倍に高くなっています。年齢層もあるかもしれませんが、とくに介護需要が多くなっているという課題があります。お風呂に入る、食事を補助するサービスはありますが、その介護状態にならないようにするサービスはなかなかなく、このままでは今後も介護需要が増えていく一方です。
MIRIZEで行う“身体づくり”をより多くの方に届けていくことで、地域全体の課題にもアプローチしていきたいですね。
ーーMIRIZEのサービスは、痛みに悩んでいる、体をうまく使いたい、もっと動けるようになりたいなど、さまざまな課題にアプローチできるサービスになっていることを実感します。
福田)「治療からトレーニングまで複合的に行っている施設」=「MIRIZE(ミライズ)」というジャンルになるくらい、人々の暮らしの中に根付いた存在になることを将来は目指しています。
日本では、治療だけ行う接骨院、トレーニングだけ行うジム、というように分業されがちですが、世界では治療ができて、ベッドがあって、トレーニングもできて、その中に専門家がいる形がごく普通です。そうした環境が、日本でももっと自然に広がっていってほしいと思っています。
ーー今後、スポーツや地域との関わりを通したMIRIZEの展望を教えてください。
福田) 『古河シティFC』のような地域スポーツクラブの選手、『スポーツフェスタ古河』など自治体の大きなイベントの発信力や影響力を借りながら、身体の使い方や健康への向き合い方といったメッセージを広めていきたいです。
当たり前のように体を整え、運動をする文化が広がっていくことで、結果的に地域がよくなっていく、そんな好循環をMIRIZEから生み出していければと思います。
古河市に住んでいる人が「健康で活力あふれる街です」と誇れる地域になれば嬉しいです。体のケアやトレーニングはスポーツ選手だけのものではなく、一般の方にとっても必要なものだということを、これからも伝えていきたいです。
ーーありがとうございました!
ー
