特集

“水”で社会を変える。2025大阪・関西万博で給水スポットを届けたウォーターネットと考えるサステナブルな未来

ウォーターネット

大盛況に終わった大阪・関西万博。約2557万人が訪れたその世界の祭典の会場内には、52台の給水スポットが設置されました。

水を「買う」のではなく、マイボトルに水を「くむ」。

その裏側には、水で社会を変えるという熱い想いを持つ企業・株式会社ウォーターネットの存在があります。“水で支える”ビジネスを貫くウォーターネットが描いているサステナブルな未来について、代表取締役社長・佐藤英夫さん(以下、佐藤)にお話を伺いました。

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「買う水」から「くむ水」へ|万博に設置された52台の給水スポットが示す未来

ーー大阪・関西万博では、ウォーターネットさんが提供するウォーターサーバーが、給水スポットとして52台設置されました。それにはどういう経緯があったのでしょうか。

佐藤)私たち株式会社ウォーターネットは、親会社である株式会社OSGコーポレーションとの『ステハジプロジェクト』に参画し、さまざまな活動に取り組んでいます。SDGsの観点から、海洋プラスチックごみ削減に貢献できるアクションを企業としてもできればと思い、「使い捨ては恥ずかしい」「さあ、みんなでサステナブルはじめよう!」という考えのもと始動しました。

その中で、誰もが手軽にできるアクションとして考えたのが、“マイボトルを持ち歩く”こと。私たちの水を利用していただくことで、ペットボトルの購入を減らし、プラスチックごみの削減に貢献できます。ただ、家にウォーターサーバーがあっても、出かけたときに水をくむところがないとペットボトルを買う必要が出てきますよね。

そこで、「みんなで拡げる給水スポット」というコンセプトで、全国各地への給水スポット設置に挑戦しています。大阪・関西万博への設置は、その取り組みを形にする絶好の機会でした。

ーー大阪・関西万博での給水スポット設置の効果はいかがでしたか。

佐藤)万博終了後、ごみの量が当初の予測の半分になっていたとの調査報告がありました。イベント全体のさまざまなサステナブルな取り組みの結果ですが、その要因の1つに“無料給水スポットがあったことによるペットボトルごみの削減”が挙げられています。

夏の期間を跨いだ開催となった万博中の熱中症対策という意味だけでなく、マイボトル持参によるペットボトルごみ削減という2軸をしっかり実現できたことは、万博での大きな成果だったと思います。私たちが目指していた「買う水」から「くむ水」への移行が、こうして形になったのは嬉しかったですね。

関西万博

災害対応から日常生活まで|“水”で支えるレジリエントな社会

ーーウォーターネットの事業について教えてください。

佐藤)私たちは水の宅配事業を展開しています。全国を250のエリアに区切り、エリアオーナーとなっていただく企業を募る、“エリアライセンスチェーンシステム”という仕組みを導入しています。エリアで区切っているため、オーナーさんたちにとって商圏が重なることがなく、隣接するエリア同士で協力しながら運用できることが特徴の1つです。
事業としての魅力だけでなく、地球温暖化による気温の上昇や災害が増えているなどの社会背景から、「地域社会に貢献したい」という想いで参入されるエリアオーナーさんも多くいらっしゃいます。

ーー災害対応にも力を入れていると伺いました。

佐藤)エリアオーナーの企業には、できる限り地元の自治体と災害協定を結んでいただくようにしています。万が一、災害が発生またはその恐れがある場合には、ウォーターネットの12L飲料水ボトルを自治体へ優先的に供給することを定めた協定です。
これまで、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、“水がいかに大切か”を感じてきました。実際に、避難所に給水スポットを設置した際には、多くの方に喜ばれたのです。それにより水が必要不可欠なものであると痛感し、”水で支える”部分についてもっと深く取り組んでいった方がいいのではないかと考えるようになりました。

ウォーターネット

ーー必要不可欠だからこそ”水で支える”ことを大事にしているのですね。

佐藤)熱中症予防、健康、備蓄、安心・安全の4つを掲げる「クローバープロジェクト」も推進しています。
そのために、“水を売る”のではなく“水で支える”意識をエリアオーナーさんにも持っていただきたいと考えています。仕入れて売るだけでなく、エリアオーナーさんに水を製造する工場を持っていただき、メーカー的な立場で展開していただくことを理想としています。

年に2回行われるエリアオーナー会では、SDGsの活動も表彰の対象にするなど、地域貢献の分野でもお互いに刺激し合える場づくりをしています。素晴らしい取り組みを聞いて「うちもぜひやってみたい」と動き出すオーナーさんもいらっしゃるので、今後もこういった活動をコツコツやっていきたいですね。

スポーツとともに伝える「水の力」|デフリンピック協賛と“ボクサー社長”の想い

ーーウォーターネットさんはスポーツイベントとの連携も積極的に行っており、最近ではデフリンピックへの協賛も話題になりましたね。

佐藤)デフリンピックでは、スタッフの方や来場者の方への水分補給をサポートさせていただきます。東京都が推進している「TOKYOエシカル」という取り組みに参加しているのですが、その会合で、デフリンピックへの協賛企業を募集していたことがきっかけでした。

スポーツと水分補給は切っても切れない関係にあるので、国際的なイベントに参加させていただけるのは本当にありがたいことです。

ーーウォーターネットさんと、スポーツの関係性についてはどのように考えていますか。

佐藤)「汗をかいたらウォーターネット、汗をかく前にウォーターネット」というキャッチコピーをスポーツを通じて広げていきながら、スポーツとの親和性を高めていければと思っています。

スポーツイベントとの関わりを通じて、やはりゴミの問題は多く出てくることにも気がつきました。大阪・関西万博のときのように、今では水分補給としてのサポートだけでなく、マイボトルの使用促進になってゴミを削減できているという付加価値でもいろいろなところに提案し、お役立ちできればと思っています。

ーー佐藤社長ご自身とスポーツの関わりについても聞かせてください。

佐藤)実は私、元プロボクサーなんです。ボクシングは個人競技ですが、セコンドや相手がいなければ、試合も練習もできません。個人競技であっても、スポーツは誰かの支えによって成り立つのです。さらに、ボクシングは自分の体1つで戦うので、心技体を充実させないと相手と戦えない上に、いい試合もできません。また、私は自分の心技体のレベルをどこまで高められるのか、がボクシングのおもしろいところだと思っています。

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20周年の先に目指す”森”と”人”の未来|Green Future Projectという挑戦

ーー2026年3月に創業20周年を迎えるにあたり、ウォーターネットさんとして今後はどういったことを目指していきたいですか。

佐藤)今年はデフリンピックと出会えたので、来年は愛知で開催されるアジアパラ競技大会など、より大きなスポーツイベントにも携わることができればと思っています。

また、今年から本格的に始めたのが『Green Future Project』です。奈良県の天川村で、売上収益の一部を植樹活動にあてる、森林再生プロジェクトを始めました。まずはこの活動について、加盟店さんやエンドユーザーさんにもしっかり知っていただく。そして、ウォーターネットを利用することがSDGsの活動になり、地球環境の保全にもつながっていくことをアピールしていきたいですね。そのためにも、多くの方に我々の水をお使いいただくことに、より力を入れていきたいと考えています。

ウォーターネットの森

ーー企業として大切にしていることについて教えてください。

佐藤)ウォーターネットの経営理念は「三愛精神を実践し、物心両面で豊かな社会の一員となる」ことです。この三愛精神は、「人を愛し、仕事を愛し、人生を愛せ」という3つの愛のことで、その3つを愛する集団であろうというのを会社として目指しています。

CSR活動の面では「5つの満足」の意識を大切にしています。我々の言う「5つの満足」とは、加盟店さん、実際に利用するエンドユーザーさん、社員、取引している企業さん、株主さんの5者が、それぞれ「ウォーターネットでよかった」と満足を得られること。この5つの関係者の満足度を高めていくことも、私たちの大切な使命だと思っています。

ーー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

佐藤)ずばり「マイボトル運動を始めましょう」と伝えたいです。多くの方にマイボトルを持っていただき、「マイボトルで水を補給する」という一歩を踏み出していただければ大変ありがたいです。それを入口に、日常生活の中でできる環境問題へのアクションを広げていってもらえたらと思います。そのためにも、安心・安全な水を飲める場所をもっと提供していけるように取り組んでいきます。

ーーありがとうございました。

 

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