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【シャレン!/アルビレックス新潟】新潟の地域課題に“本気で”向き合う

「守れ、ニイガタのいのち。」
このフレーズをキャッチコピーに、高い自殺率が続く新潟県で、アルビレックス新潟は啓発活動に取り組み始めました。

2021Jリーグシャレン!アウォーズにて、地域の社会課題解決に向けてチャレンジしている活動を称える「ソーシャルチャレンジャー賞」を受賞したこの活動。広報部ホームタウン担当の村山拓也さん(以下:村山)の話からは、ホームタウン・新潟県の課題に正面から向き合う“本気度”が感じられました。

クラブがもっと力を発揮できる場所

ーーどのような活動か、簡単に教えていただけますか?

村山)クラブとしては、自殺予防への啓発として、選手のビジュアルを使用した告知などを中心に実施しました。

まずは9月にある「新潟県自殺対策推進月間」に合わせ、クラブスタッフ約40名を対象に「ゲートキーパー研修会」を開催し、クラブのYouTubeチャンネルでも公開。そして、ホームゲームの際にクリアファイルを配布し、大型映像でも啓発メッセージを上映しました。

3月の「新潟県自殺対策強化月間」には、ゴールキーパーの選手を起用したポスターを作成し、県内のJR在来線の車内に掲示。新潟県自殺予防対策推進宣言団体(いのちとこころの応援団)にクラブとして登録しました。

そして、クラブが取り組んだ一連の活動を、「シャレン!アウォーズ」にエントリーしました。

アルビレックス新潟_守れ、ニイガタのいのち

サポーターの皆さんや活動に賛同してくださる方のSNSなどによる発信を通じて、「命の大切さ」を感じていただきたいと考えました。

ーーこの活動に取り組んだきっかけは何でしたか?

村山)新型ウイルスの影響による外出自粛が続いた昨年の春、新聞で「2020年4月の自殺者数が前年同期比で、大幅に減少した」という報道を目にしました。自ら命を絶つ人が減ったことは非常に良かったと思いましたが、それと同時に「人と人との関わりが減少し、ストレスが減ったことがその要因ではないか」という分析がなされていて、そのことに衝撃を受けたことが活動の一つのきっかけになりました。

具体的な行動はまったく考えついていませんでしたが、「新潟にあるスポーツクラブとして、何かできることがあるのではないか」「我々が力を発揮できる場所なのでは」と感じ、新潟県の担当部局(障害福祉課)に相談をしました。

ーー「力を発揮できる場所」とは具体的にどういうことでしょうか?

村山)我々が取り組んできたさまざまな活動や、クラブの存在そのものを通じて、人間関係を紡いだり、強くしたりすることに少なからず貢献したこともあるのでは、と感じています。そうしたことを生かし、今までやっていることを見直して何かできるのではないかという考えに至りました。

サッカークラブの活動というのは、試合の勝敗に留まらず、多岐に渡るものだと思っています。

アルビレックス新潟_守れ、ニイガタのいのち

これからも発信を続けていく

ーーいずれも頭文字が「GK」である、“ゲートキーパー”と“ゴールキーパー”をかけたポスター。どういった経緯で着想したのでしょうか?

村山)新潟県の障害福祉課の方との話し合いの中で生まれた発想だと記憶しています。

我々は当初、自殺の危険を示すサインに気付き、適切な対応を取ることができる人である「ゲートキーパー」の存在を知りませんでした。ですが、担当者の方と話し合いを重ねていくうちに、そういう存在がいて、そのための研修会もあることを教えていただき、ゲートキーパーの頭文字がGKということで共通点もあると思いました。

“守る”という意味でも共通しています。ゲートキーパーは「命の門番」とも位置づけられる存在ですし、ゴールキーパーもゴールを守る存在。その2つを掛け合わることによって、伝えたいことをより訴求することができると考えました。

アルビレックス新潟_新潟県

ーーこの活動の展望や、想いについて教えてください。

村山)社会的に大きくクローズアップされた問題だから取り組んだということではありません。

この問題はずっと続いていく問題ですから、“命の大切さ”についてさまざまな形で発信を続けることが一番大切だと思っています。

サッカークラブという存在が“武器”であり“ネック”

ーーこの活動の他にはどういったことに取り組んでいきたいとお考えでしょうか?

村山)今回は、“新潟県では自殺者数が多い”という社会課題に対して取り組みましたが、地域特有の社会課題というのは、それ以外にもたくさんあると思っています。我々も、新潟の課題についてすべてを把握しているわけではありませんし、我々がお力添えできるかどうかも分かってはいません。

ですが、我々が活動させていただいている「新潟」に困りごとがあり、私たちが力を発揮できることがあれば、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

ーー社会貢献活動に取り組む中で、どのような課題を感じていますか?

村山)サッカークラブにいると、クラブ視点でしか物事を考えられなくなってしまいがちですが、社会貢献活動は、異なる分野との協力がなければできないことがたくさんあります。「足し算ではなく、掛け算でないとできない」ということを念頭に置きながら、行政をはじめ他分野とのコミュニケーションを取る必要があると感じています。

サッカークラブの「敷居の高さ」も課題の一つだと思っています。自分たちでは「身近な存在」だと思い、そう言っていますが、別の視点から見るとそうではなくて、“見えない壁”のようなものが存在しているのではないかと思っています。

個人的な見解ですが、「サッカークラブ」という存在が、“武器”になっている一方で“ネック”になっている部分でもあるかもしれないと、今回の取り組みを通して感じました。

必ずしも“サッカーを主語にする”必要はない

ーークラブの社会貢献活動に関して、反応はいかがですか?

村山)今年の初め、新潟市消防団の方から「ウイルス禍であることや、地域のコミュニティーの希薄化などによって、地域の消防団員の確保にすごく苦労している」「アルビレックス新潟に協力してもらえないか」とお声掛けいただきました。

なぜアルビレックス新潟に声を掛けていただいたのか、と尋ねたところ、担当の方から「アルビレックス新潟は地域貢献に積極的だというイメージがある」という言葉をいただいたんですね。

イメージは、見たり聞いたりする中で形成されていくものだと思っていますので、さまざまな活動に取り組むと同時に、それを自ら発信し、時にはメディアの協力をいただいて発信を続けたことの積み重ねが、一つの成果となったのではないかと感じるきっかけになりました。

ーー他の活動も含め、今後の社会貢献活動はどのように取り組んでいきたいですか?

村山)地域での課題にアプローチしていきたいと考えています。
ホームタウン活動にとりくむなかで感じているのは、「活動がクラブからの一方的なものになっているのではないか」ということです。

個人的な見解ですが、「サッカークラブは、必ずサッカーを通じて社会貢献をする」と“サッカーを主語にする”ことは必須ではないと思っています。「求められていること」「必要とされていること」に積極的に取り組んでいけるといいですね。取り組みの大小は関係なく、できることを積極的にやっていきたいと思います。

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