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“競わない”ランニング文化を創る挑戦~教師を辞め、スポーツとアートの融合を目指すプロGPSランナーとは~

GPSランナー志水直樹

GPSランナー志水直樹。兵庫県西宮市出身、元小学校教師。ランニングアプリの走った軌跡に色が付く機能を使い、地球をキャンバスに国内外で絵やメッセージを描くランニングアーティスト。アジア競技大会の公式イベントの監修などを務める。

天職だと思っていた教師を退職、開拓者の道へ

教師を退職し、2019年4月より「プロGPSランナー」として活動を開始し、これまで世界10か国でおよそ700作品(一つの作品制作で走る距離の平均は約10km)を制作してきました。アーティストとして作品を残すことはもちろん、それ以上に”競わない”ランニングの楽しさや社会的意義を伝えるために走り続けてきました。

GPSランナーの具体的な活動としては、大きく下記の4つの柱があります。

①GPSラン…ランナー向け。みんなで走った軌跡が絵やメッセージに!

②GPSウォーク…一般向け(子ども・高齢者・車椅子歓迎)。歩いた軌跡が絵やメッセージに!

③GPSプロギング(ゴミ拾い)…同上。ゴミ拾いをした軌跡が環境保全に関する絵やメッセージに!

④オンラインイベント…「全国GPSアート選手権」をSNS内で実施。コロナ禍でも日本中の参加者同士が作品を通して繋がり、モチベーションと健康を保つキッカケに!

この他にも学校や保護者、企業向けの講演会、テレビ番組のコンテンツ監修、商店街を核としたスポーツとアートの力による街の活性化のコーディネート事業などにも取り組んでいます。

活動をスタートしたきっかけは、地元兵庫県西宮市で毎年開催されている有名な神事『福男』です。

自宅が神社のすぐ横にあるため、毎年抽選の列に並んでいます。20161月もその列に並んでいました。ゴールまでの最短距離を分析するために境内周辺をgoogle mapで見ていたところ、神社の形が西という文字に見えたことが始まりです。翌月のバレンタインデーに『西宮LOVE』という作品を描いてSNSに投稿すると思わぬ反響があり、スポーツとアートを融合させることで新たな感動を生む大きな可能性を感じ、この道の開拓を始めました。

“競わない”ランニング文化を創る挑戦

教師を辞め、GPSランナーとして独立した2019年、出会う方の9割以上の方に「なぜ安定した教師を辞めたのか?」「どうやって稼いでいるのか?」という同じ質問を受け続けていました。

Q1.なぜ安定した教師を辞めたのか?

A.自分は教育現場に留まるより、世界中を走り回ることの方が、自分のためにも、子どもたちのためにも、世界のためにも還元できるものが大きいと思ったから。

Q2.どうやって稼いでいるのか?

A.稼げていない。この道1本で生計を立てている前例者がいないので、全て手探り。教師時代の貯金を取り崩しながらイベントを実費で開催し、一人でも多くの方にGPSランの魅力を知ってもらおうと、ひたすらもがいている。※最近は少しずつ状況が変化してきました。

この質問2つに対する答えは、僕自身の事業や取り組みに対する想いでもあります。

GPSランのゴールはタイムを縮めることでも、長距離を走ることでもなく、”作品を描き切ること”です。誰とも競わないため、自由に休憩を取りながら自分のペースで進むことができます。

タイムや距離は重要ではなくオンラインでもできるため、大人から子どもまで、年配の方や車いすの方、さらには国境を越えてみんな一緒に楽しめるという点が最大の魅力です。まさに、”競うことなく”世界中の心をつなぐ、『世界平和にも通じるインクルーシブな新スポーツ』になり得ると思い、教師を辞して自分の時間のすべてをかけてその開拓に取り組んでいます。

正直、稼げるかどうか、安定しているかどうかを考えるのであれば、現時点ではGPSランナーという職業は子どもたちに一切オススメできません。憧れの職業の一つになれるよう、これからもこっそり精進します。(笑)

逆風も風の一種、風の時代を進む推進力に

コロナウイルスの影響でジェットコースターに乗っているかのように周りの景色が一変しました。

イベントはことごとく中止になり、新しい計画を立てようにも感染拡大が収まらず、お声がけ頂いていた企業や自治体も動けない状況が続いています。食いつなぐために3つ掛け持ちしていた飲食店のアルバイトも全て休業、もしくは人員削減のためにシフトに入れず、収入が断たれていた時期もありました。

そんな中でも一つ大きな転機が訪れました。それは、集まらなくても開催可能な「オンラインマラソン」の分野がマラソン業界で急成長したことです。GPSランで制作する作品はデジタルであることから、このオンラインマラソンやSNSとの相性がよく、京都マラソン(オンライン開催)では公式イベントとして、自身がSNSで主催している「全国GPSアート選手権」を参考にする形で「GPSアート展」を開催して頂きました。また、個人的にはアジア競技大会2026の公式イベント「GPS RUN ART」の監修をさせて頂く機会も頂きました。

さらに、SNSや講座で魅力発信を続けていた結果、「コロナ禍でも安全に開催できる、国内外で人気急上昇中の新しいスポーツがある」と話題になり、関西のほぼ全てのテレビ局から取材して頂く機会にも恵まれました。大好きな間寛平さんとも共演させて頂き、似顔絵と「アメマ」という文字を描き、ステイホーム中の皆さんに明るい話題を届けられたことは何より嬉しい出来事でした。

現在は、Withコロナ、Afterコロナの世界をどうやってスポーツとアートの力で明るくできるかばかり考え、動いています。同じ志を持った方々と一緒に、人も地球も笑顔にする新しい仕組みをどんどん生み出したいと思っています。

夢=GPSランナーがいらなくなる仕組みを創る

GPSランナーとしての最大のミッションは、”競わない”ランニングの概念・楽しさを世界中に広げることです。そして、スポーツとアートの力で、楽しみながら社会問題を解決し、人も地球も笑顔にできる具体的で世界規模の仕組みを創ることです。

具体的な展望としては、google×GPSランのようなアプリ・クラウドサービスを作ることが大きな夢の一つです。一人ではGPSランの魅力を世界に伝えることには限界がありますが、個人が走りたい(歩きたい)と思ったときにサクッとワクワクするオリジナルルートを作れるような仕組みがあれば、その魅力や恩恵を手軽に味わえると思うからです。

特に、超高齢化社会が社会問題となることが想定されている日本の福祉分野でこの仕組みを活用できれば、痴呆症や生活習慣病の予防や、生きがいの創出などにつなげていけると考えています。高齢者の皆さんがアーティストとなり、積極的に体を動かしながら地域を盛り上げる仕組みだって生み出せるかもしれません。これは、近い将来の世界的な人口増加に伴う高齢化問題や医療課題をも解決する糸口にもなる可能性があるのではないかと思っています。

あくまで考えていることの一例ですが、これらを実現させていくためにGPSランナーとしての今の自分の力でできることはまず一つ。新しく出会った方々と”競争”ではなく”共走・共創”し、考えることを止めずに開拓の最前線でワクワクしながら汗をかき続けることだと考えています。

Afterコロナの世界を見据え、新しい時代を幸せに生きるためのアイデアの一つとして、この“競わない”ランニング『GPSラン』の魅力発信と開拓をし続けたいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

《公式ホームページ》