『マンスプレイニング』とは、男性が女性を見下した態度で、知識をひけらかしたり解説したりすることです。近年SNSを通じて話題となり、さまざまな論争が起こってきたマンスプレイニングの具体例や対処法について解説していきます。
マンスプレイニングとは
マンスプレイニング(mansplaining)は「man(男性)」と「explaining(説明する)」を掛け合わせた造語です。「女は男より無知だ」というジェンダー的偏見から、男性が女性に対して偉そうな態度や見下すような態度で、知識をひけらかしたり解説したりする行為を指します。
作家レベット・ソルニットが2008年に出版した『説教したがる男たち(Men Explain Things to Me)』をきっかけに、ジェンダー問題としてSNSを中心に拡散され、オックスフォード英語辞典にも掲載されています。
マンスプレイニングの具体例と対処法
それでは、具体的にどのような行為がマンスプレイニングにあたるのか、男性の心理や対処法についても見ていきましょう。
マンスプレイニングの具体例
- エンジニアの女性にコンピューターの知識を披露する
- 子育てをしている女性に「母親ならこうするべき」「子育てはこうするのが正解だ」と説教したり、説明したりする
- 普段家事をしない夫が掃除や料理について上から目線で妻にアドバイスする
- 男性患者が女性医師を看護師扱いしたり、医療について解説したりする
- バイクが趣味の女性に対して、聞かれてもいないのに偉そうな態度で自分の知識を教える
SNSを覗いてみると多くの事例があり、身近におこりうることだとわかります。マンスプレイニングだと認識していなくても、客観的に見てそうであったり、振り返って気づいたりすることもあるのではないでしょうか。
マンスプレイニングをする男性の心理
- 女性は男性よりも知識がないと(無意識のうちに)思っている
- 自分の知識を認めてもらいたい、褒めてもらいたい
- 自分はいつでも正しい行動や発言をしていると思いこんでいる
- 女性より優位でありたい
- 自分が優秀であることをアピールしてマウントを取りたい
このように、マンスプレイニングをしてしまう人の心理状態や原因は人それぞれです。無意識でも「女性なのにすごい」「若いのによくできる」などという気持ちで接してしまうと、気づかぬうちに相手をうんざりさせたり傷つけたりしてしまいます。また、自信のなさやプライドの高さから承認欲求が強くなり、マンスプレイニングをしてしまう人も多いようです。
マンスプレイニングの対処法
マンスプレイニングをする人は、リアクションが大きいほど喜ばれていると勘違いして話が長くなる傾向にあります。
説明が長い場合は聞き流して適度に相づちを打ち、話を早めに切り上げましょう。また、マンスプレイニングをする人とは距離を置き、深く関わらないようにすることで自分を守ることができます。どうしてもマンスプレイニングされる状況を避けられなかった場合は、相談できる人に打ち明けてみるのも方法のひとつです。
自分にあう対処法を試してみてください。
マンスプレイニング論争
ネット上で度々物議をかもすマンスプレイニング。
2020年には子連れの女性が惣菜コーナーでポテトサラダを買おうとしたところ、高齢男性に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われるのを目撃した人のつぶやきが話題となりました。このできごとは『ポテサラ論争』と呼ばれ、新聞にも取り上げられました。
また、テレビ番組も論争の的に。浜松市が世界一の「楽器の町」となった理由を求めて、男性タレントのタモリと女性の林田アナウンサーが同市を訪問する内容が放送されたNHKの人気番組「ブラタモリ」。これを見たあるネットユーザーが、男性が女性に上から目線で知識をひけらかす「マンスプレイニング」の構図に嫌気がする、東京芸大大学院修了の林田アナが解説をしてタモリが聞き役をしても良かったのではないか、などと書き込み、思わぬ論争を呼びました。
さらに、京都大学の研究グループが開発した「人の笑い声を分析して一緒に笑い声を出す機能を搭載した人型ロボット」は若い女性をモデルにしたことから、女性差別、ジェンダーバイアスだと話題に。「マンスプレイニングの欲望を形にするとこういう感じになるのかと思わせる作品」「男性にとって都合の良い女性を具現化しようとしている」と論争が巻き起こりました。
性別関係なく気をつけるべきこと
フェミニズムやジェンダーハラスメントといった言葉が話題となり、ジェンダー平等が謳われる現代において問題視されるマンスプレイニング。
女性はこうであるべきというステレオタイプから、男性が女性に対して価値観を押しつけるような行為ですが、すべての男性に当てはまるわけではなく、男性を否定する言葉でもありません。
年齢性別関係なく、相手の性格や考えなどを決めつけて発言・行動しないようにすること、無意識に差別的な行為をしていないか自分自身を振り返ってみることが大切です。