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【シャレン!/ツエーゲン金沢】1人のスタッフの「想い」から選手、大学生、サポーターへ。広がるフードバンクの取り組み

Sports for Socialでは、2021年「シャレン!(Jリーグ社会連携)」に取り組むJクラブの「想い」を取り上げます。今回は、ツエーゲン金沢のシャレン活動「子どもの未来を応援する活動」について、ホームタウン担当の灰田様にお話しを伺いました。

ー 今回の「子どもの未来を応援する活動」を実施するに至ったきっかけを教えてください。

灰田)2020年4月に、新聞で「ひとり親世帯、貧困家庭に向けたフードバンクの需要過多」という記事と、金沢市の子育て支援課からいただいていた、子どもの貧困報告書という冊子で「全国7人に1人の子どもは相対的貧困状態にある」という報告を読んでいました。

恥ずかしながら、その時に現状を知った私は「クラブとして何かできることはないか」と思い、クラブオフィシャルグッズのゲンゾイヤーカレーを100個フードバンクに寄贈いたしました。

選手も主体的に加わり、広がっていったフードバンク活動

ー フードバンク活動への選手の皆様の反応はいかがでしたか?

灰田)この活動はただ単にツエーゲン金沢が寄贈するというだけではなく、Twitterやホームページで寄贈した事実とその背景を発信することによって、フードバンクやフードバンクの食料を必要としている人たちが苦しい状態にあるということを伝えていきたいという想いがありました。

その後、クラブの活動を知ったキャプテンの廣井友信選手が、「選手としても何かできることはないか」と相談にきてくれて、廣井選手の声かけに賛同した有志の選手たちで、自分たちでお金を出し合い、食料品を購入してフードバンクに寄贈するという活動を、2020年の7月から月に一回ペースでやることになりました。

ー 元々選手の皆様は、社会貢献活動に積極的だったのですか?

灰田)コロナ渦で他のクラブさんでも社会貢献活動を実施していたり、練習がしばらく中断していた期間だったので、その間にいろんな情報を見て、自分たちにできることを考えていたタイミングが重なったのだと思います。

例年サッカー教室を開催して、選手に参加してもらうことはあったのですが、選手たちの方から自発的に声がかかったというのは、今回が初めてでした。

金沢星稜大学の生徒たちのアイデアから、双方向の活動に

ー 徐々に広がっていった、フードバンク活動から、11月1日北九州戦のイベントに繋がっていったのですね。

灰田)4月にカレーを寄贈した際に、「細く長い支援をして欲しい」とフードバンクの方がおっしゃっていました。合わせて、選手たちからも自発的に相談がきたことも重なり、そこまで広がってきたので、もう一段階支援の輪を広げたいという理由から、シャレンアウォーズにエントリーした「子どもの未来を応援する活動」に着手しました。

ー イベント開催に際して、金沢星稜大学の学生さんたちの協力も大きかったと伺いました。

灰田)本イベントでは、ひとり親世帯への試合招待やプレゼント、試合前にピッチ上で金沢星稜大学の学生さんたちと身体を使って遊ぶ企画や、フードドライブブース、「子どもの未来を応援する活動」啓発ブースが実施されました。

シャレン_社会貢献活動_ツェーゲン金沢©zweigen kanazawa

また、金沢星稜大学地域スポーツマネジメント研究室の学生さんたちが、実際にフードバンク、子ども食堂に行ってみて現状を調査したり、どういう企画なら参加しやすいかのヒアリングを行った上で、イベントの企画・運営を学生主体で行ってくれていました。

ー 企画・運営を担当した生徒さんたちが、主体的に理解して、企画に落とし込んだことで、より社会的にも参加者としても、さらに意義のあるイベントになったのですね。

「協力したい」というサポーターの想いの架け橋に

ー 11月1日のイベントで、印象に残っているサポーターの皆様への反響はありましたか?

灰田)選手のフードバンクへの寄贈活動に関しては、毎回HPやTwitterで活動報告をして、「皆さんもぜひご協力ください。」というご案内は行っていました。


これまで個人で市役所やセンターなどに食料を持っていくのは、少しハードルが高いと思っている方も実際は多かったようで、11月1日のホームスタジアムでのイベントとして、ファン・サポーターに寄贈の窓口を設けた際に、「イベント内でフードドライブを設けてくれたことで持って行きやすかった」「自分も協力したい想いはあったので、今回協力することが出来て、嬉しかった」という感想をいただいたのが印象に残っています。

シャレン_地域貢献活動_ツェーゲン金沢©zweigen kanazawa

また、イベントの最後に、金沢星稜大学の学生さんたち主導で、子どもたちから選手たちへお礼のメッセージの寄せ書きを作ってくれました。それを、試合が終わって数日後に、選手たちに届けました。

今までのフードバンクの活動は、食料を持っていくことで人のためにはなっているが、それがどうなったか、どういう使われ方をしているか、具体的なその後の様子が見えづらいところを、お礼のメッセージをもらうことで実感が湧いたようで、選手たちもとても喜んでくれていました。

地域をより良くするためのパートナーを目指して

ー 最後にクラブとして、今後取り組んでいきたいことをお教えてください。

灰田)まず、この子どもの貧困問題に関する取り組みは、継続的に実施していきたいです。ただ寄贈するだけではなく、もっとパワーアップしていきたいです。

「試合会場にフードドライブがあって、食料品を持ちやすかった」という声もあったので、定期的に会場でフードドライブブースを実施していこうと考えています。

シャレン_地域貢献活動_ツェーゲン金沢©zweigen kanazawa

今回の取り組み以外にも、他の団体、企業さんと連携した「シャレン」活動を計画しています。ツエーゲン金沢は、ただのプロスポーツチームではなく、『地域をより良くするためのパートナー』と地域の皆様から思ってもらえるように、シャレン活動や地域活動を今後も積極的に行っていきたいです。

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