『シェアリングエコノミー』とは、個人や企業が保有しているものや場所、スキルなどを、SNSなどのインターネットを通して取引を行う新たな経済の形のことです。「共有経済」とも呼ばれていて、有形・無形にかかわらず、さまざまなものを主に個人間でやり取りしています。
今回は、今後さらに注目されてくると思われる『シェアリングエコノミー』についてわかりやすく解説していきます。
シェアリングエコノミーとは
『シェアリングエコノミー』とは私たち個人や企業・団体らが保有するモノや場所、スキルなどをSNSなどのインターネットを通して取引を行う新しい経済の形のことです。
少し前までは、何かをシェアすると言っても有形・無形に関わらず、直接合ってやり取りをするということが普通になっていますが、インターネットの普及によりネット上でのシェアというものが増えてきました。
「シェアリングエコノミー」では、有形・無形のモノや場所、スキルなどをネット上でシェアすることができるようになり、モノを共有して成り立つビジネスなため、「共有経済」とも呼ばれています。
シェアリングエコノミーの5つの領域
「シェアリングエコノミー」にはいくつかの領域があります。「一般社団法人 シェアリングエコノミー協会」が定める領域は次の5つです。
- モノ(Goods)
ex)フリ―マーケット(フリマ)、レンタルなど
- 空間(Space)
ex)駐車場、シェアハウス、会議室など
- スキル(Skill)
ex)それぞれの分野の知識、家事、育児、介護など
- 移動(Mobility)
ex)カーシェア、ライドシェア、シェアサイクルなど
- お金(Money)
ex)クラウドファンディングなど
出典:一般社団法人シェアリングエコノミー協会「最新のシェアリングエコノミー 領域mapを公開しました!(2020年3月)」
先ほどお伝えしたモノ・空間(場所)・スキルの他に移動・お金があり、これら5つの領域でシェアリングエコノミーが形成されていています。
サービスの名前を見てみると、意外と知っているものも多いのではないでしょうか。
シェアリングエコノミーの事例
ここではシェアリングエコノミーの実際に行われているものとして、近年注目の高い「カーシェア」を例に説明していきます。
シェアリングエコノミーの普及によって、最も大きな影響を受けると思われる業界の1つが「自動車業界」です。日本の高度経済成長期を支え、長年日本の産業のトップシェアを保ってきた自動車業界がシェアリングエコノミーによって大きく形を変えようとしています。
自動車業界の代表的なシェアリングエコノミーとしては「カーシェアリング」と「ライドシェアリング」の2つがあります。
カーシェアリング
まずは「カーシェアリング」ですが、登録を行った会員同士の間で車を共同して使用するサービスのことです。短い時間であればレンタカーよりも安く自動車を借りられるため、ちょっとした用事や気分転換など、気軽に利用できるところがメリットとして挙げられます。
また、安く利用できるところが若者世代に広く浸透し、彼らを中心にカーシェアリングの利用は増えてきています。
カーシェアリングを利用する流れ
- 事前に会員登録する(自動車を管理・提供している会社に)
- 予約を行う
- 指定されたステーションに行き、スマホや会員カードでロックを解除
- 運転
- 必要に応じて給油や洗車を行なう
- もとのステーションに返却
- 料金の支払い
ライドシェアリング
「ライドシェアリング」は、自動車の相乗りするということです。ライドシェアリングは「ヒッチハイク」をより詳細にしたものと言えます。車内の空いている座席を利用して、他の人と一緒に1つの自動車に乗ります。こうすることでガソリン代などを相乗りをした人の間で負担し合うなど、交通費を節約できるメリットがあります。ヨーロッパやアメリカではライドシェアリングは安く利用できる交通手段として多くの人に利用されています。
カーシェアリングと同様に、「ライドシェアリング」のサービスを提供している会社に登録をすることから始まります。登録には2種類あり、ドライバーが登録する側と利用する側の登録があります。サービス提供元の企業が仲介を担い、ドライバーと利用者の間でシェアされています。
シェアリングエコノミーの市場規模
「シェアリングエコノミー」について説明してきましたが、その実際の市場について簡単に触れていきましょう。
2020年に経済産業省が発表した「シェアリングエコノミーに関する実態調査(2020年3月27日」では、2018年時点での「シェアリングエコノミー」の年間の取引額は、1兆5,2226億~1兆6,008億円になっています。
そして比較としてですが、同じ年の2020年に「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」が発表した「シェアリングエコノミー関連調査 2020年度調査結果」では、2030年度の国内のシェアリングエコノミーの経済規模は14兆1,526億円まで上がるとの予想がされています。
今から2030年度までに、10兆円以上の経済規模が見込まれることからしても、成長が期待されていることがお分かりいただけると思います。
シェアリングエコノミーのメリット・デメリット
「シェアリングエコノミー」を利用することで多くのメリットがあることがお分かりいただけたと思います。その一方で、デメリットも存在します。ここでは「シェアリングエコノミー」を利用するうえでのメリットとデメリットについてお伝えしていきます。
メリット
メリットとしては大きく2つに分けられます。
- 低コストで、必要な時に利用できる
「シェアリングエコノミー」のサービス(シェアリングサービス)では、基本として仲介料がか かりません。必要な時にのみシェアリングサービスを利用することが可能です。
- 決済が簡単である
「シェアリングサービス」の決済方法はプラットフォームを介したものであれば、クレ ジットカードなどのキャッシュレスで行われることがほとんどです。そのため、クレジットカードを持っ ていれば、ネット上で簡単に「シェアリングエコノミー」を利用することができます。
デメリット
デメリットは大きく2つに分けられます。
- 制度が整っていない
新しいサービスの形であるため、現状はまだまだ制度が整っていません。徐々に法整備が進められてはいますが、現状、グレーゾーンだと判断される事業・サービスもあるため、保険や補償制度なども含めて、しっかりとした制度の形を作ることが課題とされています。 - ネット上でのトラブルに巻き込まれるリスク
インターネットの普及に伴って問題視されるようになったSNSなどのトラブル。まだトラブル防止の形としては日本社会では形成途中であると思われます。「シェアリングエコノミー」は 個人間の取引も多くあるため、現在は利用者と提供者の相互評価制度を取り入れるなどして、トラブルの防止が行われています。
シェアリングエコノミーの今後
「シェアリングエコノミー」は、これから先もより注目されていくと考えられ、人々は「モノを持つ」という考えから「モノをシェアして持つ」というような考えに変化しつつあります。
「シェアリングエコノミー」が日本経済にどのような効果をもたらしてくれるのか期待する一方、課題も多く残っていることは事実です。それらの課題を一つずつ解決していき、安心・安全で便利な「シェアリングエコノミー」を作り上げることが重要です。