『ガラスの天井』とは、組織内で十分な素質や実績を持ち昇進に値する人物が、性別や人種などを理由に、不当に昇進を阻まれてしまう状態を指す比喩表現です。
近年、女性の上級管理職への昇進や意思決定の場への登用の阻害要因について議論されることが増える中で、用いられることが増えた『ガラスの天井』という言葉。その意味や対処法について解説していきます。
「ガラスの天井」の意味
「ガラスの天井(glass ceiling)」とは、組織内で昇進に値する十分な素質や実績を持つ人物が、性別や人種などを理由に、不当に昇進を阻まれてしまう状態のことを言います。その先のキャリアの道筋(キャリアパス)が見えているにもかかわらず、キャリアアップを阻む「見えない障壁・天井」が存在することを意味する比喩表現です。
1978年にアメリカの企業コンサルタント、マリリン・ローデンが「女性のキャリアパスを阻む見えざる障害を意味する言葉」として『ガラスの天井』を使用したのがはじまりです。
1991年にはアメリカ連邦政府労働省が『ガラスの天井』という言葉を公的に使用し、女性やマイノリティー(少数派)の組織内での昇進が、『ガラスの天井』によって妨げられていることを認めました。
アメリカ大統領選挙でのヒラリー・クリントンの発言
『ガラスの天井』が多くの人に知られるきっかけとなったのは、2016年のアメリカ大統領選挙でした。ドナルド・トランプ氏に敗れたヒラリー・クリントンが敗北宣言で下記のように発言し、話題になりました。
「私たちは最も高いガラスの天井を打ち破ることはできませんでした。でも、いつか誰かが打ち破るでしょう。その時が、今私たちが考えている以上に早いことを望みます」(ヒラリー・クリントン)
また、2020年にはカマラ・ハリスが女性としてアメリカで初めて副大統領に就任し、「世界で最も厚いガラスの天井のひとつを壊した」と称されました。
日本における「ガラスの天井」
日本では1986年に男女雇用機会均等法が施行され、1999年の改正法では募集と採用、配置と昇進、教育訓練での差別が禁止規定となりました。それ以降も、女性が働きやすい環境を増やすための法の整備や国からの支援、制度づくりが行われてきました。
しかし、2021年に世界経済フォーラムで公表された各国における男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数2021」では、日本の総合スコアは「0.656」順位は146カ国中116位でした。主要7カ国(G7)では、最も低い数字となりました。
「ジェンダー・ギャップ指数」は、経済・政治・教育・健康の4分野に関する統計データから算出され、0が完全不平等、1が完全平等を示します。
「ジェンダーギャップ指数」によって、いまだに日本がガラスの天井が壊すことができていない現状が浮き彫りとなっています。
ガラスの天井と壊れたはしご
一方で近年では『壊れたはしご』という比喩表現も使われています。
企業における男女の差は経営陣や上級職(天井)にぶつかって発生するのではなく、第一段階である係長等の管理職に昇進する「はじめの一歩の格差」が結果として、上級職に占める女性の割合を少なくしている。この構造を「壊れたはしご」と表現しています。
企業の経営陣に女性が少ない原因は「ガラスの天井」ではなく、「壊れたはしご」にあるとも言われています。
ガラスの天井を壊すために
ガラスの天井を解消するための方法として、下記のような施策が挙げられます。
- 結婚や出産などのライフイベントを見据えて、キャリアの早期の段階からさまざまな経験を積ませる。
- 「労働時間」ではなく「生産性」に評価の対象をシフトしていく。
- 場所を問わず働くことのできるリモートワークを推進し、育児中でも仕事をしやすい環境を整える。
他にもガラスの天井を壊すための施策はあります。日本のみならず、世界的な課題である『ガラスの天井』。その原因と対策について、自分が所属する環境を省みながら、考えてみてはいかがでしょうか。