『データドリブン』とは、KKDと呼ばれる“勘・経験・度胸”だけに頼ることなく、データの分析結果をもとに意思決定や課題解決などを行う業務プロセスのことです。ここでは、『データドリブン』と『データドリブンマーケティング』の基本的な説明から「データドリブンがなぜ必要なのか」「どうやったらデータドリブンになるのか」について明日から活用できるように解説します。
データドリブンとは
『データドリブン』は、『データ(data)』と『ドリブン(driven)』をかけ合わせた言葉です。『ドリブン(driven)』とは、「○○を起点にした」「○○をもとにした」物事や人を指します。つまり、『データドリブン』とは、顧客のデータなどの客観的なデータを分析し、その結果をもとに施策立案や意思決定などが行われる業務プロセスのことです。一方、データドリブンの逆は、KKD(経験・勘・度胸)だけを頼りに意思決定が行われます。
データに基づいて、マーケティングを行うことを『データドリブンマーケティング』といいます。データドリブンマーケティングとは、相手の戦闘能力を分析するドラゴンボールのスカウターのように、相手(顧客・市場動向等)を分析した上で、何が必要かを考え戦略を練ります。つまり、収集したデータを“視える化”し、分析した上で意思決定がされる状態がデータドリブンです。データを基に意思決定をすることで、KKD(勘・経験・度胸)だけに頼ることの無いデータドリブンマーケティングを行うことが出来ます。
なぜデータドリブンが必要か?
では、なぜ近年データドリブンが必要と言われているのでしょうか?
こうした背景には、「顧客行動の複雑化・多様化」、「現場業務の複雑化」、「デジタルマーケティング技術の発展」の大きく分けて3つがあると考えられています。
顧客行動の複雑化・多様化
Amazonやメルカリなど、オンライン上でも購買行動をすることが当たり前になりました。こうした顧客の行動が複雑化・多様化した時代においては、どのような情報が購買行動に結びつくのかが分かりにくいです。そのため、顧客が重要視しているものを客観的に分析・活用し、売上の最大化を目指すデータドリブンマーケティングの重要度が上がっています。
現場業務の複雑化
顧客行動の複雑化・多様化により、企業も顧客のニーズに応えるため、製品やサービスが複雑化しています。こうした複雑化は従業員の負荷、コストの増大を招いてしまいます。そのため、効率よく経営するために、データドリブンマーケティングが重要になっています。
デジタルマーケティング技術の発展
デジタルマーケティングとは、検索エンジンやWEBサイト、SNS、メールなどのあらゆるデジタルテクノロジーを活用したマーケティングを指します。近年、デジタルテクノロジーの発展に伴い、デジタルマーケティングも複雑かつ高度に進化しています。そのため、企業もビッグデータとも呼ばれる膨大なデータを収集・分析することが可能になりました。
こうしたデジタルマーケティング技術の発展も、データドリブンマーケティングに取り組む企業が増えている要因になっています。
データドリブンってどうするの?
ここまでは、データドリブンとは何かやその背景についてまとめてきました。
ここでは、データドリブンは具体的にどうすればよいのかについて説明していきます。
データドリブンを行うためには、次の4つのアクションを順に行います。
1.データを収集する
まずは、自社内のあらゆるデータをクラウド上のデータサーバーなどに蓄積します。こうしたデータは、Iot(Internet of Things)や外部サービスなど、目的に応じてデータを収集・蓄積するツール・システムを導入する必要があります。
2.データの視覚化
データを集積した後は、そのデータが何を示しているのかを明らかにする必要があります。そのために、収集した膨大なデータをもとにグラフや図を作成し、データの“視覚化”をします。
3.データの分析と意思決定
ここでは、いよいよデータをもとにした意思決定を行います。そのために、視覚化されたデータの分析を行います。相関関係や因果関係などの様々な分析を行い、選択肢を抽出します。さらに、抽出された選択肢から意思決定を行い、具体的なアクションプランを作成します。
4.アクションプランを実行する
最後は、作成した具体的なアクションプランを実行します。その際には、ただアクションプランを実行するだけで無く、PDCAを回しながら、データドリブンマーケティングを深めていくことが大切です。
データドリブンマーケティングを支援するツール
これまでのプロセスにあったように、データドリブンを行うためには、大量のデータを収集し、分析をする必要があります。そのためには、多大なコストが掛かります。そこで、次に紹介するデータドリブン支援ツールをデータドリブンマーケティングに活用していくことが重要です。
MA(マーケティングオートメーション)
MAとは、収益向上を目的としたマーケティングの作業を自動で行うツールです。例えば、顧客の名前やメールアドレスをMAに取り込むと、メールを自動的に送信してくれます。このツールにより、マーケティング業務の一部を自動化することが出来ます。主なMAに「Probance」などがあります。
WEB解析ツール
WEB解析ツールは、自社のWEBサイト上でのユーザーの行動やWEBサイト上の位置を知ることが出来ます。具体的には、WEBページに埋め込まれたタグをもとに、PV(ページビュー)やUU(ユニークユーザー数)、セッション数、インプレッション数(表示回数)、CTR(クリックスルー率)、Bounce Rate(直帰率)などを集計します。これにより、サイト訪問者の特性や行動を分析したり、アクションプラン実施後の効果検証をしたりすることが出来ます。主な支援ツールには、「Google Analytics」や「Adobe Analytics」などが挙げられます。
BI(ビジネスインテリジェンス)
BIは、「データの視覚化」に役立つツールです。蓄積されたビッグデータを分析して、経営管理や売上のシュミレーションのを行うことが出来ます。「データの視覚化」はデータドリブンの中でも、重要な役割を担っているため、BIツールの活用はデータドリブンを行う上で大切です。主な支援ツールには、「Google Analytics」や「Adobe Analytics」などが挙げられます。
まとめ
今回は、高度に情報化された社会において必須の「データドリブン」について解説をしました。データドリブンマーケティングでは、データを収集・分析し、それをもとに意思決定が行われます。そして、データドリブンマーケティングを行うことで、KKD(勘・経験・度胸)と呼ばれる不確かなものに頼ること無く、より戦略的にビジネスを進めることが出来ます。
しかし、データドリブンを行う上で、データを流出させないようにするなど、“安全性”の部分については十分に注意が必要です。また、どれだけ情報化が進んでも、人と人とのつながりが無くなることはありません。そのため、これまで以上に人と人のつながりは大切にしていくことが重要です。