近年では障がいの有無に関わらず、老若男女、誰でも楽しむことができるスポーツとして注目されている『ボッチャ』。 東京2020パラリンピックにおいてボッチャ個人(脳性まひ BC2)の杉村英孝選手が金メダルを獲得し、チーム(脳性まひ)においても銅メダルを獲得するなど盛り上がりを見せています。
また、最近では子どもから大人まで一緒に楽しむことのできるユニバーサルスポーツとしても注目を集めています。今回はそんなボッチャのルールをわかりやすく解説していきます。
ボッチャとは
ボッチャはヨーロッパで生まれ、1984 年からパラリンピックの正式競技として行われています。パラリンピックでは、男女の区別はなく障がいの程度でクラス分けをして順位を競います。 選手たちは、重度の脳性まひなど四肢に障がいがあります。見た目には激しい運動はありませんが、知的な戦略とそれを実行するための技術力、集中力がこの競技では求められます。
ボッチャのクラス分け
パラリンピックなどの国際大会では、以下の障がいの種類と程度によって分けられた4クラス内でそれぞれ順位を競います。
BC1
車いす操作不可で、四肢・体幹に重度の麻痺がある 脳原性疾患のみのクラス
BC2
上肢での車いす操作がある程度可能で 脳原性疾患のみのクラス
BC3
最も障がいの重いクラス。自己投球ができないため 競技アシスタントによるサポートにてランプを使用して投球する。
BC4
筋ジストロフィーなど、BC1・BC2と同等の 重度四肢機能障がいのある選手のクラス
ボッチャの基本ルール・ゲームの流れ
ボッチャは「どれだけボールを的に近づけることができるか」を競うシンプルなルールです。ボッチャのゲームに流れは次のようになります。
- コイントスで勝ったチームが先攻か後攻かを選択します。
- 先攻のチームが白色のジャックボールを投げます。
- 先攻のチームが続けて自分のカラーボールを投げます。
- 後攻のチームが自分のカラーボールを投げます。
- ジャックボールから遠いチームが、相手よりも近づくか、またはボールが無くなるまで投げます。
- 両チームが6球全て投げ終わったら審判が得点を判定します。
(1エンド終了) - 前のエンドで後攻だった側が先攻となり、②〜⑦を繰り返します。
- 個人戦とペア戦では4エンド、チーム戦では6エンド終わったら合計得点で勝敗が決まります。
- 合計得点が同じだった場合、タイブレークが行われます。
ボッチャの投げ方
ボッチャは、重度の脳性まひや四肢の障がいがある方でも楽しむことができるスポーツです。健常者も楽しむことができるこのスポーツですが、投げ方にも工夫があります。
投げ方
- アプローチ:自分の球をジャックボール(白い球)に近づけるため、ボールを優しく転がします。
- ヒット:敵チームのボールをジャックボール(白い球)から遠ざけるため、強いボールで敵チームのボールが飛んでいくように投げます。
- プッシュ:自分の色のボールに向かって投げて、ボールを押して自分のボールをジャックボール(白い球)に近づけること
テクニック
上級者による高等テクニックもあります。こうしたテクニックは見る人々を魅了します。
- ライジング:密集する球の上に乗せ、ジャックボールに近づける
- ジャンプ:ボールを弾ませて、ジャックボールに近づける
ランプ・アシスタント
- ランプ:最も障がいが重いクラスでは、自ら投球できない選手がランプ(勾配具)でボールを転がします。
- アシスタント:選手の指示を受け、ランプの向き、角度や長さを調節します。コートを振り返ることや、話すことは禁止されています。選手の手足となるので、表彰式では選手と同様にメダルが贈られます。
ボッチャの可能性
ボッチャは、「どれだけボールを的に近づけることができるか」を競うシンプルなルールであるので、単純なスポーツに見えますが、実は戦術や戦略が非常に重要なスポーツです。また、ユニバーサルスポーツとしても注目されており、障がい者と健常者、年齢に差があっても一緒に楽しむことができます。
「ダイバーシティ(多様性)」への理解、参加メンバー間でのコミュニケーションの増進などをスポーツとして楽しみながら行うこともできます。また、会議室などでも行うことができ、競技という面だけでなく、そうした活用もこれから進んでいきそうです。