アルケア株式会社入社後、アスリート社員としての社内活動、社外でも講演活動を行うなど、活動の場を増やし、社内外にパラ陸上競技や自分自身の認知、応援の輪を広げる古畑選手。そして、ロンドンパラリンピック出場時の「自国開催」の感動。様々な”想い”が、古畑選手が前へと進む力になっています。
「長くて格好良い」陸上競技用車いすとの出会い
ー まずはじめに、パラ陸上競技を始めたきっかけを教えてください。
古畑)小学校5年生の時に、車いすの子どもたちに車いすのスポーツを体験させてくれるイベントに参加しました。車いすバスケとテニスの他に、陸上競技がありました。そこで、三輪で長くてかっこいい、競技用車いす(レーサー)を体験しました。
実際乗ってみたら、普段乗ってる車いすとスピード感が違いました。風を切って走る気持ち良さだったり、個人的に性格的に団体競技よりは一人で突き詰めていくのが好きなので、陸上競技を選び、はじめました。
ー いつからご自分の陸上競技用の車いすをお持ちなのですか?
古畑)競技を始める上でとても幸運だったんですけど、毎年日産の追浜工場の施設で車いすのマラソン大会を開催されていて、そこで将来有望な選手としてレーサー(陸上競技用の車いす)をプレゼントしていただきました。陸上どんどんやっていきたい時に自分の車いすが来たので、モチベーションも上がりました。
ー 凄いタイミングですね!マイレーサーのこだわりはありますか?
古畑)色ですね。選手がそれぞれ色などを決めるのですが、塗装することによって重くなることがあって、何も塗らないって選手もいますが、僕は黒が好きで、黒の車体に塗装して乗ってます。今乗ってるのが3台目なんですけど、ずっと黒をベースの色としてやってます。
ー パラ陸上競技をしていて、一番気持ち良いと思う瞬間はどんな時ですか?
古畑)風を切って走ることです。タイムを気にしないといけないし、自己ベスト更新を目指していかないといけないんですけれど、ゴールした瞬間に「良い走りが出来たな」と思えるレースをしたいですし、そういう時に決まってタイムもついてくるっていうよりは、タイムを狙ってよりか感覚で走ってる感じです。
ー 調子のいい時はどんな感覚なのですか?
古畑)周りがよく見えるというか、周りの応援の声がよく聞こえる感じがします。なんか調子が悪い時って、自分の中で内側で頑張ってしまって、自分に集中する感じになってしまうんですけど、無意識な所なんですけど、周りがよく見えます。
初めてのパラリンピック出場で強まる、自国開催への想い
ー 実際に出場してみてパラ陸上競技に対する思いって変わりましたか?
古畑)パラリンピックって特別なんだなと感じました。2012年のロンドンパラリンピックが開催されたイギリスはパラリンピックへの関心が高く、陸上競技も人気で、8万人収容の競技場が全ベースで売り切れになるくらい、とてもたくさんの観客の中で走りました。そこで、パラリンピックは特別で凄い大会なんだなと、本当に感じました。
一緒にレースで走った選手の中に、イギリスの開催国の選手がいたんですよ。その選手が紹介された時の歓声が本当に凄くて…!そこで、自国開催の凄さを知りました。
ー 2020年に東京パラリンピックが開催されると決まったタイミングでは、ご自身の出場は具体的に意識されましたか?
古畑)「出たい」という想いはありました。当時、自分の年齢を計算したんですよ。2020年って何歳になっているんだ、と。計算してみると、26歳だ一番良い時期だ、一番脂の乗ってる時期だと思いました。
ー今まさに、その当時の夢、目標が現実に近づいてきているのですね!
コロナ禍で強まった社内の一体感
ー アルケア株式会社に入社されたタイミングは?
古畑)2017年の10月です。その前は、私がアスリートと並行して、言うと驚かれるのですが、声優を目指し、22、23歳まで声優の養成所にいました。そこから声優になるのは難しいのを感じて競技に打ち込むのを考えた時に一年くらい探し、そこでご縁があって入社しました。
ー 競技を続けながら、ご自身で就職先を探してた時に大切にしてたポイントはありますか?
古畑)自分の興味がある分野がいいなというのはありました。医療は僕が生まれた時から助けてくれるものだったので、そこにご縁を感じて、最終的にアルケア株式会社に入社しました。全く関係ない分野に入るのは、考えていなかったです。
ー 大会も出場回数を増やしたり働く時間も増えたりして、当初の想いから変わったもの、変わらないものはありますか?
古畑)変わらないものは、1番最初に入社した時に自分の頑張り、活動が社員の皆さんにモチベーションになるように、所属アスリートとして頑張っていこうという想いは、そこは変わっていません。
今年で4年目になり、社員の皆さんとお話する機会が増え、より直に応援を感じられるようになりました。入社当時に比べて、応援してくれる人の顔が浮かぶようになって、社員の皆さんに元気をもらっています。そういう循環を感じられるようになったので、「一緒に頑張りたい」と考えるようになったのは変わったところです。
昨年の緊急事態宣言の時に、自宅でできるストレッチの動画を社内SNSにアップしました。その時に普段お話をしたことがなかった人から、たくさんのコメントをいただきました。実際に会えないとか、大会もなくて、つながりも薄くなってしまうかもしれない…とも思っていましたが、オンライン上での繋がり、一体感を感じました。
ー 最後に一言、お願いいたします。
古畑)まだまだパラスポーツが日本だと浸透してないと思うので、講演活動を通じて広める活動をしていきたいです。また、社内でも講演の機会をいただいて、応援してくださる方が増えてきていると感じているので、全ての社員の皆さんに応援してもらえるくらいになりたいと思っています。