SC(Sports Community)活動と称し、社会貢献活動を行っている北海道日本ハムファイターズ。「Fighters Girls Series 2021-胸きゅんFestival-」チャリティオークションの収益を活用し、「女性アスリート向けのセミナー」を開催しました。
ファイターズとして「初の試み」となった本企画が行われた背景とは。今回はセミナーの企画を担当した北海道日本ハムファイターズの岡田陽香理さん(以下、岡田)と岩佐亜由美さん(以下、岩佐)に、セミナーを開催するまでの経緯と企画に込めた想い、そして今後の展望について伺いました。
9/25(日)開催📢😮
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— 北海道日本ハムファイターズ公式 (@FightersPR) September 9, 2022
きっかけは「Fighters Girls Series 2021」
ーーまず始めに、お二人の普段担当されている業務について教えてください。
岡田)普段は、フード&ビバレッジグループという部署で、エスコンフィールド北海道の飲食全般を担当しています。ファイターズには担当部署以外に、社内の各部署から人を集めて活動しているSC(Sports Community)委員会が設置されていて、私は2021年から参画しています。
岩佐)私は普段年間シートの営業に携わっており、SC委員会には2022年から参画しました。
ーーお二人は別の部署だったのですね。今回のセミナーを企画することになったきっかけを教えてください。
岡田)今回、この「女性アスリート向けセミナー」企画は、2021年開催した「ガールズシリーズ」がきっかけとなりました。
岩佐)私と岡田は、私がSC委員会に加わる前から、女性のためのイベントを企画したいと話していました。
ーー以前から岡田さんと岩佐さんは交流があったのですか?
岩佐)年齢が近いということもあって、以前から交流がありました。
ーー部署が違っても、気心の知れたメンバーと一緒に企画できるのはいいですね。
岡田)普段部署ごとの仕事が多く、他の部署の方々と関わることが多くはないのですが、SC活動を通して他の部署のことを知ることができます。他の部署で誰に相談すれば良いのかも分かるのも、SC活動の良さのひとつです。
選手の等身大パネルの売上を元に新たなSC活動にチャレンジ
ーー「ガールズシリーズ」から、どのように「女性アスリート向けセミナー」の開催に進んでいったのですか?
岡田)昨年の「ガールズシリーズ」では、選手が普段とらないポーズや最近流行しているポーズの等身大パネルを作製して、ファンの皆さんが一緒に写真を撮れるようにしました。
これまで、イベントで使用した等身大パネルはそのまま廃棄されていました。しかし、自分自身としても力を入れて作成した分、思い入れもあったので、他球団やJリーグの事例も参考に、廃棄せずにその価値を見い出そうと考えました。
元々、ファイターズでは選手の私物や記念品をオークションに出品し、チャリティー活動を行っていました。そこでこの等身大パネルも、女性の社会進出を支援することを前提に出品してみたところ、想定以上の落札金額となり、今回のイベントにつながりました。
ーー昨年から関わっていらっしゃったんですね。
岡田)そうですね。以前から、女性の社会進出に関するイベントを企画したいと思っていました。野球に限らず多くの女子アスリートが今後活躍する上で役に立つセミナーを開催できたらと考えていたので、実現することができました。
球団関係者もセミナーに足を運び、学ぶ
ーーなぜ今回のセミナーで「女性アスリート特有の悩み」をテーマにしようと思ったのですか?
岡田)女子アスリートの皆さんが自分の体との向き合い方を知って競技に活かしてほしいという想いがありました。
私自身がスポーツに取り組んでいた学生時代、生理との向き合い方に悩み、相談する相手もいませんでした。その経験から、アスリートや有識者の方を招いたセミナーを開催することで、アスリートの皆さんが学びを得る機会を作りたいと思いました。
中学生から大学生までのアスリートを対象に募集を行いましたが、本来の趣旨に合わせて、指導者や保護者の方々も一緒に参加していただきました。
ーー岡田さんの原体験から生まれたテーマなのですね。セミナーを告知した時の反応はいかがでしたか?
岡田)情報は一般公開にしましたが、なかなか情報を必要としてる方に届けるのが難しいと感じることもありました。ホームページでの告知だけではなく、「女性アスリートの身体の向き合い方」という趣旨に興味のありそうな学校や、アスリートが通う整骨院などに訪問して、案内することもありました。
ーーイベントの参加者を募る活動も、集客はもちろん、今後につながる「コミュニティづくり」にも繋がりますね。
岡田)そうですね。今回のイベントをきっかけに、さまざまな団体様・関係者様との繋がりができて、新たなSC活動や他の事業にも活きると思います。
ーー今回のセミナーを開催するにあたって、社内での反応はいかがでしたか?
岩佐)もちろん、ファイターズには男性ファンだけでなく女性ファンもたくさんいらっしゃいますが、女性アスリート向けのイベントとなると、関心を持ち、参加したいと思っていただけるだろうかという疑問は社内でもあがりました。ですが、前例がなく新しい取り組みだったからこそ、興味がありそうな方や団体をご紹介いただくなど、協力してくれる職員も多かったです。
岡田)企画を提案した際には、社内でも年齢や性別によって反応が違ったので不安もあったのですが、いざ当日になると年齢性別を問わず多くの職員の皆さんが聞き
イベント後には「男性が女性の身体のことを理解する大切さ」についての話題もあがりました。今後も、男性・女性関係なく過ごしやすい会社の雰囲気をつくっていきたいと思っています。
ーー参加者の方に対してだけではなく、ファイターズの中で新しい取り組みやその価値を見いだせると、また次の取り組みにもチャレンジしやすくなりますよね。
女性アスリート本人だけでなく、指導者・保護者にも届くセミナーに
ーー今回のイベントに関して、印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
岩佐)「これまでどこまで女性アスリートの身体に関して踏み込めば良いのかわからない部分があったが、今回のセミナーを通じて女性アスリートとの向き合い方を考えることができた」という男性指導者の感想がありました。
今回は女性アスリートを主な対象としましたが、男性指導者の方にも響いた内容になったようで、とても達成感がありました。
岡田)今回は実現できませんでしたが、ファイターズ内のアカデミーでコーチとして指導をしている元選手にも参加してもらいたいとも考えていました。
今回のセミナーのような内容を男性指導者に理解してもらうことができたら、より選手たちとコミュニケーションが取りやすくなるという意見もあったので、今後は男性を含めた指導者向けにもセミナーも開催できたらと思います。
ファイターズがSC活動に取り組む意義
ーー最後に、今後の展望を教えてください。
岩佐)「北海道日本ハムファイターズ」という野球のチームが、女性に焦点を当てた取り組みを行うことに意義があると思っています。ファイターズは、ただ野球やエンターテイメントを行っているのではなく、私たちを起点として、北海道に「スポーツコミュニティー」を作り上げていくという大きなテーマを持っている球団だということをより多くの方に知っていただきたいです。
今回は「女性の身体と向き合う」がテーマでしたが、野球だけに留まらず他のスポーツの女性も応援していきたいと思います。
岡田)LGBTQやジェンダーに関する課題に、日本の球団が踏み込んでいるイメージが現在はあまりないのですが、発信力のあるスポーツチームがこうした取り組みを行うことで、より多くの人の生活がスポーツと近づくのではないかと思います。
今後新球場であるエスコンフィールド北海道でイベントを開催する際は、「ガールズシリーズ」だけでなく、これまでのものを発展させてよりオープンなイベントを目指していきたいです。もっとフラットにいろいろな方が社会に関わることのできるきっかけになるイベントを企画していきたいです。
ーーありがとうございました!