スポーツ選手のセカンドキャリアに迫る

セカンドキャリアは“情熱の横展開”を大切に|SNS総フォロワー30万人 小泉勇人の挑戦が照らすアスリートの可能性とは? 第二の挑戦 スポーツ選手のセカンドキャリアに迫る vol.5

小泉勇人

「アスリートたちのロールモデルになりたい」そう語る元Jリーガーの小泉勇人さん(以下、小泉)。2023年2月の引退後、料理研究・アスリートの栄養サポート・会社経営など多彩な分野で活躍し、SNSの総フォロワー数は30万人を超えています。

異色のキャリアで「第二の人生」を切り拓いてきた彼の言葉から、アスリートのセカンドキャリアの可能性を探ります。

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「腸への意識を変え、行動変容を起こす」元サッカー日本代表による仕掛けとは?|第二の挑戦 スポーツ選手のセカンドキャリアに迫る vol.4~鈴木啓太~サッカー元日本代表、鈴木啓太さん(以下、鈴木)。スポーツ選手のセカンドキャリアと言えば、この人を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか...

「感覚を麻痺させながら」戦い続けた現役時代

ーー現役時代を振り返ると、どのようなサッカー人生でしたか?

小泉)皆さんが思い浮かべるような華々しいキャリアではなかったですね。高校卒業後、鹿島アントラーズに加入しましたが、試合への出場機会は限られていました。試合に出ていない中でも応援してくださる方々の気持ちは届いていましたが、その期待に応えられない自分の不甲斐なさを感じていました。後輩やあとから入ってきた選手たちが活躍してどんどんスターへと駆け上がっていく姿を見て、結果を出せない自分にもどかしさを感じていましたし、どれだけ頑張っているつもりでも評価を得られない苦しさをずっと抱えながらのプロサッカー選手人生だったと感じています。

ーーゴールキーパーというポジションの特殊性もありますが、なかなか試合に出られない苦しさはありますよね。その状況でどのようにして自身を奮い立たせていたのでしょうか?

小泉)感覚を麻痺させてやるしかなかったですね。正直、もう嫌だと腐りたくなる気持ちもありましたが、試合に出ていないキーパーはそうなってしまった瞬間にチームにとって必要な存在ではなくなります。だからこそ、生き残るためには自分が貪欲に前向きに取り組んでチームにとってプラスの姿を見せ続け、どんな状況だったとしてもネガティブな姿だけは見せないようにしていましたね。

小泉勇人

コロナ禍での自粛期間が転機に

ーー コロナ禍で自粛期間が生まれたことが小泉さんにとってひとつの転機になったと伺っています。社会的に状況が変わっていったときにはどのように感じられていましたか?

小泉)サッカー選手としての職がなくなるかもしれないという先行きの見えない不安はもちろんありましたが、それでも目の前の状況でできることに目を向けなければいけないと思っていました。今までとは違うトレーニングを試したり時間をとってサッカーの動画を見てみたりと、新しいことを始めようと思うきっかけとなる期間でしたね。その中で自炊を始めて栄養学に興味を持ったことが今につながっています。だから、ポジティブなことでもネガティブなことでも、何かが起きたときにそれに対してどう取り組むかが大切なんだと今振り返って感じますね。

ーー 自炊や栄養学の勉強を始めたことで、どのような変化を実感していきましたか?

小泉)それまでの数年間、どれだけやっても結果が出ず、自分に自信がない状態が続いていました。でも、そんな自分でも料理ができる、栄養学の勉強をして知識を身につけられる、食事からコンディションを整えて、実際に体調が良くなるという、プレーとは別のところでですが、成功体験を積み重ねられました。このことから漠然とした自信が生まれ、自分で自分の人生を切り開いていけるという感覚を持つことができました。

小泉勇人

ーーSNSでの発信も大きな反響を生みました。

小泉)SNSで多くの方に反応いただき、コメントいただけたことも自分にとってポジティブに働いたと思います。「支えてくれている人たちにプレーで頑張っている姿を見せていく」ことがスポーツ選手としての意義だと思うのですが、それができていないことに苦しさを感じていたので。僕が自炊でどうコンディションを整えているかの発信に対して、「勉強になる」「子どもの食事の参考になる」といったフィードバックをいただけたことが嬉しかったですし、サッカー選手としての付加価値を感じられるようになりました。

はじめはサッカーファンの方や以前からのフォロワーさんが中心でしたが、発信を続けるうちにサッカーに興味がない人にも届くようになり、新しくファンになってくれる人も出てきました。僕の発信をきっかけに新規層の方にサッカーの興味づけができ、僕自身がサッカー界にもしっかりと価値を提供できているのではないかと感じられるようになりました。

京谷和幸
Jリーガーから車いすバスケ銀メダル 京谷和幸を変えた出会いと、これからの子どもたちへの“きっかけづくり”|第二の挑戦 スポーツ選手のセカンドキャリアに迫る vol.3輝やかしい世界で活躍するプロスポーツ選手。想像を絶する努力と数々の挫折を乗り越えて辿り着いたアスリートも、いつの日か最前線の舞台から退き、次の挑戦をするタイミングが訪れます。 Sports for Socialではそんなプロスポーツ選手たちがどのような”第二の挑戦”をしているのか、スポーツ選手として得た経験や力をどのように活かしているのか、その方々の人生に迫ります。今回は、京谷和幸さん(以下、京谷)にスポットライトを当てます。北海道出身で、当時日本サッカー最高峰リーグである日本リーグの古河電工に所属。その後1993年にJリーグが誕生し、晴れてJリーガーとなった京谷さんですが、事故により車いすでの生活を余儀なくされます。車いすバスケと出会い、日本代表選手として4度のオリンピック出場、そしてヘッドコーチとして東京パラリンピック銀メダルという輝かしい“2つ目の”キャリアを歩みました。そんな京谷さんは、株式会社INSPLICTを立ち上げ、さらなる新たな挑戦へと踏み出しています。その壮絶な人生と、未来への期待に迫ります。...

迷った末に決断した引退

ーー小泉さんがビジネスにも踏み出していこうと思うきっかけは何だったのでしょうか?

小泉)2022シーズンが終了後、1年間発信してきた集大成としてせっかくだからとイベントを企画しました。そのときに、「こんなに多くの人に応援してもらえているんだ」と実感し、サッカー選手ではない形で食べていけるかもしれないという思いにもさせてもらいました。引退に関してもずっと考えて悩んでいましたが、「サッカー選手の肩書きがなくても応援してもらえるのか?」という不安は僕自身も抱えていましたし、まわりからも言われていました。

ーー料理の発信に関しても応援してくれる人の存在を実感したからこそ、次のキャリアに対する期待や不安が生まれたのですね。

小泉)2022シーズン後は、イベントだけでなくいろいろな人のと話を聞くことで、引退後のキャリアの道筋も少しずつ見えてきました。ただ、サッカー選手としてのオファーをいただいているチームもありました。料理の発信もサッカーも並行して続けていくことできたのですが、サッカーが好きだったからこそ中途半端にプレーすることは考えられず、正直2022年は1年間料理の発信もやり続けてきてのキツさも感じていたので、どちらかに振り切ってやるしかないと思い、結果的に引退を決めて料理の道を選んだ形になります。

小泉勇人

引退して「180度目線が変わった」

ーー引退後のビジネスでのキャリアは、どのように形成されてきたのでしょうか?

小泉)現役時代に始めたSNSでの発信で収益化できるようになり、まずはエプロンの販売やオンラインサロン、料理教育などで、生活できるくらいの収入を得られるようになりました。さまざまな企業のマーケティングにも携わらせていただくようになり現在では10社以上の企業で顧問や役員などのお仕事をいただいています。また、ヨーロッパでプレーしているサッカー選手や国内の野球選手の栄養サポートもしています。

6歳からずっとサッカーだけをやってきた僕にとって生まれ変わったような人生で、180度違う目線になっていますね。

ーーサッカーのときの目線と、ビジネスのときの目線の違いについて教えてください。

小泉)サッカーは“狭く・深く”突き詰めるものだと思うのですが、ビジネスは“視野を広く・視座を高く”持つことが重要だと感じます。僕はビジネスの方がやりやすいですね。時代の流れに乗ることも成功の鍵で、AIのように市場が伸びる分野にいるだけで、同じ努力量でも結果が変わる。そこもビジネスのおもしろさだと感じています。

また、サッカーではチームの意向・監督の戦術などさまざまな思惑が絡みますが、ビジネスでは自分の努力値が結果に直結しやすいと感じます。フォロワー数や売上といった目に見える数値から逆算してどうすれば良いかを考えやすい点も、サッカーとの違いですね。

ーーサッカーとビジネスで通ずる部分、選手として培った経験が活きている部分はありますか?

小泉)“目の前の嫌なことから逃げない姿勢”です。選手生活では常に大きな目標を持ちながら、やりたくないようなトレーニングにも向き合い続けてきたので、SNSや資格取得の勉強など大変なことがあっても、自分で決めたものを突き詰める習慣や熱量を転用することができました。
スポーツ選手ほど物事を突き詰められる人は世の中にそれほど多くないと思うんです。そして、それは信頼にもつながります。引退を考えているアスリートから相談を受けることも多いのですが、次に考えていることが「情熱の横展開ができるものかどうか」ということはとても大事ではないかと思っています。

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セカンドキャリアを充実させることが、スポーツに集中できる「世界観」を生み出す

ーー今後の目標について教えてください。

小泉)まず、これから活躍していく子どもたちの教育サポートとして、家庭によって異なる食環境の底上げや、保護者の食に関するリテラシー向上などに取り組んでいきたいです。また、幼少期からサッカーだけをやってきてこれまで経験してこなかったことを、これからたくさん経験していきたいですね。

そして何より強く思っているのが、引退後のキャリアを形成していくことでアスリートたちのロールモデルになりたいということです。僕のようにプロになっても活躍しきれなかった選手は多く、むしろそれが大多数なので、僕がセカンドキャリアで成功する姿を見せることで彼らの選択肢の幅を広げていけたらと思っています。

引退後にさまざまな場所で活躍して社会に価値を提供できるアスリートが増えていくことは、子どもたちがスポーツに集中できる環境を作ることにもつながると思います。プロになったとしても活躍できるかはわからない、その後の人生も不安となれば、保護者の方は「スポーツに熱中させていいのか?」と不安になってしまいます。もっと安心して子どものスポーツを応援できるようになればスポーツの市場も拡大し、マイナーな競技などにもお金が集まるようになり、スポーツという文化が広がっていくと思います。だからこそ僕は、現役中だけでなく引退後までを一貫したアスリート支援が大切だと思いますし、この世界観をつくるために動いていくことが僕がこれまで活きてきた証にもなるのではないかと感じています。

ーーありがとうございました!

小泉さんがおすすめする“ラカントレシピ”はこちら!

@zumi_meshi ↓レシピはこちら↓ レシピ: 鶏胸肉 300g(皮取る) ◯醤油 大さじ2 ◯みりん 大さじ2 ◯ラカント 小さじ2 ◯おろしニンニク 小さじ1 ◯黒胡椒 適量 ◯片栗粉 大さじ2 ◻︎ゆで卵 2個 ◻︎マヨネーズ 大さじ2 ◻︎明太子 大さじ2 ◻︎レモン汁 小さじ1 ◻︎黒胡椒適量 オリーブオイル 大さじ1 作り方 1.鶏胸肉の皮を取り、フォークで刺して一口大にカットし、袋に◯と一緒によく揉み込み30分程置いておく 2.◻︎を混ぜタルタルソースを作る 3.オリーブオイルを敷いたフライパンに◯と漬け込んだ鶏胸肉を入れて、片面中火で1分、裏返し蓋をして3分蒸し焼きにして完成 みんな作ってみてね! #ラカント #アルロース #ラカントアルロースブレンド #PR #ロカボ #糖質制限 #鶏胸肉 #簡単レシピ #低カロリー #脂肪燃焼 #トレーニング ♬ オトノケ – Otonoke – Creepy Nuts

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