「どうすれば、会社全体で“応援する空気”が生まれるのか」
株式会社ユタカ技研は、Vリーグに所属するバレーボールチーム・ブレス浜松の冠試合
を活用し、社員や地域との一体感づくりに取り組んでいます。観戦イベントにとどまらず、従業員同士の共通の話題づくりや、児童養護施設との交流といった地域との関わりのきっかけとして、スポーツチームの応援を活用してきました。
その取り組みの中心にいるのが、人事・総務部の堀内幹也さん(以下、堀内)です。
「“応援すること”が、つながりのきっかけになるように」。そんな想いから、応援を通じて共感やつながりを生み出す工夫を重ねてきました。
スポーツの力で社内と地域の距離を縮め、企業として成長していく——そんな共創のかたちを追いました。
地元・浜松への想いと、企業の変化を見つめて
ーーユタカ技研に入社した理由を教えてください。
堀内)地元に近い浜松で就職活動をしており、最初に内定をいただいたユタカ技研に縁を感じ入社を決めました。
私の入社当時は“コーポレートガバナンス”が企業にとって重要になり始めた時期で、現場実習を4ヶ月終えたあとは会社が新しく立ち上げたCG推進ブロックという法務関係の部署に配属されました。それまでの知識や経験がない分野だったので難しいと感じる場面もありましたが、「どの部署に行っても1から覚えるのは変わらない」と考え、何事にも前向きに取り組んでいました。その後、同じ部門内で異動し、今の総務系の仕事を担当するようになりました。
ーーさまざまな時代の影響や変化を経て、総務部での仕事にどんな変化を感じてこられましたか。
堀内)一番仕事で変わったなと感じるのは、働き方やスポーツとの関わり方でしょうか。以前は、ユタカ技研で働く従業員の一体感を育て、地域への貢献も実現しながら企業PRもできるスポーツとして、実業団女子の駅伝競走部を運営していました。
休日に行われることの多いスポーツイベントに対して、以前は自由な雰囲気やボランティア的な側面もありましたが、働き方の部分も含めてきっちりしてきていると感じています。
“パートナー”としてともに成長する応援の力
ーーブレス浜松との出会いは何がきっかけだったのでしょうか。
堀内)駅伝競走部が解散となってしまったのち、それに変わって「従業員の一体感を育てられるスポーツはないだろうか」と探していたときに、ブレス浜松さんからお話をいただいたのがきっかけです。
ユタカ技研と同じ浜松を本拠地としているチームであり、選手も浜松の企業で働きながら活動しているという点で共感できる部分も多く、パートナーとしてご一緒することになりました。
ーー実際にブレス浜松の神田さくら選手が従業員として働かれていますね。
堀内)神田さんはアスリートらしく責任感がありますが、会社では恥ずかしがり屋な一面があるので、仕事の部分で彼女らしさが出るようにうまく背中を押してあげるのが私の仕事かなと思っています。ブレス浜松を社内にもっと浸透させていくために、神田さんと一緒に取り組んでいければと思っています。
以前の“ユタカ技研の駅伝競走部”と異なり、ブレス浜松とは“パートナー”として共存している関係ですので、「一緒に成長していけるようにしたい」ということは強く意識するようになりましたね。
ブレス浜松で活躍しながら、株式会社ユタカ技研でも社員として働く神田さくらさんーー300人ものメンバーで、試合の応援にも行かれていると伺いました。どのように応援を社内に広めているのでしょうか。
堀内)神田さんからの社内イントラ、社内報での発信を継続して行うことで、社員がブレス浜松に触れられる機会を増やすようにしています。また、今回の冠試合の開催前には、昼休みにブレス浜松の選手全員にお越しいただき壮行会を実施しました。
社員向けに試合限定の応援グッズも用意していて、ベースボールシャツに関しては「今年はどんなデザインですか?」と聞かれるほど大好評です。試合当日、同じエリアで同じ応援シャツを着て、同じバルーンを持って応援することで参加した社員の一体感を作ることができますし、一緒に働いている神田さんの“真剣な”一面に触れていただきながら、社員同士の部署を超えた交流の機会を作ることができています。
毎年デザインされるベースボールシャツやグッズは従業員に大好評です。背番号2番と3番を応援!スポーツ観戦が生んだ絆
ーー今年のブレス浜松の冠試合では、児童養護施設の子どもたちを招待したと伺いました。
堀内)ユタカ技研の社員賞与から募金していただいているお金で、毎年児童養護施設の子どもたちにおもちゃをプレゼントしています。今年施設にお伺いした際に、「バレーボールがほしい」と言ってくれた子がいたことが印象に残っており、「実際の試合を見たらもっと喜ぶのではないか?」という考えからご招待しました。
ーー子どもたちと一緒にスポーツ観戦をしてみて、いかがでしたか。
堀内)お金や物を寄付するだけではなく、“体験を提供する”というとても有意義な時間をブレス浜松とともに作れたのではないかと感じています。
事前に神田さんと、ブレス浜松のキャプテンの坂口選手とともに施設を訪問していたこともあり、「背番号の2番と3番を応援しよう」と子どもたちと一緒に応援でも盛り上がることができたのではないかと思います。
ーー社会貢献活動がスポーツとつながる素晴らしい機会ですね。ユタカ技研が主催する野球大会も企画されているとお聞きしました。
堀内)ユタカ技研のグラウンドでは、普段少年野球チームが練習で使用することもあります。そうしたチームや近隣のチームを集めて、12月20日にユタカ技研主催の野球大会を開催することにしました。
「全員が参加する」ということをコンセプトに、低学年の試合では保護者の方にも一緒に出ていただき、試合と試合の間には大人向けのノックを行おうと考えています。
12月20日にユタカ技研が主催する野球大会を開催しました。
子どもたちには少し早めのクリスマスプレゼントも
寒い中でしたが、大人も子どもも楽しい時間を過ごしました。「ブレス浜松がきっかけで入社した」未来の仲間を目指して
ーー今後、ブレス浜松やスポーツとどのような関わりを築いていきたいでしょうか。
堀内)今後は、ユタカ技研として自社主催のイベントを企画し、ブレス浜松や地域の子どもたちに参加いただける機会を増やしていきたいと考えています。スポーツを始めるきっかけになったり、体を動かす楽しさを感じてもらえる場を提供できれば嬉しいですね。
将来、子どもたちが『ユタカ技研を知ったのはブレス浜松の応援や、野球大会、夏祭りだった』と語ってくれるような、地域に根ざした企業を目指しています。そして、そんな思い出を持つ人たちが、いつか仲間として一緒に働ける日がくることを楽しみにしています。
ーーありがとうございました!
