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挑戦する社員を応援し、地域とともに歩む|茨城県古河市の上場企業・三桜工業が描く「スポーツで繋がるまちづくり」

三桜工業

Jリーグ・鹿島アントラーズとのクラブパートナー契約を機に、三桜工業株式会社では「スポーツを通じた地域づくり」が大きく動き出しました。

大会主催の再開をはじめ、地域の学校やクラブチームとの協働、社員の健康意識の変化など、製造業の枠を超えた取り組みが広がっています。その背景にあるのは、「挑戦する社員を応援する」という三桜工業ならではの文化。1人の「やってみたい」という声が、やがて会社を動かし、地域を動かしていきました。

本記事では、実際にその一歩を踏み出した、総務本部総務部本社管理Gr.大山靖代さん(以下、大山)、新事業開発本部地域事業推進部の石嶋龍弥さん(以下、石嶋)にお話を伺いました。

三桜工業三桜工業株式会社 石嶋龍弥さん(写真左)、大山靖代さん(同右)
VER Sports Base
「観たい場所で応援したい」|車いすサポーターの声から生まれた、世界基準の“当たり前”への挑戦「車いすでも、ゴール裏で応援したい」——その想いから始まった、観戦スタイルの“当たり前”を問い直す挑戦。 鹿島アントラーズのサポーターである宇野奈穗さん(以下、宇野)は、病をきっかけに車いすを利用するようになってから、「観戦席の選択肢がない」という現実に直面しました。 スタジアムで、自分の好きな場所からチームを応援する。そんなシンプルな喜びですら、すべての人に平等ではなかったのです。 「安全のため」「ルールだから」。そう繰り返される説明にも、宇野さんは立ち止まりませんでした。声をあげ、対話を重ねる中で、同じ想いを抱える仲間と出会い、クラブを動かし、やがて社会をも動かしていく。その小さな一歩が、変化のうねりとなって広がっていきます。 すべての人が「応援する場所を選べる」スタジアムを目指して。 宇野さんが立ち上げた一般社団法人VER Sports Baseが描くのは、世界基準の“観戦のインクルーシブ化”という未来です。...

地域貢献活動担当への転機は「やります」の一言から

ーーまずは、大山さんの入社のきっかけを教えてください。

大山)前職で貿易関係の仕事をしていたので、海外とやり取りのある会社を探していたところ、三桜工業の求人を見つけて応募しました。
入社当初は海外の現地法人に設備や部品を輸出する業務を担当していましたが、新事業開発室を経て現在は総務部で地域貢献活動の担当をしています。会社の売上や利益には短期的には直結しないかもしれないけど、人とのつながりや地域との関係を深める仕事の方に自然と気持ちが向くようになりましたね。

ーー地域との関わりの中で、スポーツとの接点も生まれたのですね。

大山)きっかけは『Sanoh Football Cup』という三桜工業が主催する大会でした。古河市内の小学生チームが集まるサッカー大会で、私の息子も小学生時代に参加したことがあり、私自身も子どもたちが本気でボールを追いかける姿に心を動かされました。
コロナ禍で一時中断していたのですが、社長から「もう一度開催してみないか」と声をかけられ、すぐに「やります」と手を挙げました。今度は自分が運営側として関わり、また子どもたちの一生懸命な姿を見ることができたのはすごく嬉しかったですね。

SanohCup

ーー実際に再開してみて、どんなことを感じましたか。

大山)古河市内の少年団チームは、普段は別々に活動していて、なかなか地元同士で試合をする機会が少なかったんです。でもこの『Sanoh Football Cup』では、子どもたちが「隣のチームには負けられない」という気持ちで本気でプレーしていて。保護者の皆さんも一緒になって応援しているあの空気感や、子どもたちの真剣な姿を見るたびに、スポーツが地域の中に存在する意味を改めて感じています。

「サッカー好きだろ?」製造現場から地域事業推進部への異動

ーー石嶋さんは新卒で三桜工業に入社されたと伺いました。入社のきっかけを教えてください。

石嶋)私は2009年に入社したのですが、古河市出身の私にとって、地元に根付いている規模の大きな企業である三桜工業は、「ここで働けたら安心だな」と思う存在でした。
最初は製造現場で、車の配管部品をつくる仕事でした。学生時代にそうした専門知識を学んでいなかったのですが、図面を読むことや工程を理解することに必死についていき、そこから10年以上現場で製造に関わり続けてきました。

ーー現在は鹿島アントラーズとのパートナーシップの窓口となる『アントラーズプロジェクト』に関わられています。もともとスポーツとはどのような関わりがあったのでしょうか。

石嶋)以前はバレーボールが好きで、鹿島アントラーズのファンでもありませんでした。ですが、あるとき上司から「チケットが余ってるからサッカーを観に行かないか」と誘われて、国立競技場に鹿島アントラーズの試合を観に行ったことで本当に人生が変わりました(笑)。
軽い気持ちで行った私はスタジアムの雰囲気や非日常感に圧倒され、ピッチの熱気や観客の一体感、負けているのに最後まで声を出し続けるサポーターたちの姿が目に焼き付きました。試合は負けてしまったのですが、「これが本気のスポーツなんだ」と感じ、それからはすっかり“鹿島アントラーズサポーター”になっています。

※アントラーズの試合観戦にいった石嶋さんの写真があれば!

ーーその体験が、今のお仕事や役職につながっていったのですね。

石嶋)鹿島アントラーズとのパートナー契約について社内で検討がスタートし、新しく『アントラーズプロジェクト』が立ち上がるときに、上司から「石嶋はサッカー好きだろ?」と声をかけられ、プロジェクトに関わるようになりました。最初は、1人のサポーターとしていい意見を出せればと思っていたのですが、気づけばプロジェクトの中心に立ち、部署も製造の現場から新事業開発室の地域事業推進部に変わり、正式に仕事として関わるようになりました。

ーー製造現場から、まったく違う分野への挑戦。戸惑いもあったのではと思います。

石嶋)ずっと製造現場で働いてきたので、最初は地域やスポーツの取り組みはまったく畑違いだと感じていました。しかし、実際に関わってみて少しずつおもしろさを感じるようになってきていますし、会社の中でも“スポーツや地域と関わる活動を大事にしていこう”という雰囲気が出てきています。鹿島アントラーズとの話がなければ、今のような仕事に携わることはなかったと思うと、本当に人生が変わったなと思います(笑)。

三桜工業

鹿島アントラーズとのパートナー契約はゴールではなく、地域と歩むスタートだった

ーー三桜工業が鹿島アントラーズとクラブパートナー契約を結んだのは、2025年2月。これまであまりスポーツと関わりのなかった企業としては、大きな一歩だったのではないでしょうか。

石嶋)正直、賛否両論ありました。前向きな声もあれば、茨城以外の拠点など、最初は受け止め方にも差があったと思います。ただ、本社の社員たちは「地元企業として鹿島アントラーズと関われるのは嬉しい」という反応がほとんどでした。地域の人たちからも、「三桜工業がアントラーズのスポンサーになったらしい」という声が聞こえてきて、社員としてより“地域の一員としての責任”を意識する人が増えてきたように感じます。

ーー2025シーズンは、『三桜工業 presents エスコートキッズ』の取り組みなど、さまざまな取り組みをされていますね。

大山)エスコートキッズの抽選企画を通して、地域の方から「ありがとう」という言葉をたくさんいただきました。子どもたちにとっても特別な体験だったようで、そういう声が社内にも伝わると、社員の中にも“誇らしい”という気持ちが少しずつ生まれてきています。
それまでは地域活動といえばボランティアというイメージが強かったのですが、鹿島アントラーズとの契約をきっかけに、「地域に貢献することが会社の価値になる」という考え方が広がりつつあるように感じています。

ーーそうした変化は、地域事業推進部の活動にも影響していますか。

石嶋)鹿島アントラーズとの契約をきっかけに、「スポーツを通して何ができるか」という議論が社内で増えました。今では、地元の社会人チームと協働したり、中学校の部活動移行に関する支援の話が出てきたりしています。

ーー契約がゴールではなく、地域とともに歩むスタートになったわけですね。

石嶋)まさにそうです。先日行った『SPORTS BUSINESS FRONTIER』というプログラムでは、学生たちが地域課題をスポーツで解決するアイデアを考えるというもので、三桜工業が主催し、鹿島アントラーズの方も協力してくれました。学生たちの真剣な姿勢に刺激を受けて、「地域のためにもっとできることがある」と社内の意識も変わっていったように思います。

大山)あのとき学生たちが見せてくれた情熱は、私たち大人が忘れかけていたものかもしれません。「地域に住む誰かのために何かをしたい」という純粋な想いをもう一度思い出させてもらいました。鹿島アントラーズとの契約をきっかけに、地域と会社、そして社員1人ひとりが再びつながり直していく。そんな実感を持てるようになったと思います。

三桜工業

応援から共創へ、地域と歩む「三桜工業の未来」

ーー鹿島アントラーズとの取り組みを経て、会社や社員の意識にはどのような変化がありましたか。

大山)健康に対する意識の変化がありました。鹿島アントラーズの選手たちが活躍する姿を見て、「自分たちももっと健康でいよう」と思う社員が増えたように感じます。スポーツを“応援する側”だった私たちが、少しずつスポーツを通じて何かをしようとする“関わる側”に変わってきているのかもしれません。

石嶋)アントラーズとの契約をきっかけに、地域との関わり方を考える機会が増えてきました。スポーツのもつ“人を動かす力”を活かして、三桜工業として地域の中でできることを広げていきたいです。部活動の支援や教育の分野など、次の世代を育てる取り組みにつなげていければと思っています。

三桜工業

ーーどのようなことを大切にしながら、この先に進んでいきたいとお考えでしょうか。

石嶋)企業として何ができるのかを考えたとき、それは製品や技術だけでなく、人と地域のつながりも同じくらい大切だと思うようになりました。この考え方は、鹿島アントラーズが大切にしている“ジーコスピリット”の“誠実・献身・尊重”にも通じます。人に対して誠実であり、地域に献身的に関わり、互いを尊重する。この共通した考え方が、今回の取り組みを支えていると思います。

ーー最後に、三桜工業で働くことを検討している方へ、お二人のこれまでの経験を踏まえてメッセージをお願いします。

大山)三桜工業はもともと製造業の会社ですが、今はそれだけではありません。スポーツや地域との関わりを通して、人や地域を支える活動が広がっています。どんな部署でも、自分の関わり方次第で地域に貢献できる。そういう実感を持てる会社です。

石嶋)何より挑戦できる環境があると思います。スポーツ、教育、地域づくり。どの分野でも、自分のアイデアを形にできる可能性がある。地域の未来に関わりたい人にとっては、きっとやりがいを感じられる職場だと思います。

ーーありがとうございました。

三桜工業株式会社のご紹介

三桜工業

三桜工業株式会社は、自動車部品の開発・設計・製造・販売をグローバルに展開する企業です。19か国82拠点で製造を行い、世界市場でもトップクラスのシェアを有しています。自動車部品に留まらず、新技術・新規事業にも積極的に挑戦することで、持続的な成長と価値創造を目指しています。

リクルートサイト:https://recruit.sanoh.com/ja/

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