ひとつのイベントが、まちの未来を少しずつ変えていく。スポーツをきっかけに、人と地域の関係を紡ぐ現場で日々奮闘している人たちがいます。
株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパンは、サイクリングやランニングなど、市民参加型スポーツイベントを通して地域と人をつなぐ企業です。観光では出会えない土地の魅力を、スポーツという体験を通じて発信していく──その活動の根底には、地域に寄り添い、関わる人たちの人生を豊かにしたいという想いがあります。
今回お話を伺ったのは、イベントやツーリズムの現場で活躍する西川さん、山本さん、磯貝さんの3名。キャリアも価値観も異なる3人が、なぜこの会社を選び、どのように地域と向き合っているのか。現場でのエピソードを交えながら、「スポーツを通じて社会を動かす」という言葉の本質に迫ります。『Connected by Sports』、今回はルーツ・スポーツ・ジャパンの仕事と人にフォーカスします。
インタビュー対象
- 西川晃伸さん(シニア・プロジェクト・マネージャー)
- 山本美空さん(プロジェクト・マネージャー)
- 磯貝海斗さん(イベント・ディレクター)
スポーツがつないだ原体験|ルーツ・スポーツ・ジャパンの仕事を選んだ理由とは?
ーー「日本にスポーツを根づかせる。」会社であるルーツ・スポーツ・ジャパン。3人がこの会社を選んだ理由を教えてください。
西川)私は2013年、社会人2年目のときに転職で入社しました。学生時代から「スポーツに関わる仕事がしたい」という想いはあり、“スポーツ×地域活性化”に大きな興味を持っていました。ただ、当時はスポーツビジネスやスポーツマネジメントなどの言葉が使われるようになり始めた頃でもあり、そうした企業が新卒採用をしていることはあまりありませんでした。
社会人2年目になり、たまたま見かけたルーツ・スポーツ・ジャパンがまさに自分のやりたいことをやっている会社だと知り、「チャレンジしたい!」と思って飛び込みました。
株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン 西川晃伸さん(写真右端)山本)私は2021年に新卒で入社しました。スポーツに関わる仕事がしたいと思ったのは、小学生の時に韓国に住んでいたことが大きなきっかけです。韓国語がわからない中でも、日々を楽しめたのは間違いなく韓国発祥の武道であるテコンドーのおかげです。スポーツが言葉を使わないコミュニケーションになり、繋がりを作り、人生を豊かにするものだということを本当に実感した原体験になっています。
「スポーツを通じて人と人とをつなぐ仕事がしたい」と思い、スポーツや観光を中心に就職活動をし、ゼミの先生からの事例紹介もあったルーツ・スポーツ・ジャパンは、“私の想いにぴったりな会社だ”と感じて応募しました。
株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン 山本美空さん磯貝)私は小学校の頃からスポーツを“する”ことが大好きでした。小学校からサッカーをしており、中学生で掛け持ちで入っていた陸上競技部の短距離で大学まで、まさにスポーツ漬けの学生時代でした。新卒では教員になり、「こんな楽しいスポーツというものをみんなに教えたい!」という気持ちで溢れていました。
年齢を重ねるうちに、教員としてスポーツの技術を教えることではなく、もっと違う形でスポーツを広めていくことも可能なのではないかと思うようになりました。私の地元の新潟県の街では、年々イベントへの参加者が減り、盛り上がりが少なくなっていると聞いていて、「スポーツを使ってほかの地域から人を呼んだらもっと楽しくなるのではないか?」と思っていたところに、ルーツ・スポーツ・ジャパンというまさにそれを全国で体現している会社を見つけたのがこの会社との関わりのきっかけです。
株式会社ルーツ・スポーツ・ジャパン 磯貝海斗さん「ただのイベント会社じゃない」現場で体感する仕事のリアル
ーールーツ・スポーツ・ジャパンはサイクリングやランニングなど、市民参加型スポーツイベントでは全国でも屈指の実績を誇っています。
西川)私が入社した当初はランニングのイベント運営も多かった印象もありましたが、今は自転車関連の比率のほうが非常に高くなっています。コロナ禍をきっかけにアプリ事業も本格的に取り組むようになり、事業の幅や私たちが一般の方と関わることのできる方法はかなり広がっていると感じています。
山本)イベントの中でも、ファンライド、ファンランなど“楽しく参加できる”ものが多いのではないかと感じます。参加した方にそう感じてほしいなという願望もありますが(笑)。
磯貝)どの事業においてもスポーツはあくまで“手段”で、スポーツを使って「この地域はこんな場所だよ」ということを知ってもらいたい、という地域の魅力発信の意識は強く持っていますね。
ーー人々が楽しむ仕掛けを多くされていますが、実際にその裏側で支えるとなると大変な部分もあるのではないでしょうか?
西川)本当に昔は社員数も少なく、大変なイベントもたくさんありました(笑)。今は山本さんや磯貝くんなど、社員の人数も増えてくれたとはいえ、イベント関連は体力的にも大変なことはあります。
ただそれでも、現場でしか見ることのできない参加者の顔、現場でしか会うことのできない地元の方々など、そこで得られる満足感、やりがいはすごく深いものだと思っています。
地域を動かす実感|人とまちがつながる瞬間
ーー大変なことはあっても、得られる満足感も大きな仕事なのですね。山本さんはこれまでに印象に残るエピソードはありますか?
山本)以前、イベント内での提供食を茨城県かすみがうら市の和菓子店にお願いしたときのことが印象強いです。約1年ぶりに店舗に伺ったのですが、前年に購入した私の顔まで覚えてくれていて「今年もオーダーしてくれてありがとう」と言われたのはすごく嬉しい思い出です。それだけでなく、実際に参加者の方が提供食をきっかけにそのお店を知り、「おいしかったから翌日買いに行ってきた」という報告を聞いたときには、自分たちが地域活性化を担えているという実感も湧いてきました。
磯貝)私も山本さんと同じように、秋田県大館市のイベントで提供食を提供いただいた店舗さんから「イベントの翌日も多くお客さんが来てくれて、生産が追いつかないほどだった」とのお話を伺ったことがあります。地域貢献というものがダイレクトに感じられることはとても大きな喜びです。
西川)小規模イベントの際には参加者の方とじっくりお話することもあるのですが、「イベントをきっかけにいいお店を知れた」「仲間ができた」「もう一度旅行に行ってきた」などの報告をいただくことがあります。そうした“つながり”を感じられる瞬間は、とても嬉しく思いますね。
ーー地元の方も喜び、参加者にも新しい出会いがある。素晴らしい循環ですね。みなさんが考える、“地域貢献”とはどのようなものでしょうか?地域が活性化されているってどんな状態を指すのでしょうか?
磯貝)まずは「その場所知ってもらう」ということが第一歩だと思っています。知られていない、読めない、どこにあるかわからない地域は日本中にたくさんありますよね。
山本)知ってもらった上で、その地域の“ファンが増える”ことが大切です。実際に行ってみてファンになることで、住んでいる人たちにとっても消費の増加などのプラスがあります。何より、誰かが自分の住んでいる街のファンだと知ると、自分の地元を誇りに・自慢に思うことができますよね。そうした状況を作り出すことが地域活性化なのではないかと思います。
西川)本当に2人が言う通りですね。加えて、そうした“外”の方を巻き込みながら、事業としてその地域に1円でも多くのお金が流れるということももちろん意識しなければならないですし、その積み重ねが大きくなっていくことが地域活性化にとって大事なことです。
ーースポーツやスポーツイベントにはどんな力があると思いますか?
山本)私たちが提供しているのはサイクリングやランニングなど、”街全体”を舞台にするスポーツですが、だからこその“偶発的な出会い”は魅力的だと感じています。「ちょっと疲れて、たまたま寄ってみたお店がすごくいいところだった」ということもありますし、そうしたものを促す側面がこれらのスポーツにはあります。
また、サイクリングやランニングをはじめとし、スポーツは五感を活用するため、風や音、香りが刺激されてとても記憶に残りやすいものになります。実際に見たり感じたりしたことで、すぐに思い出せるものになる、思い出にリアルさを感じられるのはスポーツだからこそかなと思います。
磯貝)観光資源の少ない地域に人を呼び込む上で、「スポーツが好き」という人の存在はすごく魅力的だと思います。ランニングや自転車など「このスポーツをやりたい」という想いと「地域を知ってもらいたい」という想いを掛け合わせることができます。参加者は自らの意思で選んで参加する方が多いので、そのモチベーションもいいですよね。
西川)私たちがご一緒している地域は、都市というよりも地方の場所が多いです。スポーツイベントがきっかけで来てもらう、今まで知らなかったところに行ってみるという体験では、普通の旅行とは違うものになりますし、それによって新しい地域の魅力を感じることは多いのかなと思います。
目指す未来と、ともに働きたい人へのメッセージ
ーーこの会社で働いて、どんな成長実感を持たれていますか?また、今後それぞれ叶えたいことも教えてください。
西川)私が入社した当初はまだ人数も少なく、責任が大きなところで働けたところは一番自分を成長させてくれたなと思います。プロジェクト・マネージャーの役割から、運営の細かな部分まで、すべてを自分ごととして考え進める力は成長しましたね。
そうしているうちに、スポーツツーリズムという言葉も浸透し、自治体さんなどさまざまなところからのご要望も増えてきました。現在私は大阪を拠点に活動していますが、自分の出身である関西地域でもさまざまな取組を進めています。さらにもっと大きなイベントが開催できるようになったら嬉しいなと思います。
磯貝)会社に入った当初は目の前のことをこなすので精一杯だったのが、だんだん全体像を掴めるようになり、先のことを見られるようになってきました。担当する範囲も以前より増えており、責任のある仕事を任されていると感じます。また、イベントの現場があるからこそ、もっとこうしておけば、こんな準備をできればと強く実感することもあり、成長につながっていると感じます。
個人的には、47都道府県すべてに行き「こんな魅力があるんだ」ということを自ら発見できたら嬉しいですね。それがよりよいイベントを作ることや、参加者の満足にもつながっていくといいなと思います。
山本)入社当初は、イベントとしてまず参加された方に満足いただくことを中心に考えていました。ただ、経験を重ねるにつれて、参加される皆さまだけでなく、自治体にはどんなメリットがあるのか、地域の事業者はどうなったら嬉しいのか、働くスタッフや私たちはどうか、など、より「三方よし」の重要性を感じるようになっています。
今後は、よりいっそう、海外の人にも日本の素晴らしい地域を見てほしいなと思っています。言語のことなどいろいろな壁はありますが、日本に住んでいる外国人、あるいは旅行者としてくる外国人が日本のいろいろな場所を巡ってもらえるような企画を作れたらなと思います。
ーー最後に、この会社の魅力を教えてください!
山本)やはり全国のいろいろな地方の魅力を知れることではないですか?
西川)そうですね。私は全国のイベントに行って、その場のおいしいご飯とお酒をいただくことが本当に楽しみですね。それを楽しめる人なら、この会社の仕事はすごく楽しいと思います!
磯貝)自分から「いろいろな地域のことを知りたい!」と思える人はすごくこの会社の仕事を楽しめると思います。
西川)リモートも多い職場環境で、一人ひとりの責任も大きく、“待ち”の姿勢では難しい仕事です。しかし、何事も自分から興味を持って深めていく積極性があればいろいろなことが吸収できる仕事ですし、動ける人と一緒に働けたら嬉しいですね。あとは旅行好きな方も大募集です!
ーー自治体からの声をスポーツを通して実現していることもそうですが、皆さん自身がその地域の魅力を知りたい、知れて嬉しいと思って働いているのが素晴らしいですね。ありがとうございました!
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