静岡県浜松市を拠点に活動する女子バレーボールクラブ「ブレス浜松」。その一員としてプレーしながら、地元企業・ユタカ技研で働き、地域とのつながりを広げているのが、ミドルブロッカーの神田さくら選手です。
ハイレベルな環境での経験を重ねてきた神田選手が、地域クラブでのプレーと企業での仕事を両立する今、そこにはどのような想いがあるのでしょうか。
インタビューでは、競技にかける想いだけでなく、仕事を通じて感じた学びや人との出会い、地域とのつながりの中で芽生えた新たな気づきについて語ってくれました。バレーボールと企業、そして地域が交わる場所で、神田選手が見つけた“働きながらプレーする”というバレーボールプレイヤーとしての価値について迫ります。
順調に見えるバレー人生の裏側に
ーー2024シーズンからブレス浜松に加入している神田さん。バレーボールを始めたのはどんなきっかけがあったのですか?
神田)小学校の頃から背が高くて、友人から「一緒にバレーボールやってみない?」と誘われたことがきっかけでした。背が高い方が有利なスポーツでもあるので、始めたばかりの頃から少しずつ活躍できたことはよかったなと思います。
ーーそんなきっかけから始まったバレーボール人生は、高校卒業後Vリーグ(当時)のチームからの誘いを受けてバレーボール選手にまで至ります。順調に見えるキャリアですが、ご自身で苦しんだことや壁に当たったことはありましたか?
神田)Vリーグのチームでは、なかなか試合に出れる機会がなく、とても苦しかったです。私のポジションであるミドルブロッカーは、外国籍選手とライバルとして争うことも多く、少ない枠を身体能力の高い選手たちと争うのは大変でしたね。
ーー試合に出られないのはたしかに苦しいですね。
スピードバレーのブレス浜松
ーー2024-25シーズンからブレス浜松に加入。加入当初のチームの印象はいかがでしたか?
神田)対戦相手としても何度か試合をしたことがあったのですが、「ブレス浜松は“スピードバレー”」という印象をすごく感じていました。
そのバレーボールに魅力を感じましたし、私の持つ特徴や得意なプレーとの相性もいいと感じていたので、一緒にできればいいなと思い加入を決めました。
ーーそう思って加入した昨シーズンは、レギュラーシーズンで25勝3敗の1位。非常によいシーズンでもあったのかなと思います。
神田)チームとしても開幕から長く連勝でき、よい結果を出すことができました。それだけではなく、自分たちのやりたい“スピードバレー”が試合の中でいい形で出せているときも多くあって、その点はすごくよかったと思います。ただ、最終的にプレーオフはよくない結果に終わってしまったので、残念ではありますが。
「コートを離れても光る存在感」
ーーブレス浜松では、プレーだけでなくスポンサー企業でのお仕事もされています。神田さんの場合は『株式会社ユタカ技研』での仕事をされていますが、もともとは知っていましたか?
神田)正直ユタカ技研という会社のことは知りませんでした。前の所属企業では、ホテルでの勤務だったので、現在のような事務系の仕事をするのは初めてで、新鮮さがありました。今では、社内報に載せるブレス浜松の情報などを記事として執筆することもあるなど、これまでになかった仕事もできるようになっています。
ーーユタカ技研の社員さんからの応援を感じる場面も多いのではないかなと思います。
神田)リーグ戦期間中は、私の所属部署だけでなく社内のさまざまな方から「プレーが良かったよ」「頑張ってね」といった声をかけていただきます。会社の皆さんの支えが私自身のパワーとなり、「また頑張ろう」と思えています。
ーープレーと仕事の両立は大変ではないですか?
神田)もちろん大変なこともありますが、バレーボールから離れて会社の方たちと話したりする時間は、自分にとってすごく大切な時間になっています。そこで気持ちをしっかり切り替えられることで、バレーボールのプレーにもプラスになっているのかなと思います。
地域貢献について
ーーブレス浜松というチームは、地域を大事にしているチームとしても有名ですし、ユタカ技研さんも地域への貢献を大きな活動の一つとして掲げています。こうした地域貢献活動にも積極的に参加していることは、神田さんにとってどのような影響を与えていますか?
神田)ユタカ技研の秋祭りでは、ブレス浜松のファンの方はもちろん、地元の子どもたちもたくさん遊びに来てくれます。一緒にバレーボールをしたり、子どもたちと触れ合う機会は私にとってすごく楽しくて良い経験になっています。子どもたちと自然に打ち解けられる性格なので、これからも一緒に楽しめる時間をたくさん作って夢を届けられるような活動を続けていきたいです。
ーー最後に、今シーズンへの意気込みを教えてください。
神田)昨シーズンはファイナルで最後に負けて悔しい思いをしたので、今シーズンはしっかり最後勝って、優勝できるように頑張ります。仕事の面でも、多くのユタカ技研社員が試合に足を運んでもらえるよう、積極的に社内にブレス浜松の存在を広めていけるように頑張っていきたいです。
ーーありがとうございました!
神田さんがユタカ技研の社内に与える影響
「普段はおっとりした感じなのに、コート上でのガンガン攻める姿勢を見られて新鮮だった」というように、ユタカ技研ファンも多い神田さん。「できるだけバレーに集中できる環境を整えてあげたい」という会社側の言葉通り、親密なコミュニケーションを取りながら選手としてのコンディションと会社への貢献を両立しています。
社内イントラ企画である『さくらのバレーボール講座』は好評で、少しずつブレス浜松への関心も高まっています。イベントにおいても、子どもたちに目線を合わせながら接することを意識している神田さん。神田さんの地域の子どもとの触れ合いが、“ユタカ技研”の地域からも見方や想い入れについても変わっていきているとユタカ技研社員は感じています。
選手とともに活動することで、地域への影響力も可視化されるユタカ技研。Sports for Socialでは今後も彼らの動きを追い、記事として発信していきます。
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