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【Vol.5】アートを生きる力に |〜臨床美術についてお伝えします〜

【編集担当からのメッセージ】
子供のころ絵を描くのがとても苦手でした。図画工作・美術の時間がどんどん嫌いになって、大人になってからはほとんど筆を持ったこともありません。センスがない・・・と片付けていました。
こんな僕でも、絵を描く楽しさがわかるようになるのかも・・・と。勇気づけられるような気がしました。
自分の中にあるクリエイティブな感覚にスイッチが入ったら楽しいだろうな・・・。

アートを生きる力に |〜臨床美術についてお伝えします〜

臨床美術(クリニカルアート)は日本発祥のアートセラピーです。
http://www.arttherapy.gr.jp/about_theraphy/

絵やオブジェの作品を楽しんで創作することにより右脳の活性化を促し、認知症状を改善するために開発されました。子供から大人まで幅広い現場で実施されています。実際の現場での様子も交えて私の思う臨床美術の良さをお伝えしていきたいと思います。

臨床美術のアートプログラムは700〜800種類あり、臨床美術士がセッションの開催の目的と対象を確認して実施するプログラムを選択します。実施するプログラムを決めると、内容を読み込み、試作を重ね、手順だけでなく参加者の表現を引き出す場作りを準備します。

先日は、以前から興味を持っていたアートプログラムの臨床美術士のための研修に参加しました。その研修を通して臨床美術について改めて私自身が実感したことが三つありました。

  • 研修であっても臨床美術の制作は楽しい。
  • 持ち帰った作品はいつも心にポジティブな響きをくれる。
  • 臨床美術が「表現を楽しむ」というボタンをオンにしてくれた。

久しぶりの対面での研修でした。「私の富士山」と言うプログラムで、富士山を表現して平面作品をつくります。多くの人が富士山はこんな感じというイメージを既に持っていると思いますが、プログラムの狙いは、その印象を超えて個性豊かに表現することです。

このプログラムで使う道具の一つがスプーンです。驚かれる方もいるかと思いますが、敢えて扱いづらいスプーンを使うことにより富士山への感情や思いを込めた大胆なタッチと偶然の効果をきっかけに、誰もが楽しみながら富士山を表現することが出来ます。

プログラムのポイントを講師から教えてもらいながら、実際に制作をするのですが、ついつい楽しくなって、研修であることを忘れて作品創りに集中してしまいそうになります。

最後に通常の鑑賞会のように、全員の作品を前に並べました。それぞれの表現の多様性にいつも感動します。

この日は研修なので、全ての作品を見ながら、プログラムのポイントについて振り返りをしました。実際に参加者として自分の作品と他の作品を見ると、自分の作品の好きなところも感じますが、他の方の作品の素晴らしいところに目が釘付けになりました。自分の表現者として未熟さを感じ少し落ち込みました。家に戻って自分の作品をどのように感じるのだろうと不安になるぐらいでした。

しかし、家に戻り自分の作品の一人鑑賞会をすると、作品から感じるのは、制作した時のワクワク感や自分が拘った箇所などへの思いで、いつまでも眺めていられます。それ以上に私の中に湧き上がった想いは、「もっとこうしたい!あんな表現をしてみたい!すぐにまた制作したい!…」と言う、表現をすることへの意欲です。

臨床美術に出会う前に、もし誰かに、「あなたはクリエイティブなことは好きですか?5段階で答えなさい。」と質問されていたら、答えはきっと、あまり好きではないという、「1か2」だったと思います。しかし、臨床美術を通して表現することの面白さを改めて学び、今の答えは、「5か4」になります。

クリエイティビティは、簡単に得意になったりすることではないと思っていました。これは新たな自分との出会いです。臨床美術は、「アートを自分のもの」として感じる扉を開いてくれることを実感しています。高齢者や子供だけでなく、様々な方にその感覚を経験して欲しいと思います。

最近、良く目にする「アート思考」と言うものにも繋がっていくのかと思います。

先月に、1年半前に立ち上げたクラスの初めての作品展をすることが出来ました。コロナ禍に入り皆さんの作品を発表できる場がなかったのですが、生涯学習センター全体の作品展が行われることになり、そこへ参加することが出来ました。

コロナ禍で来場者は少なかったのですが、作品を見て下さった方が感想ノートに残してくれたコメントは、「とても美しく可愛い作品ばかり。こんなのが出来るのですね。素晴らしい。」「ひとつひとつの作品が素晴らしく、楽しませて頂きました。一生大切にしてくださいね。」
出展した参加者の皆さんは、家族や知り合いからの直接のメッセージをあったようで、とても良い刺激になったようです。皆さんの人生のエネルギーになっていけばと思います。

アートは生きる力になる。生きる力は一つでも沢山ある方が良い!

今後も臨床美術の魅力について発信をしていきたいと思います。
色々な方にぜひ一度体験をしてみて欲しいと思います。

—京都在住・アートひろばtomo主催 臨床美術士 Tomoko—